嶋津隆文オフィシャルブログ

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アカデミー『アーティスト』は『鎌田行進曲』?

2012年04月30日 | Weblog

写真:映画『アーティスト』のラストシーン

連休のしょっぱなはのんびりすることが義務のような感じがして、気になっていた『アーティスト』を立川の映画館に観に出かけました。

まことに面白い、いい作品でしたねえ。

舞台は映画が無声からトーキーに移る1930年代。その時代の波に取り残された往年の大俳優と、その波に一挙に乗ってスターダムに登った女優とのラブストーリィです。

話の展開が実に明快。泣かせ笑わせハラハラさせ、終わりもハリウッド好みのハッピーエンド。そして音楽が何とも懐古的で場を盛り上げます。小犬の名演技もたまりません。
ちなみにこの名犬アギーは、その演技が絶賛されアカデミー賞を受賞したと聞きます。

しかし舞台が映画界であったせいでしょうか、深作欣二監督の『鎌田行進曲』とほとんど同質の観劇感をもったものです。リメークではないかと思えるほど、泣かせ笑わせハラハラさせられたものでした。何にせよ、ぜひご推奨する作品です。


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人影のない南相馬の小高地区の光景に慄然とする

2012年04月23日 | Weblog

写真:「商店街に人の影も声もない」撮影本人(4月21日午後4時)

福島県の南相馬市の南、小高地区の放射能の警戒区域が1年ぶりに解除されたと聞き、居ても立ってもおられず、先週末の21日(土)に福島の浜通りへ車を走らせました。

1年間の立ち入り禁止の空白時間があっただけに、小高地区には震災時そのままの倒壊した家屋や、津波に押しつぶされた建物、車が随所に残されていました。地震の苛烈さに改めて胸が痛みました。

しかしこの写真に写る小高の商店街通りに立った時は、今まで味わったことのない緊張感で慄然としたものです。この長い商店街通りに人影がないのです。右左の建物も静まり返り人の気配が全くなかったのです。

崩壊した建物には目に見える怖さがあります。しかし放射能は目に見えないだけに、その恐怖は無限になります。小高地区の現地に立って、その地の空気を吸って、放置された軒先を見て、改めて原発災害の底なし地獄を味わうと言うものです。

滞在すること3時間。東京に帰宅して早速に被服と車を洗い流しました。しかし現地の人々は、簡単に放射能灰など洗い流せません。その絶望的な状況が容易に分かるだけに、人影の見えない通りには帰宅を迷う人々の怒りが充満していたとものと記さずにはおられません。


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編集作業完了という爽快な朝です、しかし・・

2012年04月19日 | Weblog

写真:松蔭大学「研究年報」の創刊号です

松蔭大学では文化教育研究所なる組織が4年ほど前に発足し、そこで発表された論文を載録した「研究年報」を2年に一度発行しています。この半年、編集委員長として教員たちから集められた論文の編集作業を行ってきていました。今日はその原稿の印刷所渡しの日であり、ちょっとした開放感のなかにあります。以下はその編集後記です。

「「研究年報」の第2号(平成22~23年度版)が半年かけ、やっと入稿となりました。どんな小冊子であれ、編集作業の完了というのは心を晴れやかにするものです。ご協力いただいた方々に感謝申し上げたいと思います。
突然ですがこの3月に、ヒマラヤ・ネパールを旅する機会を持ちました。その地でこんな話しを聞きました。
「山の方ではチベット系の人たちがいて、現在も鳥葬を行っています。しかし最近では鳥葬しても鳥たちは遺体の大半を残すようになりましたね」。
「えっ、なぜですか?」。
「どうやら人間の身体に有害な物質が入り始めていることに、鳥たちが警戒しているようなのです。水葬も同様で、ここでも魚たちが人間の死体を食べなくなったと言われています」。
強烈な話でした。文明を進化とみる現代人に対する残酷な警告でしょうか。しかし考えてもみればわが日本では、そうした警告が警告でなく、福島での悲惨な原発被爆として現実のものとなってしまったのです。
今回の「研究年報」の原稿編集は、こうした福島の被害光景が頭を離れず、どことなく居心地の悪さを感じながら続けた作業でした。多分それは、原子力学者たちのみならず、私たちを含む全ての大学人の拠って立っていた「知識信奉」というものの陥穽を、認識させられたからに他ならないと思うのです。
津波は原子炉だけでなく、大学という存在も大きく崩壊させてしまったのかも知れません。
(編集委員長 嶋津隆文) 」


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NIRAの下河辺淳理事長に久方ぶりにお会いする

2012年04月13日 | Weblog

写真:『時代の証言者』(読売新聞)
・・・このお二方には大変ご指導を受けた

昨日は港区の愛宕神社の近くにオフィス「青い海」を構える下河辺淳元NIRA理事長をお尋ねし、久方ぶりの下河辺節に酔いました。戦後の全ての国土計画を指導し、「MR全総」と称せられた御大です。大正12年生まれとはいえ、時空を超えエスプリのきいたあの下河辺節は、今回も変わることなく健在でした。

東京都庁から出向し、30代の3年間を研究員として過ごしたNIRA(総合研究開発機構)。そこの理事長として我々を啓発し続けてきた御大に、昨日は新NPOの顧問就任をお願いに伺ったのです。しかし話しは当然のようにNIRA時代の思い出から、沖縄の基地問題まで及び、約束の小一時間があっという間に過ぎてしまいました。

それにしても最近、NIRAという組織が、昭和15年に発足した「内閣総力戦研究所」(昭和20年解散)の機能を継承するものとして発足したことを知らされました。

内閣総力戦研究所は、各省庁の官僚や陸海軍、民間企業から選抜された総勢35人のメンバー(平均年齢33歳)によって構成され、総合的な国策の立案研究が目的でした。現に昭和16年には日米開戦をシュミレーションし、開戦の回避まで提言していたものです。

NIRAの研究員も殆ど同様の出身母体で構成されていました。そして「JAPAN AS NUMBER 1」として伸びていた日本の、坂の上の雲を見上げるような、そんな気迫の充満した研究集団でありました。

しかし今やNIRAは、先般の一連の行革に中で一財団法人化し、往年の活動を終えしまっています。それだけに帰途に愛宕山に桜を愛でに散策したものの、時代が移る物悲しさを強く味わわされたものでした。


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ちょっと楽しい、8人のシニアの松蔭大入学

2012年04月06日 | Weblog

写真:「入学式の旗でなくヒマラヤのタルチョ(祈祷旗)」本人撮影

4月3日には入学式が行われ、昨日今日の松蔭大のキャンパスは華やいだ雰囲気の若い声に包まれています。そんななかで異色の8人の学生が入学しました。男女それぞれ4人。平均年齢61.1歳。最高齢は69歳です。

松蔭大学では、今年から50歳以上の厚木市在住在勤の人を対象に「シニア学生」の募集を行ったのです。授業料は一般の場合の1/3の40万円ちょっと。もちろん4年間で学士号が付与されます。これが人気を呼び、30件以上の問い合わせがあった中で8人が入学してきたのです。

「リタイアして自由な時間が出来たので大学を選びました」。
「とにかく勉強したいんです、それが若い人と一緒ならさらに楽しそうで」。
「大学の卒業資格をどうしても取りたいと、50年近くずっと考えてきました」。

理由は様々です。しかしやはり人生90年時代なのでしょう。生涯学習を選択していこうとする年配者たちの、熱い新鮮な思いがひたひたと伝わってくるというものです。そんな真剣なまなざしに、これは教師もうかうかしてはおれないぞと、ちょっぴり緊張する昨今です。


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新年度が始まります、新しい学生たちが来ます

2012年04月01日 | Weblog

写真:「世界の桜の原種だといわれるヒマラヤ桜」本人撮影

いよいよ4月、平成24年度が始まります。新しい学生たちを迎えると、確実に新しい息吹と勢いを感じさせてもらえます。これは大学教員の替え難い幸せというものです。

新学期の春に付き物は桜の花。しかし案ぜられるのは東北の被災地です。福島の三春の滝桜など、今年はどれだけの人が来るのでしょうか。いやいや弘前の桜も角館や北上の桜も、過剰な風評被害に苦しんでいないかと心が痛みます。

そういえば桜のつぼみが開き出す前、国立の大学通りで商店街の青年部の知人にばったり会い、こんな話しを聞きました。「女川町に行きましたらね、地元の人が石原都知事のがれき受入れに涙して感謝していました。よほど風評と、よその地人達の差別的な態度に辛い思いをしていたんでしょう」。

東北の放射能がれきは全て福島に集めればいいのよ。そう吐き捨てるように言う人に、私自身何人も出会いました。言葉もありません。新入の学生達には、他人の苦しみを共有しようとする思いやりを最低限の持つべきことを、静かに語り伝えたいものです。


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