つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

奈良へ

2017年05月08日 | 旅行記

連休の後半は、二人で奈良に出かけて参りました。

女人高野で皆さまにお馴染みの室生寺。

十一面観音像を拝見に伺いましたが、思いがけず石楠花の開花時期にあたり

沢山のお花に癒されました。

 

 

真言宗豊山派の総本山、長谷寺は花の寺でお馴染みですね。

実家がお世話になっているお寺の総本山ですので、一度伺ってみたかったのですが

灯籠の吊るされている長い登廊(のぼりろう)はとても美しく、父のことを色々思い出しながら前へ前へ歩きました。

 

東大寺では、修学旅行とは違う感慨で仏像の数々を拝見しました。

若草山の近くに宿を取りましたので、朝の比較的早い時間に三月堂をゆっくり拝見。

 

 

国宝ばかりのお堂にいて何だかとても涙が出ました。

勿論、大仏さまもあらためて拝見、

「大きさ」のなかにも「美」が宿るということを初めて知りました。

 

 

美術館では、国立博物館の「快慶展」でこちらも鎌倉の仏像の数々を鑑賞。

「なら仏像館」の常設展でも多くの仏像を拝見。。もうそのころには頭の中が仏像だらけで、どれがどの時代の制作だったか??

わかったような、全くわからなくなったような。。になりました。

 

最後に伺ったのは中野美術館さんです。

以前から何度がお邪魔していますが、開館時期と合わず、今回が初めての入場となりました。

 

 

 お分かりになりにくいでしょうか?

村上華岳のスケッチ、風景画「山科写生」大正5年の作品です。

びっくり!若いころの風景画を私は初めて見ました。

どこにも手を抜かず華岳らしい集中力。そしてどこかロマンチック。

今回拝見した絵画のなかでは、一番に感動した作品でした。

こちらもわかりにくいですね、ごめんなさい。

中野美術館さんは日本画では華岳、波光、そしてこの冨田渓仙の蒐集で有名です。

これは大正初めころの「鵜飼」。

この作品とは違いますが、このころ渓仙は「鵜飼」を出世作としたそうです。

東大寺の裏道には土塀が続き、とても静かな風景が続きます。

奈良は京都より、少し古い時代の美術品を

自然の中でゆっくり鑑賞できるところが魅力的ですね。

お食事も山菜料理など京都より少し田舎風であり、精進風でもあり

私たちにはびったりです。お料理の器も漆器が多く、とても楽しめました。

 

 

このゴールデンウィークはお茶碗と仏像を沢山鑑賞させていただきました。

本当に沢山。

自分の眼が少しづつ変わっていくことも実感できました。

 

そして、

「ゴールデンウィーク明けには、うちの店の作品が甘く感じられてしまうのでないか?」

という心配もなく、今日は当店の作品に接することができました。

 

50代の半ばを過ぎ、佐橋も私も、少しづつ、目がまとまってきているのかもしれません。

本当の自分へ、本当の美へ。

これからも近づいてゆきたいと願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よりぬき 長谷川町子展

2017年05月05日 | おススメの展覧会、美術館訪問

行って参りました!サザエさん生誕70年記念展!!

 

今回は長谷川町子美術館所有の近代日本絵画の展示はありませんでしたが、

サザエさんの4コマ漫画の原画をひたすら見て、読み、とても楽しめました。

15才で天才少女と言われただけあって、やはり絵がお上手で、

長く描けば描くほどリズムが生まれ、また上手になっていかれたんだとなぁと感じました。

お父様を早く亡くされ、また戦争もあり、ご苦労は多かったのでしょうけれど、

結局人生は生き生きと楽しい!をサザエさんや意地悪ばあさんで見事に表現されて、

読んでいる私たちに元気をくれます。

東京世田谷の長谷川町子美術館さんにも是非伺いたいと思います。

 

よりぬき 長谷川町子展は

名古屋松坂屋美術館 で5月24日まで開かれています

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花森安治の仕事  碧南市藤井達吉現代美術館

2017年05月04日 | おススメの展覧会、美術館訪問

 

昨日は碧南市藤井達吉現代美術館に伺い

「花森安治の仕事ーデザインする手、編集長の眼」を拝見しました。

 

NHK朝のテレビ小説「とと姉ちゃん」で話題になった雑誌「暮しの手帖」の

創刊者でもあり、編集長であった花森氏の描いた作品と編集者としての仕事内容についての

展覧会です。

碧南は少し遠いですし、始めは伺うつもりはありませんでしたが、

お近くのSHUMOKUギャラリーのオーナーさんが

「花森さんは佐野繁次郎のお弟子さんなんですよ。だから作品もとても面白いです」と

教えててくださったことがきっかけで、出かけることになりました。

 東京帝国大学文学部美学史学科を卒業した花森氏は学生時代から

知己を得ていた佐野繁次郎が手掛けていた伊藤胡蝶園の広告の仕事を手伝うようになり

挿絵や編集の世界に身を置きはじめます。

 

花森氏の線はどれも大変な集中力のもとに丁寧に引かれ、隙がありません。

また戦争体験を通し、「暮らす」ということの本当の意味を深く知り、

自ら真剣に日々を暮そうとした人の温かな線であるように感じます。

 

 

暮しの手帖という雑誌は、幾度も「商品テスト」を繰り返したことでも話題になりました。

私達が一番惹かれたのは「クレヨンとクレパスの商品テスト」です。

なんと!本物の画家、、梅原や三岸、小磯といった大画家がその商品テストを行った

ことに驚きました。

商品テストの仕方も画家それぞれで

たとえば三岸節子は他の画家が四角か長方形に色を塗っていくのに対し、一人だけ

大きな〇で色を塗っていく

梅原はおおよそどのクレヨン、パスの評価にも◎をつけてしまう寛容さ、

伊藤清永は必ずすべての色を濃く、また薄くぬり、清永の画風らしいクレパスの扱い方、

小磯は微妙な色の評価に△が目立つなどなど。。。

商品テストにも、その画家らしさが多く出ていて、大変面白く、展示の場を二人でしばらく占領してしまいました。

花森氏がお孫さんに宛てたいくつものお便り。

この優しさに何だか少し涙が出そうになりました。

 

 

花森氏の仕事は、日本の戦前と戦後の狭間、芸術と生活の狭間、文学と美術の狭間を一つ一つ丁寧に埋めていく、、大変貴重な、美しい仕事であったと思えます。

 

碧南の展覧会は5月21日まで、そのあと高岡、岩手を巡回予定です。

よろしければ皆さまお出掛けくださいませ。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする