嶋津隆文オフィシャルブログ

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学校をなくすということ、学校がなくなるということ

2015年02月28日 | Weblog

【堀切小閉校式】

2月26日、2・26事件の日に始まった田原市の予算議会。その冒頭に教育長として来年の教育方針を表明しました。併せて教育長を辞任する旨表明。そこではどうしても触れたかった学校再編について、以下のように述べました。

「この2月の初旬、3つの小学校で閉校式が行われました。堀切、伊良湖、和地の3小学校です。地域の人が総出であり、そこでは消えていく学校への惜別の思いが感じられました。しかし多くの方は「新しい伊良湖岬小学校としての伝統と文化をしっかり創ってほしい」との期待を口にしておりました。堀切小学校にあっては90人余の全校児童が、多くの友達ができることに希望を持ち、『未来は僕らが主人公』と目を潤わせ歌っておりました。

この光景に、一昨年来進めてきた学校再編が地域にも親御さんにも子供たちにも受け入れられたものと胸をなでおろした次第であります。未来を担う子供たちは限られた小人数の中で育つのでなく、より多くの友達に囲まれる中で社会性を育まねばならない、そう改めて確信いたしました。

教育委員会は、こうした一連の学校再編の話し合いで頂いた地域の方々からの意見を基に、昨年12月に「学校再編の全体配置計画」を策定いたしました。27校を15校へ再編する大きな改革でありますが、今後この計画を着実に進めていきたいと考えております。特に来年度は野田中の田原中への統合準備のみならず、岬中および泉中といった中学校統合の議論も予定されており、その合意に向け地元の皆さんと丁寧な意見交換を重ねて参るつもりでおります。

なお私どもが学校再編の作業を通じて肌で感じましたことは、少子高齢化の中で地域の将来がどうなっていくのかとの地元の皆さんの不安であります。昨年「消滅自治体」という言葉が広がりました。田原市は全体でこそそのリストに入りませんでしたが、表浜や渥美・野田といった地域の人口減少は深刻であります。すなわち学校再編問題は、ひとり少子化対策というだけでなく、自ずとその地域の人口増、産業振興といった地域おこしと不可分であります。そうした点では今後、より市長部局との連携を図りながら、総合的な地域づくりの視点から学校再編作業に取り組んで参りたいと考えております」。

…そうなのです。学校再編は少子化対策というだけでないのです。人口増、産業振興といった総合的な地域づくりの視点が求められるのです。しかし全国で進む人口減少社会の中で、どんな施策が可能というのでしょう。


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そうか念仏寺の住職が広隆寺弥勒様の指を直したんだ

2015年02月20日 | Weblog

【愛宕の念仏寺】

嵯峨野の愛宕(おたぎ)の念仏寺に足を運んだのは、化野の念仏寺に行った帰りのクシー運転手の一言でした。「あのお寺さんの住職は昔、京大生が指を折った広隆寺の弥勒菩薩を修復した人ですよ」。

愛宕の念仏寺は渡月橋から北へ3km。京都のはずれにあるだけに参拝者は多くはないようです。しかし全国から集められた五百羅漢が並ぶことで知られています。その上での運転手の一言です。すぐにタクシーをUターンさせ、その境内に向かったものでした。

住職の西村公朝仏師は昭和15年東京美学校卒。三十三間堂の千体観音像の修復に従事したことで有名です。彼は全国に羅漢像を造ることを呼びかけ、平成3年に念仏寺に「千二百羅漢」を完成させます。

狭い境内と崖にびっしりと立ち並ぶ1200体は圧倒的です。おどろおどろしくもありユーモアもあり、素人づくりだけにどれもが稚拙なのは否めません。しかし稚拙だからこそ見る人の気持ちを思い切り和ませるといってよいようです。

それにしても昭和35年の広隆寺弥勒菩薩の指骨折事件は今も強烈に思い出されます。「あまりにも美しくつい手を触れてしまった」と当時の新聞に京大生の弁がありました。三島由紀夫の『金閣寺』を想起させるようなこの事件に、当時京大受験を目指していた自分はことのほか動揺したものでした。

西村仏師はこの弥勒菩薩の修復に際し、三つに割れ捨てられた指の破片を道端の草むらから捜し出し、完璧な修復を施したといわれます。壊れたものを元に戻す。そうした地道で誠実な作業が昨今ひどく尊いものに思われるのは、私自身の加齢のなす所以に違いありません。


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亀岡に大本教を尋ね高橋和巳『邪宗門』を懐かしむ

2015年02月17日 | Weblog

先週末、京都亀岡の湯の花温泉で過ごした帰路、亀岡に本部(教宣部)を置く大本教の施設に向かいました。学生時代に身震いして読んだ高橋和巳『邪宗門』。その舞台となったこの地を是が非でも見たかったのです。

馬齢を重ねた恥をここでも味わいます。一つはこの大本の敷地が明智光秀の亀山城跡であったことへの無知です。二つは大本教弾圧(大正10年、昭和10年)が、大本教信者を多く擁した軍部への、内務省の警戒として行われたとの指摘です。不明を恥じながらも、頗る興味を持っての訪問となりました。

すると教団の解説時に、同伴の同僚がふとこう言いました。「反逆の象徴たる光秀の居城をわざわざ本部として購入した出口王仁三郎。教義以上に反権威主義的であり、挑発そのものではなかったか」。そしてこうも呟くのに思わず賛同したものでした。「ひょっとして王仁三郎の強靭さは、子どもの頃に見た亀山城をただ単純に復元したかったからではなかったろうか」。

それにしても高橋和巳が39歳で逝って今年で44年。京大で紛争時に学生側を支持して辞職。『悲の器』『我が心は石にあらず』『憂鬱なる党派』の作はどれもこれも往時の学生には三島由紀夫や吉本隆明以上に読まれていたと言えましょう。「苦悩教の始祖」と呼ばれながらも、その圧倒的な知性にはまさに「うちにのめされた」ものです。その半世紀前の思いを苦く懐かしむ丹波の旅でありました。


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統廃合の3つの小学校で閉校式が行われました

2015年02月12日 | Weblog

【和地小】

2月の9日、10日、12日と連続して3つの小学校で閉校式が行われました。統廃合される渥美半島最西端の堀切、伊良湖、和地の3小学校で、この4月から新設の伊良湖岬小学校としてスタートすることとなります。

3校区とも地域の人が総出の式となり、そこでは消えていく学校への惜別の思いが漂っていました。しかし他方で、「新しい伊良湖岬小学校としての伝統と文化をしっかり作ってほしい」との期待も口にされていました。

堀切小学校にあっては、96人の全校児童が多くの友達ができることに希望を持ち、「未来は僕らが主人公」と目を潤わせながら歌っておりました。

この光景に、一昨年来進めてきた小中学校再編の取り組みが、地域にも親御さんにも子供たちにも受け入れられたものと胸を熱くした次第です。

未来を担う子供たちは、限られた小人数のなかで育つのでなく、様々な個性をもったより多くの友達に囲まれるなかで社会性を育まねばならない、そう改めて確信したものです。しかし私の心の中にも、どうしようのなく喪失感が残ることは否めません。


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「イスラム国は平和な日本と関係ない」等と言わせない

2015年02月09日 | Weblog

「イスラム国」のテロで日本人2人が殺害されました。苛烈な映像であっただけに日本では昨今、「こうした中東の紛争に巻き込まれてはいけない」「平和な日本はその平和を強く守らねばならない」、そんな高見の他人事のような発言が聞かれます。

しかしそれは日本人の独りよがりか傲岸というものです。例えばテルアビブ乱射事件を思い出さねばなりません。1972年のイスラエルのテルアビブ空港で日本赤軍3人が銃でユダヤ人旅行者26人を殺害した、あのテロ事件です。
当時は、テロリストが無差別に一般市民を襲撃することは前代未聞であり、事件は全世界に衝撃を与えました。アラブ人とユダヤ人間の抗争にも拘らず、実行犯が日本人であったことも衝撃でした。
またこの赤軍メンバ-の初めから死を覚悟した自殺的攻撃は、イスラム教の教義で自殺を禁じられていたアラブ人にとっては衝撃的であったともいわれます。しかしこの行動形態がその後のジハード(聖戦)に影響を与えるのです。

認めたくはないでしょうが、そうした事件を起こした我ら日本の同胞であったことを軽視してはならないです。

そういえば私自身、もう30年前になりますか、モロッコからスペイン、そしてイスラエルへ旅したことがありました。死海や古都エルサレムなど聖書の世界を訪れたいとの計画でした。しかしそうした契機など関係なく、テルアビブ空港での入国取り調べは、別室に連れて行かれ実に厳しいものでした。

モロッコというイスラムの国をわざわざ経由してイスラエルに来たのは何故か、イスラエルではどこにいく予定で、誰に会おうとしているのか。その厳しさは、私が乱射事件の岡本公三らと同世代の日本人であったことも災いしたようです。

そうなのです。紛争に国境はもはやない時代なのです。「中東は関係ない」等とは凡そ言えない時代であることを私たち日本人は知らねばならないのです。


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