嶋津隆文オフィシャルブログ

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外国へ行く昨今の学生たちの「時間をとめた渡航」

2015年10月29日 | Weblog

【JALポストカード】

昨日今日、ワールドカップでラグビーが、日本シリーズでヤクルト×ソフトバンクが盛り上がるなど、大いにスポーツが高まっています。そんななかで愛大友人の大澤正治教授から以下のような話を面白く聞きました。
 
最近、学生に質問した。「外国へ行くならどこへ行きたいか?なぜか?」。No1はドイツであり、No2は米国であった。「ドイツにサッカーの試合を見に行きたい」であり、「米国にメジャーリーグの野球を見に行きたい」がその理由であった。ちなみに回答のNo3はイタリアである。その理由は遺跡でもファッションでもなく、やはりサッカーである。

テレビあるいはインターネットでドイツのサッカーを見て、思い立って翌日の決勝試合は、ドイツのサッカー場で実際に見る、これが今のサッカー・サポーターたちである。

つまりお金を使わないで文化などに一瞥もせず、あるいは滞在したその地の名前すら知らずに帰国する。そうした傾向が情報化時代の現代的海外渡航である。

こうした指摘をした大澤教授は、外国へ行く昨今の学生たちの行動を「自分だけ読める羅針盤をもち、時間をとめたグローバル化」であり、「時間をとめた渡航」と表しています。なるほどと、教授の指摘の内容もさることながら、その言い得て妙の表現にひどく納得した自分です。

そういえば何年か前に国立駅で、三浦カズとその長男とが手をつないで階段を下りてくる光景にばったり出くわしたことがありました。のんびりとした父子の姿。しかしその長男坊も長じて「時間をとめた渡航」をしているのかと思うと、思わず笑みがこぼれてしまうというものです。


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ビューホテル・サポートクラブ特別顧問に就きました

2015年10月22日 | Weblog

ビューホテルにはこの半世紀、色々な関わりを持ってきたような気がします。特に伊良湖、浅草、成田の3つのビューホテルには深い縁を感じて来ました。先般、その日本ビューホテルのサポートクラブの特別顧問に就きました。不思議な感慨が湧いてきます。

伊良湖ビューホテルは、太平洋に面した私の故郷の実家に隣接する小山に建てられました。50年前、まだ高校生であった自分には、突然に姿を現したリゾートホテルの威容に観光地伊良湖岬のポテンシャルが期待され、心躍らせたものです。それだけにいつも誇りにしてきました。

浅草ビューホテルは、伊良湖のビューホテルを日々見て過ごした自分にとって、親戚のような存在でした。浅草国際劇場の跡地に建てられたこともあって愛着感は強く、浅草寺にお参りするときは必ず立ち寄り、隅田川の花火の折には音が聞こえるよう小窓を開放したとの話を必ず思い起こしてきたものです。

そして成田ビューホテル。1974年のオープンです。開港以前の開設で、50年にわたる長い成田闘争の姿を見つめてきたホテルです。その闘争を収束した故郷の先人山本雄二郎先生の伝記を書いてきただけに、これまた強い親近感を持ち続けてきたホテルです。

その一連のホテルのサポートクラブのメンバーになったのです。頑張ってみよう。そう、ちょっと気負いを持つのは当然でしょう。ホテルに尽くすことが、故郷に尽くすことになる。そんな短絡な思考を楽しんでいる昨日今日というものです。


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出生100万人+中絶20万人=死亡120万人

2015年10月13日 | Weblog

廃校活用で各地の過疎地を回っていると、少子高齢化の実態をこれでもかと思い知らされます。都市部の子どもを体験学習などで受け入れる山村で、「子どもの声が聞こえることが本当に嬉しい」という話しを何度も聞かされました。

出生数100万人。死亡数120万人。突然ですがこれが我が国の実態です。出生率は1.42(平成26年度)。2.07ほどないと人口の現状を維持できないと言われる際の、その不足の実数が20万人です。

ところでここに注目すべき数字があります。人工中絶の数です。年間約20万人。中絶実施率9・3(対千人)。もしこの子どもたちが生を受けていれば、我が国の人口は減らないのです。

出生数100万人+中絶数20万人=死亡数120万人
奇しくも中絶数は死亡数と出生数の差を補填する数になっているのです。

では中絶の理由は何でしょうか。国立公衆衛生院のある調査(平成7年実施)によると、若いころは「未婚だから」が40%前後と多く、既婚後は「いらない」「予定外妊娠」を理由にそれぞれ20%前後の人たちが中絶するという結果でした。もちろん経済的な理由を挙げる人も約20%と少なくありません。

少子化対策には様々なことが試みられてします。育児休暇や保育サービス、また何よりも非正規雇用者を中心に、結婚できる収入を確保することが大切でしょう。

しかし上記の数字を見ると、「いのちの軽さ」を許す我が国社会の倫理意識を再考する必要もあると言わざるをえません。子どもの生命は社会の宝として守る。表現が何とも古典的ですが、改めてわが国に大切な視点ではないかと思うのです。

例えば「リプロダクト・ライツ」(生む権利)は女性にこそある、などといったジェンダーフリーの思考などはきつく考え直さねばならない。そう思う昨今というものです。


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ふつふつと思いだされる大洲の町の臥龍山荘の偉容

2015年10月07日 | Weblog

【臥龍山荘】

四国を廃校活用調査といって強行軍で縦断したのはもう一か月近くになりますか。しかし時間が経つにつれ、湧きあがるように思い起こされるのが大洲のまちです。

青空に屹立する大洲城の悠然とした姿、樫山文枝が演じたNHKドラマ「おはなはん」の舞台の懐かしさ。伊予の小京都という地元自慢のキャッチフレーズが抵抗なく口に上るというものです。

わけてもそのなかで印象深く脳裏をよぎるのは、写真の臥龍山荘です。

肱川の景勝地“臥龍淵”に臨む三千坪の山荘の一つで、大洲藩主であった加藤泰恒が「蓬莢山が龍の臥す姿に似ている」ことから”臥龍”と命名したといわれています。

文禄年間、藤堂高虎の重臣、渡辺勘兵衛が広大な屋敷を構えていたところですが、その後はすたれ、現在の臥龍院は明治の貿易商河内寅次郎が十年かけて築いたといわれます。

しかしこの栄華を支えた大洲のまちも今や人口減少の例外ではありません。いわゆる消滅自治体の最右翼のひとつで、現在の人口の4.4万人が25年後には2.6万人になると予測されているのです。

イタリアの水都ベニスが、地球温暖化もあって水没の危険が懸念されています。そうした息苦しさをこの伊予の小京都の、肱川の水面にも等しく感じさせられてしまうのはどうしようもありません。世の中、一体どうなっていくのでしょうか。


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