ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

非正規社員制度を許すまじ! 労働者派遣法の廃止を!

2007年07月11日 | 時事問題
asahi.com 2007年07月10日21時30分
私鉄総連、2万人の正社員化を要求へ
私鉄やバスなどの労働組合でつくる私鉄総連(230組合、12万人)は10日、松山市で中央委員会を開き、非組合員を含む非正社員2万人程度の正社員化を、会社側に求めていくことを決めた。産業別労組が正社員化の具体的な要求を掲げる例は少なく、他の労組にも影響を与えそうだ。
私鉄総連は07年春闘でも非正社員の賃上げなどを求めてきたが、輸送の安全確保などのためには待遇改善だけでなく正社員化が必要と判断。3年以上継続して働く契約社員やパートらを社員として採用するよう、傘下の労組が会社側に働きかける。

現状の社会は格差社会なのか 橘木俊詔 「格差社会」より 
 格差をどのような数値から検証するかというと、現在の政府統計データではあらゆる日本人を対象にしているという点で「所得再分配調査」が一番信頼性が高い。つぎに格差の定義であるが「ジニ係数」なるものが使われる。税引き前の所得を「再分配前所得」といい、税引き後の所得を「再分配後所得」という。税というものは社会の公平を保つために高額所得者からは多く集め、低所得者からは少なく集めるもので税引き後の所得差が小さいほどその社会は平等とみなされる。しかるに再分配後所得のジミ係数は1990年からじわじわ上昇し不平等は広がっている。

 OECD調査によると世界で、日本はイギリス・米国並にジミ係数は高く不平等の高い社会になった。新保守主義国の特徴である。生活保護受給人数も上昇し80万人(1995年)から140万人になった。貯蓄を持たない世帯数は1990年には10%(1995年)から2005年には23%に増えた。自己破産申し立て数も3万人(1995年)から20万人(2,005年)に、ホームレスの人数も東京都で3000人(1995年)から5,000人(2,005年)に増えた。平均的所得の50%以下を貧困者と定義するOECD調査によると、貧困者率は日本は15.3%、米国は17.1%(2004年)と世界の5位以内に入っている。

 格差が進行した四つの要因を考えている。長期不況と失業、雇用形態の変化、所得分配システム(賃金と税・保険料)の変容、構造改革が要因だとする。日本経済は1990年のバブル崩壊から十五年ほど長期の不況にあえいでいる。失業者は2%(1990年)から4.5%(2003年)に増えた。最近不況から企業は立ち直りつつあり失業率も4%ぐらいになったが、失業者は高齢者に多い。企業は人件費を抑えるためと景気によって簡単に首を切るため雇用を非正規雇用(パート、派遣、請負)に切り替えた。正規雇用者を1とすると6,7割が非正規雇用者である。雇用が極めて不安定であると同時に賃金が正規雇用者の半分に満たないし保険にも入っていない。。賃金の企業間格差と個人間格差、都市と地方間格差も進行した。最高所得税率が70%(1986年)から37%(1997年)に下がり高額所得者は優遇されている。社会保険は定額であるので高額所得者はますます優遇されます。金持ちは当然だというが、これが再配分後所得の不平等を助長している。新保守主義の構造改革は経済効率を上げるために市場原理の活用(規制緩和)と減税による企業活性化と福祉の切り捨てを特徴とする。こうして構造改革は不良債権の処理、地方公共事業の削減を行って一定の成果を上げた。その結果現在の日本の格差がどうなったかを次に検証する。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿