桜木柴乃「ふたりぐらし」読み終わりました。
私がこれを読んで一番に思ったことは
夫婦は近いけど遠くて遠くて近い不思議な関係
だということ。
なんだそれ?
と思うかもしれないけど
なんかそう思った。
だって
夫婦ってもともとは他人で
どういうわけか知り合って
惹かれあって
結婚して
家族になる。
そして
他人なのに
親よりも長い時間を過ごす。
でも
お互いの家族のことを
相手に言えなかったり・・
「この人にだけは知られたくない」
そういう
胸の内に隠した秘密があったりする。
信好と紗弓を見ていたら
自分ににも当てはまるなって思った。
信好が母テルのことを紗弓に言えなかったり・・
紗弓も信好に母春香のことを話すことができなかったり・・
ひねくれ者のテル
感情を直にぶつけてくる春香
信好と紗弓の結婚をよく思っていない2人
余計に家族同士のことは言えなくなってくる。
仕事がなく
紗弓の収入に頼っている信好
それも紗弓への引け目になっている。
母テルが急死する。
そして
母の住んでいた家に
2人は住むことになる。
それは紗弓の提案だった。
母がその家で
毎日どんな気持ちで住んでいたのか?
それを
紗弓の言葉で初めて気づく信好
ひねくれ者の母が口に出せなかった
父への思い
半額シールの物を大量に買い
腐らせて捨ててしまっていた母
それは
父とずっとこの家で暮らしているつもりだったから
そして
紗弓の知らないところで
紗弓の父と秘密を持ってしまう
信好
意外な義父の一面を覗き見ることになる
こおろぎを1匹ずつ捕まえて外に逃がしていた紗弓
「お互いに嫌な思いをしないように」と。
そんな紗弓を選んだ信好
でも
「理想の人」かと聞かれると・・
考え込んでしまう。
夫婦ってそんなものなのかもしれない。
なんで?
そう聞かれると正確に答えることはできない。
だけど
いつの間にか自然に隣にいて
いつの間にか
親よりもお互いのことが分かっていて
なんだか不思議な関係だ。
自分のことに当てはめてもそう思う
死ぬときに
「一緒にいてくれてありがとう」
そう言える関係になれたら
最高なんだろうと思う
あらためて夫婦ってなんだろう?
そう考えさせられた作品でした
幸せって特別な事じゃなく・・
案外気付かないうちにいつもあるものなのかもね