ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 金子勝・児玉龍彦著 「逆システム学」  岩波新書

2007年10月30日 | 書評
制度の束(市場経済)と多重フィードバック(生命)による変革 第8回

金子勝氏の市場経済政策 (4)

日本経済はグロバリゼーションや高齢化などの環境変化に対応できないまま閉塞感を強めている。金融・年金制度・地方分権などの分野において矛盾と破綻が露出し、セーフティネット(制度)の張替えが必要となっている。金融自由化によるグロバリゼーションは戦後世界経済の縮小とともに(GNPは1970年代4%、1980年代3%、1990年代2%)バブルとバブル崩壊(創造期と破壊期)が世界中で繰り返され、後進国の金融システムを破壊してアメリカに世界中の貨幣が吸い込まれた。(富の収奪)その結果世界経済は同時デフレになり長期停滞局面に入っている。1980年代には土地バブルに帰結し、中南米諸国へ貸付が増加した。レーガンの双子の赤字によって中南米諸国は累積債務国に転落した。1990年代には証券化とグローバル化が進行した。米国投機マネーが世界中に金融危機を引き起こした。アメリカの一極集中がここに極まった。いまはナスダックバブルの調整期にある。アメリカも継起的バブル経済を引き起こすことによってしか(創造ビジネスと破壊ビジネス)、体制を維持できない。金融ビッグバンの副作用はいたるところで噴出した。自己資本比率規制(国際業務で8%、国内業務で4%)は貸し渋りや貸しはがしを深刻化した。分母対策で貸し出し総額の縮小がそうさせた。株価低下による含み益の減少も同じ効果を持った。ペイオフの悪用(貯金者の保護が目的だったのが、銀行選択へ)と動いた。


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