写真:「付き添いに通った渥美病院(田原市)」
義理の兄が亡くなりました。72歳。一年前に胃がんが発見され手術を重ねてきたのですが、21日に渥美病院で息を引き取りました。年明けに担当の医師から、もう一カ月はもたないと宣言され、その通りとなってしまいました。
この間、付きっきりに看病する姉の負担を少しでも減らそうと、しばしば病院に足を運びました。しかし息も絶え絶えの兄のベッドの傍らで、時を過ごすことは明らかに苦痛でした。そこで思い知らされたのが、看護婦さんたちの献身的な働きぶりです。
意識のほとんどなくなった義兄に常に優しく声をかけ、身体をふき、喉の痰を吸い上げ、さらにはおしめを取り換えてくれるのです。昼夜を問わず、様子がおかしいと連絡を入れれば、すぐさま走ってきてくれます。ありがたいことでした。
病院で死ぬことよりは自分の家の畳の上であの世に行きたいもの。こういった言葉を吐くことが、いかに不遜かと思い知った次第です。家族だけで看病するなどとは幻想です。人は人の助けがなければ生きていくことも死んでいくこともできないのです。
それはそのあとの執り行われた葬儀も同様です。どんなに多くの近所の人や親せきの人たちのサポートを受けたことでしょう。
人の存在とは何とも有り難いものです。人の助けには心そこ頭が下がるというものです。早春の田原はそのことをしみじみ教えてくれました。