嶋津隆文オフィシャルブログ

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衆院選前に放映されるドラマ“官僚たちの夏”

2009年08月03日 | Weblog

日曜の夜は、TBSの社会派ドラマ“官僚たちの夏”(城山三郎作)を興味深く見ています。昨夜もそうでした。昭和30年代の通産省を舞台に、米国企業の進出を警戒して繊維、自動車産業などを守ろうとする国内保護派と、国際通商派との相克を描くドラマです。佐藤浩市(通産官僚・佐橋滋)や北大路欣也(首相・池田隼人)の出演で骨太感、十分です。

それにしても、このいささか“官僚礼賛”めいたドラマが、もうじき行われる衆院選の前に放映されることに苦笑しないわけにはいきません。「官僚支配の政治を断固、脱却しよう」と勢いよくスローガンに掲げる民主党。しかしドラマは、この民主党の“悪者”づくり戦略に、明らかに冷や水をかけるものであるからです。

「自分たちは国家に雇われているのであって、大臣に雇われているのではない」。こう嘯く官僚の自信と傲慢に辟易するフシはないわけではありません。しかしこの認識は基本的に正論です。大久保利通が明治初めに官僚制を立ち上げたのも、政争に翻弄されずに政策を粛々とこなす組織の存在が近代国家には必要だとしたからです。換言すれば猟官制の危うさを警戒したのです。

官僚とその組織は、決して“潰す”対象であってはならないのです。あの大量の能力は、うまく使い切ってこそ国家のために生きるのであって、腐らせ、萎縮させ、反発ばかり起こさせては社会的に何とも“もったいない”というべきなのです。

はびこる官僚の汚職や天下り先での優遇措置など、国民から見れば極めて不快なことは当然でしょう。ドラマ“官僚たちの夏”の示す“志の高さ”といったものが多く失われたのも事実のようです。しかし彼らのテクノラートとしてのストックは、有用なシンクタンクと考え、その活用こそ図るべきものと思うのです。

そういえばドラマに出てくる女性の初代、2代の通産官僚がいます。実名でいえば坂本春生(元西武百貨店副社長)、あるいは川口順子(元外務大臣)の二人です。実はこの二人とも、私が都庁から出向していたNIRA(総合研究開発機構)に通産省から出向してきていた先輩なのです。それだけにドラマには一層親近感を覚えてしまいます。

いやいや、そうだからといって、贔屓で通産官僚の皆さんの肩を持つわけではありませんので、決して誤解などありませんように!(笑)

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