この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

パコと魔法の絵本。

2008-09-15 23:38:40 | 新作映画
 中島哲也監督、役所広司主演、『パコと魔法の絵本』、9/14、Tジョイ久留米にて鑑賞。2008年41本目。

 一定時間の記憶しか持ち得ない、記憶障害がある登場人物のお話は正直飽き飽きです。
 またベタな泣かせのお話も勘弁して欲しい、って思います。
 しかしそんな飽き飽きで、勘弁して欲しいお話も才人中島哲也の手にかかると極上に素敵な魔法の物語になってしまうのですから、映画って本当に不思議です。

 この映画の存在を初めて映画館の看板か何かで知ったとき、自分はまたよくあるハリウッド発のファンタジー映画なのかと思っていました。
 しかし、よくよくその看板を見ると出演者が日本人ばかりだったので(つまり日本映画であることに)驚きました。ファンタジー映画って、ハリウッド映画ではよくあるけれど、日本映画ではあまり見かけないじゃないですか。果たして出来栄えはどうなんだろうと危惧したものですが、、、まったくの杞憂でした。
 やはり中島哲也は才人ですね。
 映画『パコと魔法の絵本』はこれまでの日本映画ではちょっと観たことのない、それでいていかにも日本映画らしいという、何とも不思議な日本映画でした。

 中島哲也を指して才人、と称しましたが、彼が才人たる所以は、相反するようですが、決して妥協しない頑固さと驕り高ぶることのない謙虚さにあるんじゃないかと『映画秘宝』のインタビューを読んで思いました。
 彼は本作の撮影をわずか一ヵ月半で終えたそうです。
 しかし、そのための準備期間が半年あり、また撮影後の編集・仕上げに十ヶ月を費やしたそうです。
 撮影が早撮りの映画監督は多々いると思いますが、そこまで作品の仕上がりに妥協しない映画監督はそうはいないんじゃないのではないでしょうか。

 ヴェネチア国際映画祭に日本からは『崖の上のポニョ』など三作品が出品されましたが、もし本作が出品されていたら、と思わずにはいられません。
 日本発の、そして日本初といっていいファンタジー映画が外国のメディアにはどう評価されるのか、非常に興味深いところだからです。 

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)といったところです。
コメント (6)
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