アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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菅・翁長“密室会談”ー「普天間移設代替案」は必要ない

2015年04月04日 | 沖縄・辺野古

           

 菅官房長官がきょう4日沖縄を訪れ、あす5日午前、翁長知事と会談します。

 見過ごせないのは、会談が県庁ではなく、那覇市内のホテルで行われ、しかも公開は冒頭だけ(頭撮り)で、会談内容は非公開という“密室会談”になったことです。

 沖縄県側は、「全部公開が筋との考えもあったが、『今回の会談自体、官邸が催す形で、公開・非公開についても決めるのは向こう側だ』(県幹部)と、公開の是非まで強く求めることはできないという立場」(4日付琉球新報)だったといいます。

 果たしてそうでしょうか。仮に「非公開」が政府側の要求だったとしても、翁長知事はそれに反対し、公開を主張することはできたはずだし、そうすべきでした。「民意を伝える」(翁長氏)会談を非公開にする必要はまったくないからです。しかし翁長氏は「非公開」で政府と一致しました。

 「非公開」がどちらからの要望であったかにかかわらず、その目的は、県民・国民には知られたくないやりとりがある、ということにほかなりません。県民・国民の目の届かない所で、辺野古新基地強行へ向けた「妥協案づくり」が進行することが危惧されます。

 “密室協議”で菅氏が持ち出すとみられるのが、「普天間基地の危険性除去」という口実です。「辺野古移設が唯一の解決策。普天間飛行場の危険状況について知事はどう考えているのか」(2日の記者会見)という菅氏が、辺野古でないなら普天間基地をどこに移すのか代替案を示せ、と言ってくるのは明らかです。

 これについて記者団に聞かれた翁長氏は2日、「これは(菅氏と)直接話をした方がいい。一言でこういった話をすると誤解を招く」(3日付沖縄タイムス)と明言をさけ、この問題で菅氏と協議する姿勢を示しました。翁長氏のこうした態度は、“密室協議”への危惧をいっそう強めるものです。
 なぜなら、辺野古に代わる代替案を沖縄県側から示す必要などまったくないからです。

 そもそも普天間基地は、「沖縄における地上戦がまだ続いていた一九四五年六月、米軍によって、土地所有者の権利はおろか、住民の存在それ自体を無視して、日本攻撃のための基地として建設された。それは、戦闘終了と同時に、本来の土地所有者に返還されるべきものであったが、米軍は、国際法規を無視して居座り続け、沖縄返還後は日本政府の協力も得て、ここを『世界一危険な飛行場』といわれるまでにその軍事機能を強化していた。このような基地の返還に際して、代わりをよこせと要求することは、いわば『盗人猛々しい』というべきであり、到底沖縄民衆の容認するところとはなりえなかった」(新崎盛暉氏『普天間基地問題から何が見えてきたか』。太字は引用者)からです。

 実は翁長氏も、知事選へ向けた政策では同様のことを述べていました。

 「普天間基地の移設先を沖縄県が探すというのは発想が違うと思います。沖縄の基地は、戦争が終わって収容所にいっている間に、土地が囲われて、そこに帰ってきたら基地ができているわけです。今まで、一度たりとも基地を望んだわけでもない沖縄に70年も放置して、これを一つ動かすときに、県外はだめだから沖縄に置くしかないという発想そのものが間違いです」(2014年10月21日の政策発表記者会見での一問一答。同22日付しんぶん「赤旗」)

 これが翁長氏の選挙公約です。
 「普天間移設の代替案」を求める菅氏に対し、翁長氏はそれこそ一言、それは「発想が違う」、国際法を無視して奪い取った普天間基地は、無条件閉鎖・撤去・返還以外にありえない、と答えるべきなのです。
 そこに「妥協」や「協議」の余地はないはずです。

 
 


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