山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

ハナイグチ不発

2019-09-30 00:18:48 | キノコ狩り
9月最後の土曜日、キノコと岩魚に遊んでもらおうと瑞垣の森に向かった。
午前8時、岩魚の棲むこの沢を渡ってキノコの森に入山する。




清々しい空気を吸い込みながら苔むした雑木林を進み、、、、




ミズナラの林を過ぎると、、、、




ハナイグチが篭いっぱいになるカラマツ林、、、なのだけれど、、、3~4年前から気になっていることがある。
間伐が進んでカラマツの木がめっきり減って、、、今年は以前の2割程度になってしまったような気がする。
間伐は決して悪いことではない、樹木更新といって古い木を切ることで光と風を入れ新しい木を育てることで健全な森になってゆく。




風の通りが良すぎるのか台風の強風によってカラマツや雑木の大木が薙ぎ倒されている。
ここまでカラマツの数が激減するとさすがにハナイグチの菌床も絶えてしまうのだろうか?




いつもは1時間ほどで篭が一杯になるのに今回は2時間探してたったの7本しか見つからなかった。
それでもキノコを探してゆっくり森を徘徊するこの速度感が仕事の疲れを癒すにはちょうどいいと感じる。

 



午前10時過ぎ、沢畔のミズナラの林にダイニングを設えて




先ずはハナイグチの下ごしらえ




熱湯で湯がいて冷たい沢水で〆てからモミジおろしとポン酢で




ハナイグチ料理を幾つか計画していた今回は酒肴を何も用意していない、たったこれだけでビールと缶酎ハイ(寂しい)

 


〆は貴重な茎まで使ってカルボナ-ラ、美味しゅうございました。




自然相手の遊びはこんな番狂わせも常の事。
来年からはアチラの森に河岸を変えることに致しましょうかね?
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雨と岩魚の薬師沢(後編)

2019-09-16 22:08:46 | フライフィッシング
(四日目 赤木沢へ)


天候の安定を待って最終日の今日の決行を決めたのだけれど晴れマ-クが消えて天気予報は曇り時々雨に変わった。
赤木沢までには3~4回の渡渉がある、豪雨になって増水したら小屋に帰れない可能性もあるけれど決行することに決めた。
午前8時にスタート、先ずは左岸を遡行して右岸に渡渉する、深くて水勢も強かったけれどストックを使って何とか突破できた。




ここまで2度3度と渡渉を繰り返したが、先行する寅さんのルーファイはまるでこの遡行を経験しているかのように的確であった。




午前9時過ぎ、ここで寅さんが淹れてくれたコ-ヒ-で小休止




午前9時半、肌を刺すような冷たい流れに胸まで浸かってのヘツリは辛いのでここから左岸を高巻く。
巻道や高巻と聞けば安易で安全かと思いがちであるがここの高巻は決して生易しいものではなかった。
きつくて危険で今までよくぞ転落死する者が出なかったものだと不思議にさえ思えるほどである。
(家を出てから5日目、寅さんの頬には無精ひげが浮かんでいる)




寅さんが先行して登って行くと途中で踏み跡が消えた、寅さんの的確なルーファイで5分ほど進んで踏み跡に復帰できた。
この先に僕が死を覚悟した箇所がある、雪のために熊笹が下向きに密生した垂直に近い壁を横向きに5~6m進む箇所である。

殆ど足場もなく熊笹でつるつるに滑る壁を両手に5~6本の熊笹の茎を鷲掴みにして
慎重に左向きに進んでいるとつま先が滑って両足が壁から離れて宙づりになってしまった。
必死の思いで交互に熊笹を持ち替えながら両腕の力だけで安全地帯に辿り着いて事なきを得たが
もし熊笹の茎が折れたら、熊笹の根が抜けてしまったら、自分の両腕で体重を支えられなかったら
確実に転落死していた筈であり、あの数分間は死の恐怖と必死で戦っていた数分間でもありました。

高巻のてっぺんから眺めるとゴルジュはまだもっと先にまで続いているように見えた。
ここからまた掴まる草木もなく足場も心もとない垂直に近い壁を固定された細いロープ1本で下る、濡れて滑る壁が怖かった~!




さて、この恐怖の高巻を突破して左岸を歩いていると、なんとまだ高巻が残っていた。
2度目を突破してもう終わったぞと一気に脱力して歩きはじめると、まだ残っていたんですわ高巻が。
しかも、この壁も垂直に近いわ、昨夜の雨でつるつるに滑るわ、掴まる草木が1本も生えていないわで
壁を攀じりながら、この壁マジで怖いわ~、帰りにこの壁下りるのイヤだな~、俺この壁で落ちて死ぬのか~
俺生きて帰れないかもな~、なんて本気で恐怖を感じていたら実は寅さんも同じように恐怖を感じていたことを後で知らされた。




恐怖の高巻を何とかやり過ごして進んでいくと、見えたぞ~ナイアガラの滝だ~!




左から黒部本流が、右から赤木沢が出合う正に息を飲むようなこの風景は僕にとっての憧れの地でもある訳で
67歳にしてようやく巡り会えた聖地のような雰囲気に浸って溜息を漏らしながらうっとりと眺め入っておりました(幸せ~!)




赤木沢の奥を覗いて見ると深いゴルジュの奥に小さめだけど落差のあるナイアガラの滝がもう一つ架かり
更にその奥には人を魅了してやまないエメラルドグリ-ンの神秘的な流れがどこまでも続いているのでありました。




雲行きが怪しくなってきたのでのんびりしてもいられない。
慌ただしくロッドを繋ぎ思いっきりラインを延ばして対岸にフライをプレゼンテ-ションした。
何度目かで激しく水面を割って岩魚が食らいついてきた、久々のロングラインの釣りは実に爽快であった。
寅さんも一尾釣り上げたところで雨が落ちてきた、10センチの増水でも渡渉は難しくなる、急いで雨具を着けて帰路に就いた。




ここからまた3度の高巻が始まる、先行する寅さんに8ミリザイルを渡したのだけれど気が重くて足が進まない。
寅さんも同じ思いだったようで泳ぎも覚悟のうえでヘツルことにして少し上流に戻ってから対岸に渡った。
この対岸で流れに入ってみると気分爽快と感じる程度の水温で、胸まで浸かってヘツリを続けて難なくこの流れを突破できた。
みなさん、赤木沢に行くなら高巻は危険です、平水ならネオプレ-ンのタイツとジャケットを付けてヘツルことをお勧めしておきます。




豪雨の増水が恐ろしくてひたすら下り続けてようやく小屋まで辿り着けました。
今日は寅さんと何度手を握り合ったことでしょうか、赤木沢へ無事往復できたのも一重に寅さんのお蔭でした。




無事に小屋に帰還して飲るビールの旨かったこと
僕はちょっと下流に下って小屋の見える大岩に寝そべってビールを飲りながら昼寝
寅さんは薬師沢に入って最後の釣りを楽しみ15尾を釣り上げました(薬師沢に入る寅さんが小さく見えています)

 


3連泊目の食事も実に美味しゅうございました。
今日まで僕が釣ったのは正味7時間、寅さんが8時間半で110尾を優に超える釣果に大満足の旅となりました。








(五日目 下山)



名残惜しいけれど下山です。
下山の朝、小屋のスタッフの皆さんと一緒に写真を撮らせて頂きました。
皆さんのスマイルが実に素敵ですが、僕と寅さんはちょいと緊張気味でございます。




今回の旅の目的は勿論たくさんの岩魚に出逢うこと、そして赤木沢を眺めること
そしてミ-ハ-な僕たちのもう一つの願いが薬師沢のマドンナやまとけいこさんのサインをもらうことでした。
念願かなって、やまとけいこさんの著書のカバ-にこんな素敵なイラストとサインを頂くことができてもう思い残すことはありません。




帰路、最終日にしてようやく黒部ブル-の空の下を歩く幸せに浸れました。




これから始まる急登に備えてクロマメとクマイチゴ?でビタミンCを補給しましょう。

 


延々と登り続けて3時間、ようやく太郎平小屋が見えたときの安堵感といったら、、、、、




さぁここからはもう3時間ちょい下るだけ、ビールも安心してちょっとだけ頂きました。

 


旅の終わりに太郎平を仰ぎ見て、この5日間の旅を振り返りながらちょっとしんみりしてしまいました。




折立に辿り着いて寅さんと手を握り合って乾杯、冷たいファンタの美味しかったことといったらありゃしませんでした。

   


体の鈍り切った僕にとって今回の旅はとてもきつい旅ではありましたが
それを遥かに超える喜びと幸せと感動に満ちた旅になりました。
赤木沢に導いてくれた寅さんには感謝の言葉しかみつかりません。

来年はもう少し体を鍛えて山慣れし、高天原まで足を延ばしたいと考えています。
年を重ねて体力が衰えてきたからこそ来年も目指す夢の地があることの有りがたさに心から感謝している次第です。               

コメント (28)
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雨と岩魚の薬師沢(前編)

2019-09-08 17:31:16 | フライフィッシング
(一日目 入山)


釣友寅さんの同行を得て5日間の予定で薬師沢に入ることになった。
登山口の折立で寅さんが用意して下さった鮎と鰤カマを酒肴に舌鼓を打って前泊し翌朝7時に薬師沢小屋を目指した。
登山口から4キロ弱の距離で760mの高度差を稼ぐ急登に辟易しながら3時間もかかって第一目標の展望台に辿り着いた。

 


アラレちゃんポイントに至る前から雨が降り始めて展望台辺りからは暴風雨に変わり
寒さに晒されながらダラダラと続く坂道を2時間半ひたすら登り続ける(天気予報は大ハズレじゃね~か~!)
ようやく太郎平小屋が小さく見え始める頃になって雨は小降りになったのだけれど心は既に折れはじめていた。




薬師沢小屋はきっぱり諦めて太郎平小屋にお世話になった(鍛えている寅さんはここまで息切れ一つしていないから驚く!)
寒さにふるえる手で受付をして個室に落ち着き、ぐしょぐしょになった着衣や登山靴を乾燥室に持ち込んでようやく一息ついた。

 



(二日目 薬師沢小屋へ)



初っ端からエラい目に遭ったが二日目は何とかなりそうで午前8時に小屋を発って薬師沢に向かう。




急坂を下りきると第一渡渉点、次の第二渡渉点で我慢できずにそそくさとロッドをつないだ(午前9時半)

 


ここは薬師沢の中俣最上流部、更に分岐を左の沢に入って魚留まで釣りあがる。
型は7寸止まりだけれど鮮やかな柿色の腹のネイティブ岩魚が小気味よくフライを咥えて楽しい!

 
  


勾配のきつい小さなポイントで寅さんが小ぶりの岩魚を釣り上げた、良い腕してます!




更に魚留の小さな滝壺でも岩魚、こんなところも岩魚は軽々と遡上してしまうんですね~!




1時間半ほどの釣りで満たされて薬師沢小屋に向かう、草木も吹く風も既に秋の気配です。




午後1時半、薬師沢小屋でビールと昼食を摂ったあと、薬師沢を出合いから1時間半ほど釣りあがる。




釣れる岩魚は8寸程度にサイズアップ、この日は二人で40尾ほどの黒部岩魚らしい引きを楽しませてもらった。

 


この日の宿泊者は7名、二人分のカイコ棚を一人ずつ割り当てられてゆったりと熟睡できた。

 






(三日目 本流へ)



今日は午前4時から7時までの間、強烈な雨が降り続いた。
午前5時半の朝食のあと雲の平や高天原に向かう登山者が小止みになった7時過ぎにスタートして行く。

 


薬師沢には濁りが入り黒部本流も増水している。




午前11時、少し水が引くまで待ってから黒部本流を1時間下ったA沢出合から釣りあがろう。




左の黒部本流と右の薬師沢の出合に薬師沢小屋が佇む、いい雰囲気ではありませんか?




増水した黒部本流は落差のあるポイントでは恐ろしいほどの怒涛の流れを作っている。




ここは小屋から25分ほど下ったポイント。
1時間下って釣りあがっていたら夕飯までに小屋に帰れないと判断して僕はこの辺りから、寅さんは少し下流から釣りあがることにした。




いったいどれだけの岩魚が入っているのであろうか?
深い流心から12番のテレストリアルめがけて1投ごとに8~9寸岩魚が食らいついてくる。
この下のポイントで5尾ほど、このポイントでは30分ほどで15尾、フライチェンジすればもっと釣れただろうけれどもうお腹一杯です。

 
 


今日だけ、2尾の9寸岩魚の命を有りがたく頂いた。




1尾は刺身に、一尾はみょうがと生姜と醤油でタタキに。




ザックの軽量化のため4回とも小屋にお弁当をお願いした、薬師沢小屋のチマキのお弁当がとても美味しゅうございました。




午後2時半、さあ小屋までもう少し岩魚と遊びましょう!
今日は二人で60尾、尺上は出なかったけれど黒部の9寸岩魚の引きを満喫することができました。




僕と寅さんは連泊メニュ-でした。
ビールもワインもウィスキ-も進んで本日も爆睡と相成りました、幸せ!




明日はこの旅のもう一つの目的にチャレンジです。
夜9時から激しい雷雨となりましたが、果たして朝までに水が引いてあそこに辿り着けるのでしょうか(つづく)
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