あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

五・一五事件

2018年02月28日 16時25分14秒 | 五・一五事件

大広間に入ると佐官連中が綺羅星のように並んでいる。
中心にいた永田鉄山が、「こっち へ来い」 と、片隅に誘って対座した。
永田は開口一番
「今日の事件は、お前がそそのかしたのであろう」
と 詰問した。
菅波は自分の近況と 青年将校を暴走させぬよう努力している旨を、静かな口調で語った。
永田は納得したか否かはわからぬが、黙然として聞いていた。
そこの一座のなかから
好 奇心をもったらしい東條英機(大佐、参謀本部編制動員課長)が、
ゆっくりと近づいてきた。
「君はあっちへ行ってろ」
と 一喝されて、東條は苦笑しながら引き返して行った。
・・・菅波三郎 ・ 「 今日の事件は、お前がそそのかしてやらしたのだろう 」


・・・ 西田はつ 回顧 西田税 1 五・一五事件 「 つかまえろ 」 

五 ・ 一五事件
目次
クリック して頁を読む

・ 
井上日召  五 ・一五事件 前後 
・ 藤井中尉、血盟団 小沼正、国家改造を誓う
・ 五 ・一五事件 ・ 「 士官候補生を抑えろ 」 


日本國民に檄す!
日本國民よ!
刻下の祖國日本を直視せよ
政事、外交、經濟、教育、思想、軍事・・・
何処に皇國日本の姿ありや
政權党利に盲ひたる政党と 之に結託しに民衆の膏血を搾る財閥と
更に之を擁護して圧制日に長ずる官憲と 軟弱外交と堕落せる敎育、
腐敗せる軍部と、悪化せる思想と、
途端に苦しむ農民、労働者階級と而して群拠する口舌の徒と!
日本は今や斯くの如き錯綜せる堕落の淵に既に死なんとしてゐる
革新の時機!今にして立たずんば日本は亡烕せんのみ
國民諸君よ
武器を執つて!
今や邦家救済の道は唯一つ 「 直接行動 」 以外の何物もない
國民よ!
天皇の御名に於て君側の奸を屠れ
國民の敵たる既成政党と財閥を殺せ!
横暴極まる官憲を膺懲せよ!
奸賊、特権階級を抹殺せよ!
農民よ、労働者よ、全國民よ ・・・・
祖國を守れ
而して・・・・
陛下聖明の下、建國の精神に皈り、
國民自治の大精神に徹して人材を登用し、
朗らかな維新日本を建設せよ
民衆よ!
この建設を念願しつゝ先づ破壊だ!
凡ての現存する醜悪な制度をぶち壊せ!
偉大なる建設の前には徹底的な破壊を要す、
吾等は日本の現状を哭して、赤手、世に魁けて諸君と共に
昭和維新の炬火を点ぜんとするもの
素より現存する左傾右傾、何れの國体にも属せぬ
日本の興亡は 吾等 ( 國民前衛隊 ) 決行の成否に非ずして、
吾等の精神を持して續起する國民諸君の実力如何に懸る
起て!
起つて、眞の日本を建設せよ!
昭和七年五月十五日
陸海軍青年将校
農民同志

五・一五事件 士官候補生・後藤映範 『 陳情書 』
・ 
五 ・一五事件と士官候補生 (一)
五 ・一五事件と士官候補生 (二)


・ 
五 ・一五事件 『 西田を殺せ 』 
・ 五 ・一五事件 ・ 西田税 撃たれる 
五 ・一五事件と山口一太郎大尉 (1)
五 ・一五事件と山口一太郎大尉 (2)
・ 
菅波三郎 ・ 懸河の熱弁
・ 
菅波三郎 ・ 「 今日の事件は、お前がそそのかしてやらしたのだろう 」

・ 
安藤大尉 ・ 『 昭和維新 』を幹部候補生に訓示す

先般、不幸にして勃發いたしました陸海軍將校の、首相暗殺事件につき、
聖上陛下にはいかに御宸念遊ばされましたことか、
洵に恐懼の至りに堪えぬところでございます。
しかし乍ら今回の事件は偶發的に起こったものでなく、
その根底には國家の現狀と將來を深憂する多數の皇軍將校と、愛國青年群が存在いたします。
政党政治は國家百年の大計を捨てて、目前の党利党略に抗爭を事とし、
財界は皇恩を忘れて私利私欲の追求に餘念がありません。
近年の經濟不況によって、一億國民の大多數は塗炭の苦境に呻吟いたしております。
洵に餓民天下に満つと申しても過言ではありません。
天下萬民の仁父慈母に存します聖上陛下におかせられましては、
この國民の困窮を救うため、速やかに昭和維新の大詔を渙發あらせられ、
内は百僚有司の襟を正さしめ、財界の猛省を促し、上下一體となって國利民福の實をあげ、
外に向っては國交の親善を増進して、大いに皇威を發揚し、
以て帝國興隆の基を築かれんことを、
草莽の微臣、闕下にひれ伏して、謹んで奏上仕ります。

・・・紫の袱紗包み 「 明後日参内して、陛下にさし上げよう 」


この記事についてブログを書く
« 紫の袱紗包み 「 明後日参内... | トップ | 村中孝次 「 やるときがくれ... »