写真:「福沢諭吉」
昨夜は神田神保町でFJKセミナーがあり、「住民自治を探せ!」というテーマでの細木博雄中大講師のレクを聞きました。大意の一つは、「市民自治」という概念は幻想であり、土着性を重視した「住民自治」にこそ、これからの方向性を設定すべきではないかと云うものです。
そのためにマルクス主義などによって封建的と遮断されてきた、江戸期のムラ社会などでの日本人が古来の自治のルールに着眼すべきとも指摘されました。そういえば福沢諭吉は、明治新政府が性急に導入した地方制度改革(大区小区制)について、明治10年にこう激しく批判しています。
「旧制度(徳川時代の自治)も新制度(明治政府の自治)も自治はすなわち自治なり、其新制度の円滑に行はれて正に立憲の新政体に適するは、古来民心に沁込みたる自治の習慣にこそ有力なる素因なれ」(福沢諭吉全集6巻)。
コミュニティといい。市民自治といい、輸入概念を標榜していこうとするこの国の、西洋至上主義の風潮はなかなか根強いものがあるようです。しかし経済の衰退や少子高齢化の中で、自立した個人としての「市民自治」などといった欧米型民主主義の幻想が、この時代になって再考されようとしているのではないか。そう思わせるセミナーでありました。