この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

社会派エンターティメント作品の傑作『薬の神じゃない!』。

2020-10-21 20:27:47 | 新作映画
 ウェン・ムーイエ監督、シュー・ジェン主演、『薬の神じゃない!』、10/17、ユナイテッド・シネマ福岡ももちにて鑑賞。2020年28本目。

 本作は2014年に中国で実際起きた未認可のジェネリック薬の密輸・販売事件をベースにした、社会派エンターティメント作品です。
 まず、こういった作品が中国で製作・上映され、爆発的なヒットを飛ばした、そのことに驚きを禁じえません。
 未認可の薬を密輸入することで多くの白血病患者を救った、ということは中国の医薬品に関する法律に不備があったことに他ならないじゃないですか。
 中国はそういった国の恥部を認めない、引いてはそれに関する映画も作らせないのかと思っていたのですが、必ずしもそういうわけではないのですね。
 中国も変わったのだなぁという感が一入です。

 近くの映画館で上映されているのであれば(福岡では3館のみ)、是非観に行ってください。
 クスッと笑えて、グッと胸が熱くなり、最後は滂沱の涙が流れる、まさにこれぞ映画だ!という映画です。
 
 映画に関してはそれぐらいにして、ここではジェネリック薬について私見を述べたいと思います。
 映画の中では薬価の安いジェネリック薬が正義、高い正規の薬が悪、みたいな描かれ方をしていましたが、事はそう単純じゃないんですよね。
 ジェネリック薬が安いのは当たり前なんですよ。
 だって研究、開発費用がほとんどかかっていないのですから。
 おまけに特許期間が切れていれば特許料を払う必要もありません。
 逆に言えば正規の薬が高いのもまた当たり前なのです。
 新薬の研究、開発には莫大な費用が費用がかかりますし、認可にもまた気が遠くなるような年月がかかります。
 さらに発売後も先発の医薬品は安全性に注意しなければなりません。
 一方先発の医薬品と成分が同等であることが証明された後発の医薬品、つまりジェネリック薬は安全性や薬害に留意する必要がないのです。
 安いのが当たり前です。

 しかしすべての製薬会社がジェネリック薬ばかり生産したとしたらどうでしょう?
 新薬の研究、開発がおざなりになれば、当然新しい薬の画期的な薬効の恩恵に授かることはありません。
 それは望ましいことではないはずです。

 医薬品市場でジェネリック薬が普及すれば、薬価が安くなり、我々市民の暮らしは楽になりますが、単純に喜んでもいられないことなのです。

 お気に入り度★★★★、お薦め度★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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