ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

アメリカの2記者帰国を見て、日本政府の無気力を嘆く拉致被害者

2009年08月06日 | 時事問題
朝日新聞 2009年8月6日1時45分
「弟の解放、想像した」拉致被害家族に希望 米記者帰国
 クリントン元米大統領が訪朝し、拘束されていた米国人女性記者2人が帰国したことは、日本の拉致被害者の家族たちに希望を与えた。
 78年に弟の修一さんが拉致された市川健一さん(64)は、米国人記者が解放された映像を見て良かったと思う一方、うらやましさも感じた。「弟が解放される姿を想像した。アメリカは人権問題に本当に一生懸命になってくれる」
 助け出すためのクリントン氏の行動を見て、「それに比べて日本はどうだ」と思ってしまう。修一さんは拉致されたと分かっているのに、30年以上何の進展もない。「日本にも口だけでなく、行動してくれる政治家はいないのだろうか」

オーム真理教事件、北朝鮮拉致事件を見て、日本の警察、外務省、そして政治家たちの無気力、無能に絶望的に腹が立つ

8月6日 広島原爆の日

2009年08月06日 | 時事問題
朝日新聞 2009年8月6日3時52分
核なき世界願い、川面に投影 原爆ドームそばの元安川
 広島は6日、原爆投下から64年目の原爆の日を迎える。原爆ドームの西側を流れる元安川では5日夜、イラストレーター黒田征太郎さん(70)が核廃絶を願って描いた絵本が朗読され、原画が川面に投影された。6日午前8時から広島市の平和記念公園で平和記念式があり、秋葉忠利市長が核兵器の廃絶に向けて世界市民の結束を呼びかける。

オバマ大統領の「核廃絶」にあまり期待しないように アメリカは他国の核を廃絶したいだけ 
アメリカの国益に反する行動をすればオバマは暗殺されるから

読書ノート 福島孝徳著 「神の手の提言ー日本医療改革」 角川oneテーマ21新書

2009年08月06日 | 書評
顕微鏡手術の世界的権威による、日本の医療改革11か条の提言 第7回

2) 医療崩壊と改革 (1)

 2007年度の日本の国民医療費の総額は33兆円4000万円であった。これを国民総生産GDPで割った比率は日本は8.2%で、OECD加盟国30カ国中21位であった。10%以上の国はアメリカ、スイス、フランス、ドイツ、ベルギー、ポルトガル、オーストリア、カナダであった。なんとあの新保守主義サッチャリズムで医療崩壊したイギリスよりの低い比率であった。日本の医療費削減が著しくなったのはイギリスよりも10年以上も後れて、21世紀になって小泉元首相の「改革」の時である。「聖域なしの改革」と称して一律3%の経費削減を命じられた「優秀な」厚生労働省官僚が「医療崩壊」の引き金を引いたのである。ある意味ではこの世は金で動いている。金を絞られたらきれいごとはいってられない、すべての医療機関で見境なしの改悪が進行したのである。人件費を切りベット数を大幅に削減し、診療報酬の引き下げで、法定医療費では必要な手術器具や材料も変えない状態に陥った。そして、病院は次々と赤字経営となった。薬価差益の縮小で原価しか請求できないのでは、病院の利益の源泉がなくなり赤字が当然となった。医療費には消費税が付いていないが、病院が買う薬・資材・機器には消費税が付いてくる。とうぜん病院には消費税を課してはいけない。医療法人は企業ではないが、NPOではない。利益なしでは維持さえ困難である。1990年代イギリスのサッチャー首相は国家財政の再建のため医療費抑制政策を取った。イギリスにはNHSという医療保険制度があったが医療崩壊を招いたのである。先ず人件費抑制のため医療従事者の賃金が下げられ、他国へ医者が流失した。医者のアポイントをとるのに3ヶ月、入院待ち患者が100万人となった。結局ブレアー首相が2000年になって医療費拡大の大改革をおこなった。イギリスで医療崩壊から医療費拡大をやっているのを横目で見ていて、日本は1週遅れの医療費抑制政策をおこなった。その結果今日本は医療崩壊の現実に直面している。日本の「失われた15年」とはよくいったもので、老人性呆けのようにある時期の記憶が全て失われたようだ。人は経験から学ばないようで、何度でも同じ過ちを犯すものだ。
(続く)

読書ノート 水野和夫著 「金融大崩壊」 NHK出版 生活人新書

2009年08月06日 | 書評
「アメリカ金融帝国」の終焉 第9回

「アメリカ金融帝国」の誕生から終焉まで (4)

 この「アメリカ型金融帝国」モデルには隠された秘密がある。アメリカの投資の有り方が完全にバブルうを前提としたモデルに立っているからだ。たとえば「アメリカ投資銀行株式会社」が1兆ドルを借りて、7000億ドルを経費や賃金に費やし、残った3000億ドルを海外投資に廻したとする。ここに経費や賃金と云うのは「経常赤字」に相当する。極めて高コストなおかしな会社であるが、4000億ドルから1兆ドルを返すには投資先から3倍から4倍のリターンが必要である。そんな利潤が得られる投資とは実物経済ではありえない。必然的にキャピタルゲインしか方法はない。こんな高い収益構造は投資先の海外でバブルを引き起こすしか手は考えられない。古い資本主義経済学では金融経済は実物経済の動向で決まる付属物と考えられてきたが、しかし金融資産の膨張によって実物経済の数倍の規模で動いているので、逆に金融経済が実物経済を振り回すようになった。金融資産の価格が下落すると、実体経済は不況に陥るのだ。アメリカは金融機関を救済するために公的資金を導入するといっているが、それは国債に頼ると云うことだ。2008年度のアメリカ財政赤字は4548億ドルである。2004年新規国債発行高が年間平均4000億ドルとなって以来、買っているのは94%が外国である。第1位はイギリスで1850億ドル、第2位は中国で730億ドル、第3位はブラジルで350億ドル、日本は僅か30億ドルだ。アメリカには新規国債発行の引受能力も償還のあてもない。値下がりがわかっているドル建てのアメリカ国債を,アメリカ金融システム安定化のために引き受ける国はもうないだろう。G7,G20のサミットでそれが示された。アメリカの対内対外証券投資の収支を見ると、2007年までは外国からの資金流入が優っていた。しかし2007年後半から逆転し、外国の資金回収がプラスとなり、資金流入はマイナスとなった。もうアメリカに投資する流れが途絶えた。そうするとアメリカは国民が消費を減らし生活レベルを落とさざるを得ない。次期オバマ政権の経済成長率は2009から2012年まで年平均マイナス0.6%と予測され、2009年のアメリカの財政赤字は1兆ドルとなる見込みである。G7というアメリカ追随国会議の役目は終った。そうなると世界金融経済の主役からアメリカが降りた後、だれも主役になる国はいない。いわゆる「無極化」へ向かう。
(続く)