ブログ 「ごまめの歯軋り」

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環境書評 井田徹治・末松竹一郎 著 「グリーン経済最前線」 岩波新書

2012年06月11日 | 書評
20世紀型ブラウン経済を脱却し、グリーン経済に向けた世界の取り組み 第1回

序(1)
 本書を手にして読了するのに2時間はかからない。それほど内容がこれまでの域を出ていないのと、かつ分かりやすく書かれているので流し読みができるからだ。深く考えさせられることが少ないともいえる。本は何も早く読むことが目的ではなく、人の考え方や新知識についてじっくり考えることが最大の目的である。そこで本書がいいたいことは何かに絞ってみよう。福島原発事故が日本に突きつけたものは、世界でも少なくないエネルギーを消費し、原子力エネルギーと化石燃料のエネルギーを同時に小さくしてゆかなければならない困難な課題である。今回の破局には、地球の制約を無視しひたすら効率重視の成長を追求してきた20世紀型経済(ブラウン経済)の限界を見せ付けられた。原発開発が始まったのは1950年代であり、化石燃料による地球温暖化が議論されたは1990年代(1992年ブラジルのリオデジャネイロの地球サミット)であるので、両者には直接の関連は無い。人間の経済活動が地球温暖化の最大の原因だとすれば(これには異論があり、太陽活動のサイクルに過ぎないという説もある)、人口と経済活動の縮小かあるいは経済のパラダイムシフトによってしか地球を救う道はないだろう。成長の限界が叫ばれてからもう大分経過した。
(つづく)


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