嶋津隆文オフィシャルブログ

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尾張津島の天王祭の宵祭、朝祭を堪能する

2012年07月30日 | Weblog

写真:「天王祭の今年のパンフ」

同じ愛知県でありながら私の生れた東三河と、木曽川流域の尾張とは、こんなにも異なった文化を持つものかと驚かされました。京の都への遠近が影響しているのかもと、本気で考え込んでしまったほどです。いやいや、この先週末に親戚に招かれて訪れた尾張津島の天王祭のことです。

天王祭は、500年の歴史を誇る津島神社の神事です。宵祭と翌日の朝祭とが催され、昨今は多くの人々を集めます。実際、28日の宵祭には20万人を超える人出でした。

宵祭は、400個余りの提灯に飾られた巻藁(まきわら)舟が5艘、笛を奏でながら悠然と天王川公園を漕ぎ渡ります。朝祭では6艘の車楽船が能の置物を飾り、楽を奏でながら水上を漕ぎ進みます。そしてその船から10人の若者が水に飛び込んだ後、布鉾を持って神前に奉納するのです。

圧巻でした。

しかしそれにしても気になったのはおカネです。見物用の桟敷(数人用)の借り上げ料は4万円~6万円。小舟の借り上げは20万円。折りたたみの腰掛席は2千円。20万人余の観光客が動く中で、このイベントの収益は如何ほどのものだろうかと。

幽玄の世界に浸るべき天王祭のなかでありながら、どうしても財政運営を考えないわけにはいかないのです。それは長いこと自治行政での財政難に苦労してきた者の病状なのかもしれません。文楽の予算カットを叫ぶ、どこぞの市長と同じく、貧すれば鈍するの類ともいえましょうか(笑)。


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土着から漂流へと変わっていく日本人の生活スタイル

2012年07月23日 | Weblog

写真:「松江・宍道湖の夕暮れ」

先日、還暦を迎えた友人の一人からこんな手紙が入りました。

先般、島根の生れ故郷で高校の同窓会があり、半世紀近くたっての再開に、涙や笑いに包まれ、青春時代と郷里の大切さを改めて認識したと言うものです。しかし中にこんなくだりがありました。

「同級生と話していて感じたのは「精神の居場所」の大切さです。同級生の中には帰郷したいと思っている人がたくさんいました。それでも決心できない大きな要因のひとつは、帰郷したら自分の知的好奇心を満たす場がなくなるのではないかということです」。

フムフム、と納得した次第です。半世紀の空白は、間違いなく帰った際の郷里での居心地の悪さをもたすことでしょう。しかし、と思うのです。そうであれば、郷里にどっぷり生活の場を移すのでなく、生活の軸足を複数持てばよいのではないかと。

島根では、親の居なくなった実家か別荘もどきの家に暮らす。そして懐かしい友人たちと交わる。その一方で月に1、2度は東京に帰り、青い灯、赤い灯の下で知的好奇心を充足する。

「土着」でなく「漂流」する住まい方。これが21世紀の日本人の一つのライフスタイルになるのではないか。実はこの考えを私は、ちょうど30年前の朝日新聞の懸賞論文で主張し、第一席を受賞しました。そんなことを懐かしく思い出しながら、改めてこの選択肢をこれからの生活スタイルのベクトルとして主張してみようと思う次第です。


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海の日に思う「海防3島」視察ツアー企画

2012年07月17日 | Weblog

「3島であれば6~7時間、行程は少しきつい」

7月の第3月曜日の昨日は海の日でした。なかなか馴染みの少ない祝日ですが、祝日法には、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う」としっかり規定されています。

この海洋国家という視点から見るならば、昨今の尖閣列島、北方四島、竹島の3島をめぐる中国、韓国、ロシアの進出の動きは、いずれも国難と言ってよい様相だといえましょう。その危機感からか、東京都の尖閣購入への寄付金が既に13.5億円(9万件)を超えました。

国民のこの危機感を知る時、緊急に着手すべき方策を思い付くというものです。それはこの3島への、空からの視察ツアーを企画してはどうかとの提案です。いわば、「羽田発、北方・竹島・尖閣の海防3島」視察ツアーです。

国境エリアの緊張は、いまや国民の最大関心事の一つです。国民に国土の危機を体感してもらってよいのです。多くの人々が関心を寄せるに違いありません。採算は間違いなくとれることでしょう。国交省あたりといわず、政府として本格的に検討し始めてほしいものです。


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山口県の知事選でも見られる首長選挙の問題点

2012年07月13日 | Weblog

写真:「昨年夏、柳井に山本繁太郎さん(左)を訪問」

山口の知事選が告示されました。友人の山本繁太郎さん(国交省審議官)が現知事の後継者として立候補しています。その仕事ぶりの誠実さや生来の明るさから、彼の評価は昔から高いものがあります。ぜひ知事になり郷里の発展に寄与してほしいものです。

それにしても首長選挙にあって、常々問題だと憤慨することがあります。それは選挙の争点が当該地域の課題でなく、国政の課題が持ち込まれることです。今回は原発です。上関に原発設置が進められているからとはいえ、その争点の限定ぶりは異常です。

果たせるかな、大阪維新の会の一人が立候補し「反原発」だけを強調して選挙を進めています。山本繁太郎陣営からは「県民の日々の生活はどうするんだ」と批判していると聞きます。人々の生活全般を担う首長の候補者としては当然の視線です。

自治体の首長選挙を、こうしたミニ国政選挙にしてしまっているのは、明らかにマスコミの責任です。そして候補者のポピュリズム志向です。興味をそそりそうな課題だけを、興味をそそらせる手法で取り上げていく。その結果、過疎化や高齢者対策、地域経済の衰退などといった切実な課題がなおざりにされていくのです。

これは何とも危険なことだと言わざるをえません。


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「伝統を未来につなげる会」の手紙に触発される

2012年07月06日 | Weblog

写真:「伝統を未来につなげる会」ホームページより

昨日大学へ行くと私のピジョンボックスに、大きな封筒が入っていました。「伝統を未来につなげる会」の野木道記事務局長さんからの手紙と資料でした。先日、法政大学で行われたNPOのシンポで始めて知り合った人です。

森林と日本の伝統建築文化を守ろうとの危機意識を持って発足したこの会は、とりわけ大工職人の技を伝えようとの運動を展開しているのです。ああ、こうした組織も存在しているんだと、とても新鮮な気分にさせられました。

最近痛感することですが、加齢とともに確実に過去(歴史)が近くなってきているような気がします。ちょうど高い山に登れば登るほど、海(過去)が近づいてくるというものでしょうか。死に近づく際の生物としての人間の本能かもしれません。

大切なものを次世代に伝える。このことが、あと一週間で前期高齢者の仲間入りする自分にとって、間違いなく大きなテーマになってくる予感がします。

伝統を未来につなぐ。いい言葉です。そういえば米国の社会学者マーガレット・ミード女史が、「未来とは今である」との名言を記しました。しかしそれに模して言えば、「過去とは今である」という意識こそ現代の日本人には必要といわねばなりません。


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厚木議会で「議会改革へのもう一つの視点」を講演

2012年07月02日 | Weblog

写真:「市議会委員会室での講演風景」

先週の6月27日、厚木市議会に招かれ講演する機会がありました。テーマは「議会改革へのもう一つの視点」。松蔭大の私のゼミで昨年秋、厚木市議(28人)を対象にアンケート調査を実施。その分析結果を踏まえ、改革案を提言したものです。

手前みそながらこの報告書には、以下のような幾つかの特徴があると自負しています。
①本会議を傍聴したゼミ学生の、ストレートな感想が粉飾なく掲載されていること
②市議会改革の方向を、大学という客観的な立場から、広範に提言していること
③市議からのホンネの発言が、数多く掲載されていること、等などです。

こうしたホンネ論議を踏まえたこともあって、講演では、例えば次のような諸点を強調した次第です。
①市議の報酬は低すぎる故、適正な水準に上げるべきである
②市議の定数もポピュリズムに乗って、むげに削減することは不要である
③議会基本条例は不要であり、住民投票制度の安易な導入は危険である
④市議選挙は国政の争点でなく、地元のテーマでこそ勝負すべきである、等など。

講演中、市議の何人かは繁く頭を頷かせていたように見えました。しかしホンネでは当選できない昨今の選挙実態を思う時、改めて「地方議員残酷物語」という言葉を思い浮かべたものでした。


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