嶋津隆文オフィシャルブログ

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北九州市漫画ミュージアムのサブカルチャーに衝撃

2012年10月31日 | Weblog

写真:「当ミュージアムHPより」

先週は北九州市で日本都市学会があり、「都市の進化」をテーマに3日間のプログラムが持たれました。戦前からの、歴史の波に常に揺られつつ発展してきた北九州市であるだけに、そのテーマに恰好の舞台と言えたようです。

他方、北九州市は観光に力を入れ、門司港のレトロ街や北九州工場夜景をウリにした取組みで注目を浴びてきました。その北九州市にこの8月に「北九州市漫画ミュージアム」がオープンしました。当地出身の松本零士、わたせせいぞう、北条司などを観光資源にしたこの新しい取組みです。

大いに興味を持ち早速に足を運んでみました。驚きました。山ほどの若者で溢れていたのです。いやいやもっと驚いたのは、そこに陳列されていたフィギュアであり、初音ミクのポスターであり、カードゲームであり、眩しいほどの漫画本の群れでした。

殆ど想像を超えた世界でした。そのカラフルで、シュールな空間は極めて衝撃的でした。しかし暫くしてその衝撃にはもう一つの内容があったことに気づかされます。

外でもありません。サブカルチャーと全く関係ない年齢になっている自分、時代の風景にすっかり外れてしまっている自分を知ったのです。そう気づくと、明るいはずの漫画ミュージアムがふと暗くなってしまったというものです。


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男も女も人間の肉体というものは何とも美しい

2012年10月23日 | Weblog

写真:「松蔭大学駅伝部の面々」本人撮影

先週の土曜日は、立川の昭和記念公園で行われた箱根駅伝の予選会に出かけました。もちろんわが松蔭大学駅伝部の学生たちの応援です。写真がその面々です。

結果は今一つで、昨年17位が今年は20位。全体のタイムも下がってしまいました。しかし部員たちの表情は暗くなく、むしろ来年への意気込みが感じられるというものでした。

それにしても日大のケニア留学生ベンジャミンの疾走ぶりには度肝を抜かれました。ぶっちぎりの速さもさることながら、その肢体のピューマのような美しい完成度に圧倒されたのです。

人間の肉体というのは、こんなにも美しいものなのか。思わずため息が出たというものです。

そういえば昔、「女性解放家」を称する女性都議から、新都庁舎の周辺に配置された女性の裸像について、女性蔑視の象徴だ、取り外せと議会で主張したことがありました。実に愚かなことです。

男も女も人間の肉体というものは何とも美しいものです。ギリシャでもローマでも、男性裸像・女性裸像ともに人間賛歌として讃えられました。偏狭な差別論を掲げることで一部の女性票を獲得しようというのは、ただ人間の精神の卑しさを示すばかりという他ありません。


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自治体に任せないから復興予算が横流しされる!

2012年10月18日 | Weblog

写真:「宮古市田老地区の仮設住宅」本人撮影

NHKはじめ各マスコミが復興予算(総額19兆円)の横流しとして、福島・宮城・岩手の東北3県の復興に関係しない2兆円を超えるカネの使途を激しく指弾しています。

テロ対策反捕鯨、捕鯨調査費  22億円8400万円
国立競技場の補修       3億円3000万円
青少年交流事業(年間1万人招待) 72億4700万円
 
これらがその一例です。恰も復興予算を火事場泥棒のように食い漁る各省庁の姿勢には、被災地ならずとも怒りがこみ上げてくるというものです。

しかし何故こんな不祥事が起きるのでしょう。それは復興庁のような国の組織が広くカネの采配を行うシステムとなっているからです。復興予算は当初から被災地自治体に任せれば良かったのです。明らかにボタンの掛け違えです。

しかも心配なことは、このマスコミの糾弾によって復興庁などがいっそう口うるさくなると云う懸念です。自治体に対し、事前の厳しいチェックや資料提供と云った煩瑣な手続きが更に強いることになりかねないのです。

先般の盛岡での会議では、被災地自治体の首長たちから、国の介入による復興作業の混乱とその結果としての復興遅滞に激しい怒りが込められていました。「地方主権」を謳い「政治主導」を掲げる政権の空回りぶりに、再び憤怒の感情が湧くと言うものです。地方のことは地方に任せ、被災地のことは被災地に任さねばいけません。


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宮古の田老地区で感じとった「戦闘的な恬淡」

2012年10月15日 | Weblog

写真:「万里の長城」と称された10m防潮堤を津波は越えた(本人撮影)

先週末は盛岡市での「全国都市問題会議」の出席し、その帰路、被災地の宮古、山田町、大槌町、釜石に足をのばしました。

宮古で訪れた一つが田老(たろう)です。「津波太郎(田老)」の言われるほど津波が多く、明治29年には人口の83%に当たる1867人が死亡。昭和8年でも559戸中500戸が流失し、死亡・不明は人口32%の911人という地域です。

その田老が対策として選択したのは防潮堤です。昭和33年に長さ1350m、高さ10mの大堤を完成させます。果たして昭和35年のチリ津波では近隣地域と比べ被害は軽微となり、同地区に伝わる「津波てんでんこ」の紙芝居教育や防災訓練と絡み、「防災の町」と注目されました。

しかし今次の津波でこの防潮堤の500メートルが倒壊しました。津波は堤防の高さの倍あったといわれ、200人近い死者・不明者が出たのです。「立派な防潮堤があるという安心感から返って多くの人が逃げ遅れた」とも言われました。

ところが今回、この地に訪れてきっぱりとした声を耳にしました。「それでも私たちは防潮堤を求めます。防潮堤が波を一時でも食い止めてくれれば、その間に高台に逃げるようにします」。自然の脅威への諦めでなく、そこには自然を受け入れつつ尚立ち向かおうとする人々の強靭な決意がありました。

和辻哲郎は名著『風土論』で、台風や地震に苦しめられる日本人の性格を「しめやかな激情」と「戦闘的な恬淡」と指摘しました。その紛れもない姿勢の一つが、まさに凄惨な被害にあったこの田老地区には彷彿としていたのです。


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高倉健の映画、『あなたへ』を観て涙する

2012年10月10日 | Weblog

写真:「兵庫県竹田城」朝来市HP

先日、遅ればせながら映画『あなたへ』を観に、立川の映画館に足を運びました。NHKで高倉健の特集を二晩も放映していたことや、大滝秀治が亡くなったことでこの映画を見に行ったと思われるのは癪だな。そう考えながら映画館の入り口をくぐりました。

しかしそんな雑念を吹き飛ばす、何とも味わいのある素晴らしい映画でした。亡くなった妻の遺言に従い散骨するために富山から故郷の長崎は平戸に行くまでのロードムービー。ストーリーがいい。役者がいい。そして何よりもカメラが素晴らしいのです。思わず涙させられた場面が少なくありません。

ところでこの映画の舞台の一つ、兵庫県朝来市の竹田城が上の写真です。この地で妻田中裕子と再会した高倉健が、妻の死後に再び訪れる想い出の地となっています。贅沢にも高倉健は、この「天空の城」とも称せられる雲海の古城に一人佇むというのです。圧巻シーンでした。

山城と言えば一昨年訪れた豊後竹田の、「荒城の月」で知られた岡城のことが思い出します。山々をとり込み、悠然と空に浮かぶ姿に圧倒されたものでした。そして竹田城がこの岡城の似通ったっている様にひどく驚かされたものでした。

こうした歴史と自然の壮大な舞台を垣間見せられると、まだまだ死ぬまでに訪れるべき箇所は限りないな、とヘンに勢いを持って映画館を後にしたものです。


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リニューアルした東京駅とその雑踏を愉しむ

2012年10月07日 | Weblog

写真: ごったがえす新人気スポット・本人撮影

大正3(1914)年に創建された東京駅舎。設計者は当時、日本の建築界の重鎮・辰野金吾です。その堂々たる姿で多くの人々に愛されてきました。しかし昭和20年)、戦災により南北のドームと屋根・内装を焼失。その後3階建ての駅舎を2階建てに復興し、60年余が過ぎました。

そしてこの10月1日、外観をそもそもの創建時の3階建ての姿にリニューアルし、オープンされました。その新しい姿を見ようと気楽に足を向けてみると、何とも多くの人でごった返す、大人気スポットとなっていました。

ケータイ片手に写真をとる群衆は押すな押すなの賑わいです。あちこちから全国の「なまり」言葉が耳に入る「中央停車場」の駅前広場は、啄木の歌の哀感を吹き飛ばすかのような勢いがありました。

この風景をぜひ辰野金吾にはお見せしたいもの、とヘンに気持ちが高ぶった次第です。そして私が、その善男善女の群れの一人として撮った写真が、上の一枚です。ちょっと愉しい週末といえましょう。


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