錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

『唄しぐれ おしどり若衆』(解説)

2013-01-25 02:22:15 | おしどり若衆・いろは若衆・ふり袖月夜

 錦之助の前髪若衆・指方龍之丞

<ストーリー>
 桜降りしく春の江戸。横暴目にあまる旗本・加賀爪甚内(山茶花究)とその一党丹心組は、吉原仲之町の引手茶屋「花佐」に乗り込み、甚内が勝手に嫁と決めた看板娘のお澪(みよ)(長谷川菊子)を無理やり連れて去ろうとしていた。難を逃れ奥座敷へ逃げ込むお澪。
 そこには若衆姿の客(錦之助)がいた。


 錦之助とお澪の長谷川菊子
 龍之丞「女相手の狼藉はなりませぬ」

 しばらくすると花嫁姿のお澪が大人しく出て来て、丹心組はお澪を連れて屋敷へ立ち戻った。
 すると、花嫁姿のお澪は、実は先刻の若衆ではないか。彼は今八百八町に名も高い八ッ幡若衆と名乗る美剣士。相手の額に血の八文字を描くという不思議な剣の使い手で、元観世流能楽師春之丞(星十郎)の弟、実の名を指方龍之丞(さしかたたつのじょう)といった。
 襲いかかる丹心組をあっという間に蹴散らす龍之丞。


(花嫁衣裳をまとっていた錦之助がそれをひらりと脱ぎ捨て、ここで悪旗本たちとの立ち回り)

 その正体に気づいて逃げまどう者の一人に山田主税(加賀邦男)という旗本がいた。
(ここから回想シーン)
 三年前のことである。龍之丞の兄春之丞はお銀(朝雲照代)という女と将来の契りを結んでいたが、お銀の兄柳沢主水守(もんどのかみ)(原健策)は将軍の愛妾に妹を差し出すため、配下の山田主税と謀って、邪魔になった春之丞を殺してしまった。
 龍之丞が京で兼房流龍想剣の極意をおさめき、江戸に上ってきたのも兄の仇を討たんがためだった。
 龍之丞の出現を知った柳沢主水守は仇と目されている山田を幽閉した。
 山田には雪路(美空ひばり)と言う可愛い妹がいた。怯える兄に話を聞くと、龍之丞という剣士に狙われているのだという。雪路は、兄の代わりに龍之丞を討たんと、剣客藤沢青鬼(大友柳太朗)の道場で修業に励み、小姓姿に身を変えて江戸を捜し歩くようになる。
 
 雪路は、ようやく龍之丞に出会い、果し合いを挑むが、龍之丞にはどうしても勝てなかった。


(ひばりと錦之助の対決シーン)

 龍之丞の居所を突き止め、討とうとしても、龍之丞に組み伏せられてしまう。



 龍之丞は丹心組にも幾度となく襲われるが、常に鋭い剣によって難を免れていた。



 ある日、丹心組の加賀爪らがお澪に乱暴を働こうとしたが、茶屋の女将(西条鮎子)と懇意の藤沢青鬼(大友柳太朗)が現れてこれを防いだ。お澪は龍之丞に対しいつしか恋心を抱くようになっていた。その時そこに現れた龍之丞に対し、藤沢は彼の剣に興味を覚え試合を申し出るが、勝負は互角で決着は付かなかった。


(茶屋の女将西条鮎子、立っているのは大友)

 雪路の兄山田主税は改心し罪を償おうとするが、悪事の露見を恐れた柳沢主水守は山田を暗殺しようとした。駆け付けた雪路は、瀕死の兄の口から初めて真相を聞き、真の仇こそ柳沢であることを知るのだった。


(雪路の兄山田主税が今わの際に真相を打ち明ける)

 やがて、雪路は龍之丞を恋い慕い彼に力を添えるようになる。
 龍之丞が柳沢主水守の差し向けた旗本達に不意を襲われた時、龍之丞の窮地を救ったのは雪路であった。



 かくて、将軍御覧の能の会の日、龍之丞と雪路は能役者に扮して舞台に立つ。



 能を舞った後、面をとるや、御前で仇討を願い出る二人。藤沢青鬼にも助けられ、ついに柳沢と悪旗本の一味を滅ぼすのだった。


「龍之丞殿、雪路殿、藤沢青鬼ご助勢申す」(このあと、錦之助、ひばり、大友の大立ち回り。錦之助とひばりは能装束のままで剣を振るう)

 無事に仇討ちを済ませた龍之丞と雪路は二人揃って江戸を発っていく。(ハッピーエンド)


 
 晴れた品川沖を出航する百石船の中から、龍之丞の温かい胸に抱かれた雪路の明るい唄声が青空に漂っていた。(ここでひばりが「花のオランダ船」を歌う)
(エンドマーク)




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