ブログ 「ごまめの歯軋り」

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最もリスクの高い金の先物取引でリスク回避?

2010年05月13日 | 時事問題
朝日新聞 2010年5月13日7時9分
リスク回避、株から金へ 先物市場高騰、買い取りも活況
 金融市場で、よりリスクの少ない資産に向かうマネーの流れが止まらない。安全資産とされる金は世界的に高騰。12日の日本の先物市場では27年ぶりの高値をつけ、ニューヨークでも史上最高値を2日連続で更新している。

岩井克人著「貨幣論」より「恐慌論・危機論」を読む

 マルクス主義者や社会科学者は需要縮小に伴う過剰生産、デフレや不況、恐慌を資本主義の危機と見ていたが、本当は貨幣から人々が逃げ出す「ハイパーインフレ」こそ貨幣を貨幣として成り立たせる構造を破壊し、資本主義に本質的な危機をもたらすのである。好況は物価や賃金が上昇する事であるが、適度の上昇であれば人々は歓迎する。しかし商品全体にたいする総需要が総供給に較べて増大すると、インフレ的熱狂になる。これがヴィクセルの「不均衡累積過程」によって連続的に無際限に進行すると、資本主義にはこれを抑える力が内部には存在しない。流動性選好は縮小してインフレを一層加速する。そして貨幣からの逃走が始まる。これを「危機」と呼ぶ。資本主義は貨幣への期待をなくして崩壊するのだ。これまで「ハイパーインフレ」は開発途上国でよく起きたが、ドルという信用にリンクする事で回避できた。問題は世界基軸貨幣であるドルを中心とした「ハイパーインフレ」は救いようが無い。これこそが資本主義の真の危機なのだ。


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