ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩  金田鬼一訳 「グリム童話集」 岩波文庫(1-5冊)

2013年04月16日 | 書評
ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第107回

* KHM 197  水晶玉
魔法使いの女に三人の息子がいました。女は息子に脅かされる事を心配し、長男を鷲に変え、次男は鯨に変えましたが、三男は危険を察して逃げ出しました。三男は金陽城に魔法をかけられた王女が救いを待っていると聞いて出かけました。途中で大入道から念じればどこでも行ける帽子を手に入れ、金陽城へゆき魔法にかけられ灰色の顔をした王女様を発見しました。魔法を解くには火の鳥のおなかにある水晶の珠が必要です。まず番をしている野牛を剣で殺し、火の鳥を兄の鷲が襲って、火の鳥は卵を落としました。卵は小屋に落ちて大火事となりましたが、兄の鯨が水を吐いて消しました。卵から水晶の珠を取り出し、王女と2人の兄の魔法を解きました。この話では水晶は魔法使いの命で、古くはエジプト第19王朝のパピルス文書(紀元前1250年ごろ)の「2人の兄弟の話」に原型があります。

* KHM 198 マレーン姫
王子は別の国のお姫様であるマレーン姫を恋仲でしたが、姫のお殿様はこの結婚を許さないで、別の方との婚約を考えていました。マレーン姫はこれに応じなかったので王様は剛情な姫を腰元と一緒に塔に閉じ込めました。何時しか7年の日が過ぎ、食糧も底を突いて餓死寸前になったところで、姫と腰元はナイフで塔の石を削って穴を開けました。しだいに穴は大きくなり2人は外に出られましたが、お城は戦争で壊され、王様も住民も1人残らず殺されていました。二人の女は職を求めてある城の台所の下女に雇われました。なんとその城は元の婚約者の王子様の城でした。王子様は結婚の準備中で教会で婚礼式を挙げる日が近づいていました。ところが婚約者のお姫様は醜い顔をしていて人前に出るのがいやなものですから、下女のマレーン姫を身代わりにして婚礼に出しました。王子様と下女のマレーン姫の婚礼の道すがら、マレーン姫は道端のイラクサを見て歌を歌い王子様になぞ掛けをします。橋を見てはマレーン姫は王子様になぞ掛けの歌を歌います。教会の戸口でマレーン姫は謎かけの歌を歌いました。こうして婚礼の式は終り王子様はマレーン姫の首に首飾りをかけました。お城に帰るとマレーン姫は衣裳を脱いで下女に戻りました。醜いお姫様が王子様の部屋に行くとき、面?をつけ顔を隠して面会されると、王子様はあの3つの歌の意味を質問します。事情の分からないお姫様はその度に台所の下女に聞きに行き王子様は不審を持ちます。そして王子様は下女を呼んで面会し、その人こそマレーン姫である事を知って、サイド婚礼の式を上げました。この話は筋に不自然さが目立ちすぎますが、歌合せの童謡とみなされます。
(つづく)



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