先日、大学での講義の帰りにふと思い立って、映画「海街diary」を見てきました。前評判もよかったし、是枝裕和監督の作品はいつも安心して見ていられるからです。
実際この映画は淡々と、あくまで淡々と4姉妹の支えあう姿を温かく描いています。鎌倉の海や桜の風景もふんだんに取り入れられ、とても気持ちよい時間を過ごすことができました。
劇場を出て思い浮かべたのが、10年ほど前の同じ是枝監督作品「誰も知らない」。カンヌ映画祭で主人公の少年が主演男優賞を受賞した例の作品です。母親に放棄された幼い兄妹が支えあいつつも、やがて死に至っていく姿を描いたものです。
淡々と実に淡々と子ども達を描く点ではとてもよく似ています。しかし「誰も知らない」の底流は絶望ですが、「海街diary」の底流は希望です。その点でも観客の気持ちを間違いなくなごませてくれるというものです。
そしてこの「海街diary」でもう一つ思い浮かべたのが「夕凪の街・桜の国」。是枝作品ではないですが、家族の血や愛情をテーマにした点での共通性、タイトルの類似性、また両方とも漫画が原作という点にも気付いて、ここでも気持ちを楽しくしたものです。
「海街diary」。初夏のちょっとした清涼剤でした。