嶋津隆文オフィシャルブログ

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新教育長には「研修」が必要だとのアナクロニズム

2014年05月26日 | Weblog

写真:「仙巌園」

5月21日~23日は鹿児島市で、全国都市教育長会議が開かれました。そのなかでの中心課題は、間違いなく現在国会審議中の教育委員会改革についてでした。そしてその中心は従来の教育長と教育委員長の職を一本化し、「新教育長」を設けるというものです。

ところが文科省より説明があった内容に、新教育長にはその責任の重大さから「常に学び続けること」が必要であり、したがって新教育長に対して国が研修を行うという話がありました。

しかし考えても見ればおかしな話です。教育委員は地公行法に基づき、各自治体の首長が議会の同意を得て選任したものです。いわば地方自治の基本的仕組みの一つです。その自治体の人物を、いわば「未熟」だとして国が「研修」を義務付けるというのです。

確かに「人格高潔で、教育行政に識見を有する者」(地教行法第4条)として選ばれたとされるには聊かこそばゆく、各教育委員、教育長は自らの「未熟さ」を日々、痛感していることは間違いありません。しかしそのことと、国が自治体の教育長をば「未熟だ」として「研修」を制度化することとは別問題です。

こうした中央による、地方自治を見下し「研修」をさせねば等という発想は、ほとんどアナクロニズムといってよいものです。鹿児島の大会会場で、文科省の審議官が「学び続けるため研修を」と説明したおり、会場にどよめきのような失笑が広がったのは当然というものでしょう。

 


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