写真:「決起部隊の実質的司令部となった山王ホテル」
今朝(29日)の東京は大雪です。2月の都心の大雪と聞くと、昭和11年の2.26事件を想起せずにはおれません。青年将校たちが「昭和維新」を掲げ、政府要人らを殺害したこの大事件は、その後の日本を悲劇に導きました。決起が2月26日、その鎮圧が今日(29日)です。
2.26と聞くと、思いだす会話があります。10年ほど前のこと、石原慎太郎知事や横尾忠則さんら一緒にお酒を飲む機会がありました。その時、「憂国」の三島由紀夫の話しが話題となり、その折りに突然ある人が「彼と美輪明宏とはデキていたかどうか」と言いだしたのです。
すると横尾さんがこう続けました。「いや、それはないと思う。三島由紀夫はたしかにゲイではあったけれど、そのことを恥じてもいた。ただ美輪さんから、『あなたの背後には、2.26事件の某大尉の姿が見える』と言われ、そのことに三島さんは凄い衝撃を受け、それから美輪さんにのめり込んでいったようです」。
「しかしその後、美輪さんがさらに、『○○大尉も見える、○○中尉もいる』などと言い始め、そのことで三島さんはだんだん嫌気がさし、遠ざかるようになっていったのです」。
なかなか興味深いやりとりでした。真偽のほどは確かめるすべなどありませんが、しかし積もる2月の白い雪をみると、いやに強烈に思いだされる話しなのです。
そういえば青年将校たちが掲げたスローガンが「昭和維新」。いま大阪から全国を席巻しようとしているスローガンが「平成維新」。時代は間違いなく、閉塞状況下にあるのでしょう。