8月11日に新文芸坐での「内田吐夢回顧上映会」が終ってから、ずっと忙しかった。
この一ヶ月、新刊書「内田吐夢の全貌」を全国の主要書店へ配本する仕事が続いていた。出版社としての本業であるが、エコール・セザム(私のやっている出版社)の場合、従業員は社長一人とアルバイト二人だけで、編集・制作から営業まで行っている。実は、会社組織の出版社というより(一応、有限会社であるが)、個人出版社、むしろ「出版者」に過ぎないと言える。これはこれで、勿論、利点もある。私の作りたい本を好きなように作れること、それと、安価に良い本が作れることである。この点では、どんな大手出版社に対しても負けることはない。が、人手が少ない分、本を作った後も働かなければならない。書店へ本を置いてもらうこと、つまり、書店営業の仕事があるわけである。
さて、映画本の新刊は、委託配本ではなく、指定配本することにしているので、手間と労力がかかる。簡単に説明すると、問屋(取次店といい、日販、トーハン、大阪屋など)に任せて、販売書店と販売部数を適当に決めてもらい配本するのではなく、新刊案内を主要書店へファックスして、注文をもらった書店にだけ問屋を通して本(注文部数)を納品する方式をとっている。紀伊国屋、ジュンク堂、丸善、三省堂など、映画書籍を扱っている大きな書店だけでも全国に200店以上はあるので、注文取りは大変なのだ。ファックスを入れても、それをちゃんと見て、注文をくれる書店は少ない。そこで、各書店へ電話を入れ、映画書籍の担当者と直接話をして注文をもらわなければならない。出版社を作った当時は、こうした注文取りも私がやっていたが、現在はYさんという昔からの知人に任せている。Yさんは熊本在住で、東京の私と連絡を取りながら、書店へのファックス送付と電話営業をやっている。私は、Yさんが取った注文と会社へ届いた注文を毎日整理して、代行業者(本を管理し、問屋へ納品する業務)へファックスする仕事をしている。
そういうわけで、ようやく新刊書の配本が完了したところなのだ。
売れ行きのほどは、まだ判らないが、私としては一生懸命作った本なので、そこそこの自信は持っている。
お褒めの言葉も何人かの方々からいただいた。
一番嬉しかったのは、脚本家の成澤昌茂さんから電話をいただいたことである。成澤さんには一冊お送りしたのだが、すぐに全部読んでくださったそうで、絶賛に近いお言葉をいただいた。
これからも作りたい本があるので、頑張りたいと思う。
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