嶋津隆文オフィシャルブログ

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「なるほど“鎖国思考”ねえ」と北岡伸一論文に納得

2016年04月27日 | Weblog

久しぶりに中央公論(4月号)をパラパラとめくりながら、北岡伸一論文に目が留まりました。「ニッポンの実力」という特集の一つで、タイトルは「鎖国思考が招く国力の低下」。

そこで彼は硬直した「護憲」や「伝統」に寄りかかった「鎖国思考」をやめようと訴えています。なるほど“鎖国思考”ねえ、とそのワード選択に思わず納得したというものです。

世界の実情を知らない「鎖国思考」が、江戸末期に硬直した「攘夷」を唱えさせました。そのこととパラレルに考えれば、たしかに現代での「鎖国思考」は、例えば世界のシビアな動きもリアリティを持たず、例えば硬直した「無防備」論などとして人々を拘泥させているといえましょう。 

起こってほしくないことは、起きっこないと思いたいのが人の性(さが)。平和をと唱え続ければ戦争など起きっこないという論理です。

ちょうど一か月後の5月27日から伊勢志摩サミットです。その会場にわが渥美半島も隣接するだけに、先日も伊良湖港でテロ訓練が持たれました。しかしそれを包む周りの見守る人々と春の日差しののんびりとしたこと。やはり日本は鎖国なのかもしれません。


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立て続けの天災に思う、和辻哲郎『風土』の視座

2016年04月17日 | Weblog

これだけ立て続けに生じる昨日今日の地震に心底、心が痛みます。九州に限らず、ここ何年かで東北の津波があり、阪神大震災があり、新潟の地震がありました。改めて常に天災に苦しめられてきた日本人の風土に対する怨念を想像するというものです。

そういえば哲学者和辻哲郎はその著『風土』(昭和10年)のなかで、日本の風土に対する日本人の心情について、「しめやかな激情」と「戦闘的な恬淡」という言葉で表現しました。

地震や津波など、自然に対して忍従せざるをえなかったことが、日本人の気質形成に影響しているというのです。「豊かに流れる感情がひそかに持久しつつその持久の変化の各瞬間に突発的に激情を生み、突発的な昂揚の裏ににわかにあきらめの静けさをもつこと」と規定しました。

宗教人のような指摘です。現に地震の被害にあっている人々には些かの救いにもならないでしょう。が、それでも私たち日本人の天災に対する絶望感を鎮めるように思われてなりません。和辻の指摘の、日本人の自然に対するしたたかさを、日本の大地に生を得た私たちであればやはり肯定的に汲み取りたいと思うものです。(資料「裾野市富士山資料館」)


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もうじき花開くか飛騨白川郷の太田ザクラ

2016年04月11日 | Weblog

千鳥ヶ淵の桜も散り始めています。早いものです。桜前線はそろそろ北海道に渡るころでしょうか。        

飛騨の白川郷にある本覚寺の境内に一本の珍種の桜があります。発見者の名前をとって太田桜(オオタザクラ)と呼ばれます。八重桜の一種ですが花弁の数が90枚と多く、県の天然記念物となっています(写真「五箇山彩時季」)。

 この発見者の太田洋愛画伯(明治43年~昭和63年)は植物画家であり、日本のボタニカルアートの第一人者。ハス博士の大賀一郎や植物学の父牧野富太郎の指導を受け、「日本桜集」などの画集を出す一方、戦後の日本の教科書や事典の植物の挿絵の大半を描いてきた人物です。

 太田洋愛の故郷はわが渥美半島。それだけに桜とともに生を全うした郷土の偉人の生涯を伝記として残そうと、作業を始めてちょうど1年です。走り抜ける桜前線を追って日本中を歩いた画伯の作業の大変さを思いながらも、桜に一生を尽くすことにできた幸福さにちょっと嫉妬する昨今です。

 


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 映画『ドクトルジバゴ』のトムコートネイが今

2016年04月02日 | Weblog

新たな4月です。60代最後の4月です。新生活が始まった昨日、おりしもBSで放映されていたのがデヴィト・リーン監督『ドクトルジバゴ』。早稲田の映研に入った50年前に強烈な衝撃をうけた名作です。

 半世紀ぶりに観て改めて興味をそそられたのはラーラの瞳や恋愛模様ではありません。アレックギネスが演じるボルシェビキ幹部と、トムコートネイの冷徹な若い革命家のまなざしです。私情を捨てる過酷さです。

 その若いトムコートネイが昨年のカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受け、いま日本で封切りされたのが『さざなみ』(原題45YEARS)。45年連れ添った歳月の意味に立ち止まる夫婦の、夫役で登場するというのです。

 トムコートネイは地味な存在です。しかし私には70年の歳月を極めて身近に感じさせる“出会い”のような気がしてなりません。ちょっとした胸騒ぎを憶えながら明日にでも映画館に足を運ぶことにしましょう。


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