あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

核心 ・ 竜落子 『 時局寸観』

2018年01月08日 10時24分58秒 | 國家改造・昭和維新運動


時局寸観

竜 落 子

満洲國皇帝の御來朝
明治天皇對露宣戰の詔勅に宣ふ
---若シ満洲ニシテ露國ノ領有ニ帰セン乎 韓國ノ保全ハ支持スルニ由ナク
極東ノ平和 亦 素ヨリ望ムヘカラス---
と。
然して日本は日本自身の興廢を賭し一切をあげて戰つた。
星移り物換る玆に三十年。
當時の韓國は日本と併合して、其の大陸に於ける重要なる一地方朝鮮となつた。
當時日本と同盟の盟約を結んでいた英國、陰に陽に日本を支援した米國は、
今日日本を向ふに廻して極東制覇、從つて世界制覇に砕心しつつある。
當年勧告を攪亂しながら露國と款を通じて日本に對抗した支那は、革命を遂行して孫文之れを支配するや、
爾來彼の英米を語り 更にボルセビキ露國と聯繋し 一層烈しき抗日を繼續して來て居る。
然して彼の露國はロマノフ王政仆れてボルビキ政權を樹立したが、
其の極東侵略は宿命の如く、電燈の如く 寧ろ激化するとも一歩の退轉もない。
即ち對露宣戰當時に於ける満洲其者の 「 極東の平和 」 に對する立場は、
韓國が朝鮮となりて日本と満洲とが直接々壌するに至つた今日、
革命と共に更に凶惡化したる露支兩國と、日本を押へんとする英米が之を暗に支持擁護するに至つて居る今日、
いよいよその重大性を可とも、決し輕減していないのだ。
換言すれば前掲詔勅の 「 露國 」 は今日 「 英米を背景とし支援者とする露支兩國 」 に擴大され強化されて居る。
是れ当年 「 露國の満洲領有 」 を忌いまわしみ恐れねばならぬことである。
日本の爲め、極東の爲め、而して満洲其者の爲めに、
この凶惡なる魔手から満洲を救出し庇護し扶導する日本最上の途は、
日満の一體的發展にあること正に當然の理であり必要の事である。
已にして満洲事変あり、満洲國家なり、
而して昭和十年四月六日地球上唯一の盟邦元首として 満洲國皇帝親ら來朝して、
天皇陛下と握手の礼をなし給ふ。
誠に歴史的壮観である。
對露の血戰終つて三十年にして略々成る。

國體問題
内務當局は美濃部達吉博士の著作中二三の主要なるものを禁止處分に附した。
司法當局は博士其人を起訴すべきか起訴猶豫にすべきかを目下 「 慎重 」 に考究中だと云ふ。
文部大臣は全國管下各方面に對し、教育總監は全陸軍に對し、
「 國體は確立して居る。邪説に惑ふ勿れ、更に益々國體顯現に努力せよ 」
と云ふ訓論を發した。
相成るべくは、先づ此の程度或は稍々 やや 進んだ程度の処置を以て、
換言すればいい加減に鎮撫解決したいといふ官邊の意嚮の如くである。
元來、國體とは何ぞや。
それは單なる學説ではない。
國家の現実實としては政治的にも經濟的にも其他百般の部門に政治的經濟的其他各部門的に發現さるべく、
されてあるべき性質のものである。
國民としては此の國家の各部門に於ける其の生活行動に、國民として體現實践すべく、
して居るべき意味のものでなければならぬ。

伝へ聞く、十一月廿日事件に連座した青年將校諸君に對する當局の處分理由に曰く
「 被告人ハ我國現時ノ情勢ハ腐敗堕落セシ所謂支配階級ノ横暴ト無自覺トニ依リ
宿弊山積シ國體ノ原理タル一君萬民君民一體ノ理想ニ反スルコト甚シキモノアリ
速ニ國家ヲ改造シテ政治上經濟上等各般ノ部門ニ國體減にヲ顕セザルヘカラス爲シ 」 云々と。
これだ! 實に盡し得て妙である。
「 國體を明徴にする 」 とは、美濃部博士の著者との処分ではない。當局の訓論ではない。
誠に國體は今日の日本に維新を要求すること火の如く急なるものがある。
維新を要望するものは區々國民ではない。
三千年の國體其者が國民の魂を透し、國民の魂に命じて要求して居るのだ。
□は今日の日本が國體叛逆の思想勢力によつて左右され、國體の原理が埋没せしめられて居るからである。
例へば
元老重臣等中心思想。
議會中心主義的政黨政治思想。
資本主義、共産主義。竝に亜流として其の中に介在する所謂金融フアツシヨ、國家社會主義、一國社會主義。
官僚 ( 幕僚 ) 中心思想。
等々。凡そ是等は悉く所謂天皇機關説又はそれ以上の邪道を實践しつつある所のものである。
一般に口を開けば重臣、政黨、財閥、官僚、軍閥と云ひ、その駆逐打倒が維新の主働であると云ふ。
然らば、「 國體を明徴にする 」 ための此の國體叛逆勢力を打倒することは同時に維新であらねばならぬ。
「 機關説 」 排撃は、美濃部博士に次いで一木樞府議長へ、金森法制局長官へ、
其他同學系の諸氏へ、躍進轉戰すると共に、一切の非國體思想に進撃せねばならぬ。
これが戰ひ一たん収まる時、昭和維新の旭日は東天を染めて居るであらう。
再言する今日の國體明徴は、維新と同義語である。

・・・革新 記事の一部  現代史資料5 から