昨夜、納涼会があり、皇居の緑が眼下に広がるホテルで親しい霞が関の面々と会いました。民主党の代表選の直前です。政局の動きに話しが行くのは当然です。
そんな中で現政権の、震災対策などを巡る一連の対応に憤懣なるかたない国の役人諸兄の発言があり、同情を禁じ得ませんでした。
例えばこうです。原発事故の福島で、住民移送のバス1000台の調達指示が官邸から来ました。しかしどこからどこへ運ぶのか、2カ月近くも決まらなかったというのです。その間、運転手への放射能対策もなく、ある運転手など除染指示を待ち、バスの中で一人で一か月も暮らす羽目になりました。さらにその費用負担も政府か東電かで、またまた数カ月もかかったというのです。
一事が万事で、およそロジスティックスの理解がない官邸に誰もが辟易していると嘆くのです。ただただ役人を嫌い排除した菅首相。組織と人材を使うというリーダーとしての当たり前の姿勢はなく、その結果が東北の大混乱だと言うのです。
「年とったバカは若いバカより始末が悪い」。仏のモラリストのラ・ロシューコーの警句を吐き捨てるように口にした男もいました。彼は特に、昨今の霞が関が頽廃し、“密告社会”化していることを身を持って味わわされ、それだけに怒り心頭というものでした。
菅首相の交代は心ある官僚たちの切望するところです。しかし新首相になっても民主党政権という枠は変わりません。またまた同じ混乱が生じてしまうのかと、霞が関は今、疲弊し切っているといえるようです。