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Yuhiの読書日記+α

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GOSICK -ゴシック-

2011年10月07日 00時39分31秒 | 小説
桜庭一樹著「GOSICK -ゴシック-」を読了しました! 桜庭さんの小説は何冊か読んでいるのですが、直木賞を受賞した「赤朽葉家の伝説」のような壮大な大河小説があるかと思えば、割と軽めのライトノベルっぽいノリの小説もあって、作風が読めない作家さんだなーと常々思っておりました。
が、こういう軽めのミステリーも書いておられたとはつい最近まで全く知らなかったんですよね。
ミステリーというからには、一度読んでみようかなと思って、とうとう手を出してしまったのですが、1作だけで終わる話ではなくシリーズ化していたようで・・・^^;
これから、どんどん読んでいく楽しみが増えました。

「GOSICK -ゴシック-」というタイトルからも何となく想像がつきますが、本格ミステリーというよりは、オカルトや怪奇現象を扱ったシリーズのようですね。なので、純粋な謎解きものだと思うと、ちょっと物足りない部分があったりしますが、登場人物も第一次世界大戦直後という時代設定も架空の国ソヴュールも、謎めいた雰囲気を盛り上げていて、全体的にいい感じにまとまっていたんじゃないかな。

事件の内容的には、どこかで聞いたような設定とトリックの焼き直しという感じだったので、何となく話の展開が想像ついてしまったのが残念!
あともうちょっと、ミステリー部分がしっかりしていたら、もっと楽しめるのにな~と、少々残念ではあったのですが、キャラクター同士の掛け合いも面白いし、彼らにも色々な過去や謎があるようなので、この後のストーリーを読むのが今からとても楽しみです。


オデパン

2011年10月03日 00時24分35秒 | 小説
藤本ひとみ著「オデパン」を読了しました!こちらは現代の上流社会を舞台とする華麗な生活ぶりを描いた作品です。

藤本ひとみさんと言えば、フランスの歴史ものを中心とした小説を数多く書かれていることで知られている方ですが、私くらいの年代の女性には、コバルト文庫の少女向けの小説で一世を風靡した方というイメージの方が強いかも。「まんが家マリナシリーズ」や「花織高校シリーズ」「ユメミと銀のバラ騎士団」シリーズなどなど、本当にたくさんのシリーズを書かれていて、しかもどれもがすごく流行っていましたよね~。って、若い方や男性はきっとご存知ないのでしょうね。

私も学生時代は藤本ひとみさんのシリーズを必死で読んでいたものですが、シリーズがあまりにも多く、しかも毎月のように新作を発表されるので、当時のお小遣いではとても賄いきれず・・・。基本的に「マリナシリーズ」を中心に何作かしか読めてなかったんですけどね。
その後、藤本さんは、少女小説は卒業されて一般向けに歴史小説を書かれるようになりました。私もそれらの作品も結構読んでいたのですが、現代ものは実は一度も読んだことがなく・・・。
今回この作品を読んでみようと思ったのは、ネットの記事で「美馬貴司」が登場すると知ったからなんです!

「美馬貴司」というのは、コバルト文庫時代の藤本さんの作品のキャラクターの一人で、確か「花織高校シリーズ」に主に登場してたんじゃないかな~。(←うろ覚え^^;)
私は基本的にマリナシリーズばかり読んでいたので、美馬さんのことはあまり詳しくは知らないのですが、それでもその名前を覚えているくらいに、有名なキャラクターの一人だったのですよ。

一般小説の方に移られてからは、コバルト時代の作品の続編は一切書かれなくなってしまった(しかもほとんどが未完)ので、あの個性的なキャラクター達のその後がどうなったか気になって仕方なかったのですが、大人になった美馬さんを読むことができると聞き、慌てて図書館へ行きましたよ(苦笑)。

読んでみると、確かに「美馬貴司」は登場しておりました!しかも既に37歳の設定で・・・。はっきりとは書かれていませんでしたが、まだ未婚のようで、高宮グループ(本書の主人公の父親が会長をしている)の中心的な存在の会社で働いている模様・・・。海外出張も多く、あちこちを飛び回っているみたいですが、実家がお金持ち(なんですよね?花織シリーズをあまり読んでないので、よく分からなかった^^;)らしいので、かなり優雅な生活を送っているようです。
こういう実態を知ってしまうと、他のキャラのその後が本当に知りたくなりますね~。ああ、藤本さん書いてくれないかしら・・・。

あ、全然本の内容に触れませんでしたけど、本書は、セレブな元お嬢様が独身時代に入っていたサークルのようなもの(オデパンという)に復帰して、そのサークルの和を乱していた我儘で下品な女に鉄槌を下すというストーリーです。そのやり方が、庶民には考えられないような優雅で高尚(?)な方法でやるというのが、一風変わっているというところでしょうか。
その我儘な女というのが、あまりにもヒドイので、そんな女に引っかかる男もどうなの?と思ってしまうし、もっとライバルになりそうな同格なタイプにした方が、もっと話が盛り上がったんじゃないかな~という気がしました。

藤本さんは、セレブなかっこいい男を書かせたらとても上手いけど、女性が主役のこの作品では、正直あまり力が生かせてなかった気がします。


プリンセス・トヨトミ

2011年09月14日 00時03分49秒 | 小説
万城目学著「プリンセス・トヨトミ」を読了しましたー!万城目さんの小説は、タイトルがとても個性的で、以前からすごく興味がありました。ホントはドラマ化もされた「鹿男」の話なんかを先に読みたかったのですが、知人がこちらを貸してくれたので、刊行順ではないけれど、こちらを先に読むことにしました。

で、肝心の感想ですが、正直イマイチ話にのれなかったかなーというのが正直なところ。文章は読みやすいし、知った地名がバンバン出てくるのも読んでいて楽しかったんですけど、なんだかテンポが悪いというか、途中からなかなかページを繰る手が進まなくなってしまって・・・(汗)。

いえ、決して面白くないというわけではないんですけどね。会計検査院の仕事の部分なんかは、とても興味深く読めましたし、松平・旭・鳥居のやり取りもとても面白かったんですよね。だから序盤はサクサク読めたし、これは面白くなりそうだなと期待していました。
それが期待しすぎにつながったのかもしれませんね。中盤になって、茶子や大輔た中学生達の生活が描写されはじめてから、何となくテンポが悪くなってきた気がします。

大輔が性同一性障害っぽい設定だとか、怖い上級生にいじめられる話とかは、このストーリーの中では、そんなに重要ではなかった気がします。それなのに、そこにページを割きすぎたがために、テンポが崩れちゃったのかな~と勝手な想像をしているのですが・・・。

序盤を読んで、会計検査院が国から補助金をもらっている先を丁々発止の上、やりこめるようなスッキリとしたストーリーを期待してしまったものだから、その後の展開が今ひとつ面白く思えなかった原因かもしれませんね。

このお話の核になるのは、「父と息子の絆」にあるんだろうし、そういう点では大輔のエピソードも蜂須賀のエピソードも必要だったんだろうけど、「大阪国」が存在するとかいう、大掛かりなセットのわりに、それがあまり機能せず、肝心の「プリンセス」自身も最後まで自分の血筋には全く気がつかないというのが、何とも肩すかしな気がして、ちょっと消化不良でした。

ちなみに、私としては、会計検査院を舞台にした小説を書いて欲しいな~。(そういえば、松平がアイス好きになった理由とか書かれていましたっけ???)

八日目の蝉

2011年08月20日 23時40分54秒 | 小説
角田光代著「八日目の蝉」を読了しましたー!昔、NHKのドラマでやっていたのを、ちらっと見たことはあったのですが、ところどころを見ただけだったので、ハッキリとした内容は分からなかったんです。最近になって映画化までされたので、また興味が湧いてきて読んでみることにしました。

前半の主人公、希和子が不倫相手の子供を誘拐して逃亡する話の方は、なかなかスリリングでもあり、実子でもないその子供に対しての心情の移り変わりも読み応えがあって、とても楽しめました。
エンジェルホームという、ちょっと怪しげな団体での生活の場面などは、多少、冗長な感じもしましたけど、それも後半のストーリーに関わってくるところもあるので、それはそれで良かったかなと思います。

ただ、後半の章、誘拐された娘・薫改め恵理菜が大人になってからのストーリーの方は、ドロドロとしていて重苦しく、読むのに時間がかかってしまいました。
誘拐後、本当の家族に戻ってからが、恵理菜にとっての試練の時だというのは分かりますが、この家族が正直、素直に同情できないような人たちだったので、余計に苦しかったです。
それに、恵理菜もまた、希和子と同様に不倫をして、その子供を身ごもるなんて、ちょっとやり過ぎなような気が・・・。そういう境遇にすることによって、過去を乗り越えさせようとしたのかもしれませんけど、なんだか釈然としませんでした。

希和子のしたことは、もちろん犯罪だし決して許されることではありませんけど、自分の子供でなくても愛情を注ぎ必死で育てている姿は胸を打たれました。
それに引き換え、恵理菜の両親は・・・。実際、こんな事件が起きたのも、恵理菜の父親が浮気をして、しかも相手にハッキリとした態度を取らなかったことが原因だし、また恵理菜の母親も同様に浮気をしていたなんて事実が明らかになると、同情したくてもできないんですよね。
その辺が、この本を読んでも、スッキリせずモヤモヤした気持ちになる原因かもしれませんね。


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

2011年07月18日 13時35分24秒 | 小説
岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読了しました~!
実はこの本、昨年の11月か12月頃に図書館で予約したのですが、来たのが半年以上経った今です。もう予約してたってことすら、忘れかけていましたよ・・・。

で、内容ですが、野球部の女子マネジャーが甲子園へ行くという目標を達成するためにドラッカーの「マネジメント」を参考にしながら悪戦苦闘する青春小説です。
ま、小説と言うには、あまりにもポキポキとした文体で説明が並んでいるだけ・・・という感じではあるのですが、これを書いた岩崎さんは、本職の作家さんではないようなので、致し方ないのかな。

でもまぁ、目の付け所が良かったというべきなんでしょうね。ドラッカーの「マネジメント」なんていう本は、聞いただけでも難しそうで読む気がしないのですが、こんなタイトルだったら興味を惹かれるし、「野球部が甲子園へ行く」という具体的な例で示されているので、かなりイメージが掴みやすかったですし。
普通の生活の中でも、「マネジメント」という理論が、生かせる場面がありそうだな~と感じました。

サクサク読めたし、こういう入門書的な作品が他にももっとあったら読んでみたいな~。


蒼穹の昴

2011年04月20日 00時16分05秒 | 小説
浅田次郎著「蒼穹の昴」を読了しました!以前からタイトルだけは聞いたことがあって、気にはなっていたんですけどね。中国ものということで、なんだか難しそう・・・という思い込みもあって、なんとなく手を出せずにいたんです。
それが先日、たまたまNHKのドラマでやっていたのをちらっと見てしまい、それがなかなか面白そうだったので、興味が湧いてきたのでした。
でも、その時点で、物語がかなり進んでいたようだったので、小説の方を頑張って読んでみることにしました。

読んでみると、登場人物が多いし、中国人の名前も難しい。しかも振ってある振り仮名が、中国読みになっているので、これまた読みづらい~(汗)。という感じで、最初はちょっと取っつき難かったのは事実です。
でも、読み進んでいくと、ストーリーに夢中になり、あまり気にならなくなってきました。

ストーリーは、貧しさのあまり宦官になって、やがて西太后の傍付きとなった李春雲と、その同郷出身で科挙で状元となり、やがて変法派として西太后と敵対することになる梁文秀を中心に描かれています。二人の辿る数奇な運命に、ハラハラドキドキしながら読み進めていく感じで、序盤はすごく面白かったです。
ただ、中盤になると、この二人以外にも、多くの登場人物が登場し、それぞれの目線で語られるので、ストーリーが散漫になってしまった印象がしました。
私としては、あくまでも春雲と文秀を中心に、清朝末期の混乱を詳しく描いていくものだと思っていたので、ちょっと肩すかしの部分もあったかな。

そうそう、この物語の中では、科挙の話がものすごく詳しく描かれていて、読み応えありました。科挙って色んな作品でも出てきますが、ここまで壮絶なものだと思っていなかったのでビックリ!科挙の試験を受ける資格ができただけでも、地方の方では大事件になるのに、状元(科挙で1位)になんてなった日には、宰相の座は約束されたようなものだそうです。
だからこそ、不正が絶対に働けないように、幾重にも防護さくが張り巡らされているあたり、すごいなと思いました。やっぱり試験というのは公平でなくては意味がありませんからね。

もう1つ、日本にはなかったのが、宦官という制度。これも、かなり壮絶なものがあったようですね・・・。宦官になるというのは、貧しいものが唯一出世する手段だったとか。だからこそ、貧しい農村出身のものがなることが多いけど、その手術はかなり危険で、命を落とすものも少なくなかったらしいです。その描写がまた凄くてね。読んでいて、ちょっと気持ち悪くなってしまった程です(汗)。

このストーリーは、続編が出ているそうです。春雲や文秀、西太后と光緒帝のその後も結局どうなったのか気になりますので、そちらもまた読んでみようかな。


ゴーストハント2 人形の檻

2011年04月02日 01時44分51秒 | 小説

小野不由美著「ゴーストハント2 人形の檻」を早速購入&読了しました~!先日の感想にも書きましたが、思った以上に面白かったし、続きも気になったので、早速本屋さんに買いにいきました。

今回のストーリーは、歴史ある瀟洒な洋館が舞台。こういうお屋敷っぽい所って、それだけでも「何か」ありそうな雰囲気がしますもんねー。ホラーとしての道具立てはバッチリですね。

肝心のストーリーですが、確かにホラーですから、ちょっと怖いところもありますが、そういうのが苦手な私でも大丈夫でしたよ♪
単なる心霊現象だと決めつけず、論理的に詰めていくケースが多いからかな?
ホラーというよりも、ミステリっぽいイメージというか・・・。「なぜこんな現象が起こるのか?」「何故この人が狙われるのか?」という謎を解き明かしていくところなんか、ホラーであることを忘れてしまいますもん。
ホラーが好きな人も、そうでない人も楽しめる作品じゃないかなー。

また、登場人物が個性的でいいんですよね。前巻では、何のためにいたの?というほど、役に立ってなかった面々ですが、やっぱり彼らがいないと、話に面白味がなくなっちゃうと思うんですよね。
だから、もし今回出てこなかったら、どういう展開になるのかな?と思いましたが、そんな心配は全くの無用でした(^^ゞ
思い切り全員大集合でしたし、前作よりは皆さんちょっとは見せ場があったかな?それぞれの特技を生かす場面もあったし、それぞれの個性がもっとよく見えてきて、面白かったです。

しかし、1つ気になったのは、皆がいきなり「ナル」って呼んでいること。あのプライドの高いナルがそんな風に皆に言われても、何も言い返さないのもちょっと変な気が・・・。
それに助手のリンさんも「ナル」って言ってたけど、そんなに広まったのかな?


ゴーストハント1 旧校舎怪談

2011年03月24日 23時20分28秒 | 小説
小野不由美著「ゴーストハント1 旧校舎怪談」を読了しました!この「ゴーストハント」シリーズは、以前は講談社X文庫ティーンズハートで「悪霊シリーズ」として刊行されていたものを、このたび小野さん自身がリライトし、出版社を替えて出版されたものです。

私自身は以前から、小野さんの「十二国記」シリーズのファンでして、その他の著作も読んではいたのですが、この「悪霊シリーズ」だけは既に絶版になっている上、オークション等でも高値のため、どうしても手に入らず、読むことができなかったんですよね。
今回、こうして読むことができて、本当にうれしいです♪
と言いつつ、購入してずっと積んどく状態になっていたんですが・・・(^^ゞ


で、肝心の本書の感想に入りたいと思います。事前の情報で、本書はリライトされたというので、てっきり大人向けに3人称なのかと勝手に想像していたのですが、その辺はもとの通り(らしい)。主人公の高校生・麻衣の1人称で話は進んでいきました。
いかにも高校生が主人公らしく、序盤はノリが軽くて、麻衣と友達との会話とか、ちょっと読みづらかったりもしたのですが、読み進んでいく内にそれも気にならなくなっていきました。

タイトルからして分かるとは思いますが、本書はジャンルとしては「ホラー」の部類に入るんですよね。で、実は私、ホラーは結構苦手。大丈夫かな~という一抹の不安を感じながら読んでいたのですが、全然大丈夫でした。

いや、怖いのは怖いんですけどね。でも、単に怖がらせて終わりというのではなく、その現象をキッチリと調査し、理屈づけていくところが面白かったんですよね。なるほど、この辺が人気があったところかもな~、なんて思いました。

また、結末までに2転3転したのもグッド。最初にナルの推理した(?)通りだったら、呆気なく思ったと思うのですが、ラストまであれこれ引っ張ってくれたお陰で、最後の最後まで楽しめました。

謎と言えば、登場人物もひと癖もふた癖もある人ばかりで、今後の展開が楽しみです。特にナルは一体何者!? 17歳で所長だなんていうのも嘘っぽいし、すごく頭はいいのに学生でもなさそうだし、かなり怪しいですよ。この辺は巻が進むにつれ、おいおい分かってくるんでしょうけど、すごく気になります。

今回はシリーズ1冊目ということもあり、登場人物の説明的な部分も多く、ちょっとごちゃごちゃしてストーリーと馴染んでいないようにも感じましたが、最後まで読んで、次がすご~く楽しみになってきました。早く購入しなきゃ!

燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿

2011年03月17日 22時39分17秒 | 小説
篠田真由美著「燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿」を読了しました~。本作は、建築探偵シリーズの本編では第15作目、シリーズ完結編になります!
さすがに15冊(しかも間に番外編が何冊か挟まっていたし)は、長かったなー。でも、無事にエンドマークがついてホントに良かったです。

これまでの作品は、シリーズものとは言え、バラバラに読んでも大丈夫なように作られていましたが、さすがにシリーズ集大成であるこの作品は、前の作品を読んでいないと、ちんぷんかんぷん(苦笑)。
かくいう私は、シリーズ全作品を読破したにも関わらず、すでに以前の話の内容や登場人物をかなり忘れていたせいで、序盤は何が何だか分からなかった(汗)。もし、これから本作を読もうと思っておられる方がいれば、できれば、以前の作品全てを、時間がなければ、前作「黒影の館」くらいは読み返しておくことをお勧めします。
読み進めていく内に、少しずつ前作の内容を思い出してはきたので、何とかついてはいけましたが、やはり面白さは半減してしまったかも・・・とちょっと後悔しています。

ストーリーの方ですが、最早「建築探偵」の「け」の字もなかったですねー(苦笑)。でもこれは仕方ないのかもしれません。シリーズ最後にして最大の謎である、「桜井京介」自身の謎を描かなくてはならないのですから・・・。そこに建築まで絡めるのは、さすがに難しかったのかな。

でも、桜井京介がいかにして「桜井京介」になったのか、また、これまでひた隠しにしてきた過去については、しっかりと描かれていましたので、とりあえず満足できました。ただし、そのために起きた20年前の事件については、かなり後味悪くて、何とも言えない気持ちになりましたけどね・・・。

しかし、グレゴリの事件、これで一件落着かと思ったら、結局はあいまいな終わり方なんですね。ま、一件落着で終わってしまっていたら、京介の今後をどうするのかが難しいですけど・・・。まさか、普通にサラリーマンなんてできないだろうしな~。
深春や蒼がそれなりに地に足をつけて歩んでいっているのに、京介だけは相変わらずの風来坊で、ちょっと可哀そうな気もするんですけどね。でも、「らしい」といえばらしいかな。

そうそう、今回の話で一番びっくりしたのが、神代教授!!まさか、あのモイラと男女の仲になるなんて・・・。ほんと予想外の展開でしたよ。神代さんって、これまで全く浮いた噂もなかった気がするんですけど、あんなことできるんですねぇ・・・。相手がモイラじゃなかったら、もっと応援したかったけど・・・。

あと、もう一つびっくりしたのが、深春と綾乃さん!これまで全くそんな描写なかったと思うんですよー。それがいきなりな展開だったんで、唖然としましたわ(汗)。私も深春には幸せになって欲しいので祝福はするけど、相手は別に綾乃さんじゃなくても良かった気がします。そのうち結婚して子供ができて幸せに暮らしたらしい、という感じでも良かったような・・・。

とにもかくにも、長かったシリーズが無事に結末を迎えられて、そしてそれをちゃんと読むことができて、ほんと良かったです!
また、番外編などで、京介のその後がちょっとでも読めたら嬉しいな♪と期待しています。


アリアドネの弾丸

2011年02月17日 00時14分57秒 | 小説

海堂尊著「アリアドネの弾丸」を読了しましたー!こちらは、「チーム・バチスタの栄光」から始まる田口・白鳥シリーズの本編第5弾にあたります。って、本編ではまだ5弾なんですねー。色んな番外小説を読んでるので、だんだん本編だか番外編だかが分からなくなってきてしまってます(^^ゞ

今回は、久しぶりにミステリっぽい作品に仕上がっていて、私好みの作品でした。前回の「イノセント・ゲリラ~」なんかは、ミステリやサスペンスの要素はゼロでしたからね。そのせいか、1冊を読み終わっても、全然話が終わってない感じで、やや消化不良気味だったのですが、今回はちゃんと犯人がいて事件も一応の区切りがついたので、私としてはかなりスッキリできました!

しかし、よりにもよって、高階病院長がまさか容疑者になるなんて・・・!これには本当にびっくりしました。例え田口が捕まるようなことがあっても、高階院長だけはないと思っていたので・・・。
読者としては、もちろん、高階さんが殺人だの収賄だのということに手を染めるはずはないと分かっているのですが、どう見ても高階さん以外に犯人はいないような状況なんですよね。田口・白鳥コンビは、この状況をいかにて覆せるのか?というのが、この話のキモですね。

登場人物でいうとレギュラー陣は相変わらずで一安心。ここまで登場人物が増えてくると、なかなか全員を出すというのは難しいわけですが、今回は上手く要所要所で使ってきていましたね。特に、加納さんなんて、本人はアメリカに出張中で今回の事件には直接的にはからんでこないのですが、それでいてかなり重要な役割を担っていたりして面白かったですね。

あと、田口の同期である島津准教授も今回はかなり出張っていました~。同期ということでいつも名前は上がってくるのに、意外と語られてこなかったので、今回かなり出番が多くて良かったです。田口・速水・島津の三人が揃った場面がまた読みたいな~。

そうそう、田口先生はついにセンター長という役職に就いてしまいましたね。出世欲は全然ないし、すごい業績を上げたわけでもないにも関わらず、どんどん出世していってしまうなんて、ホントすごいです。他からみたら、絶対恨まれてしまいますね。


長い廊下がある家

2011年01月31日 00時07分24秒 | 小説
有栖川有栖著『長い廊下がある家』を読了しました!久しぶりの有栖川さんの新作で、とても楽しみにしていました。
本書は、臨床犯罪学者火村英生が活躍する作家アリスシリーズで、タイトルにもなっている『長い廊下がある家』、『雪と金婚式』、『天空の眼』、『ロジカル・デスゲーム』の短編4編をまとめた作品です。

この中では、『長い廊下がある家』が一番長くて、しかもミステリとしてはオーソドックスかなと思います。そのわりに、読んでいてもトリックは全然分からなかったですけどね(^^ゞ
読み終えてから改めて考えると、こういうトリックって、ありがちな感じがするんですけど、読んでいる内はぜーんぜん思いつかなかったです。

で、『天空の眼』と『ロジカル・デスゲーム』はこれまでの火村シリーズの中ではかなり異色な試みをした作品で、なかなか面白かったです。
どんな風に異色かというと、『天空の眼』の方はほとんどアリスのみ、逆に『ロジカル・デスゲーム』は火村のみが関わった事件なんですよね。
もっとも火村は、彼自身がシリーズを通しての大きな謎であるので、語り手になって自分の内面を語るようなことはないので、火村から聞いた話をアリスが読者に語っているというスタイルではあるのですが、それでも火村の体験した「ゲーム」は、とてもスリリングで読んでいてワクワクしました。短い作品なんですが、今回の中では一番面白かったかなー。

それにしても、火村の謎はいつになったら明らかになるんでしょうね。毎回、火村シリーズを読むたびに、少しずつでも、ほんの一部でもいいので、火村の過去や内面が明らかになったいいのにな、と期待するのですが、ほとんどそれについて触れられることがないんですよね。有栖川先生も、もう明らかにするつもりはないのかもしれませんね。謎な男の方が、みんなを惹きつけられますからね~。
でも、ファンとしてはいつかは分かる日が来ると信じたいんですけど・・・。

ジェネラル・ルージュの伝説

2011年01月26日 00時05分46秒 | 小説
海堂尊著「ジェネラル・ルージュの伝説」を読了しました!映画化・ドラマ化もされた「ジェネラル・ルージュの凱旋」の外伝的短編小説が3篇と収録されている上に、エッセイや、自作解説、用語解説辞典なども付いていて、読み応え抜群でした。

特に「伝説-1991」 には、速水先生が「ジェネラル・ルージュ」と呼ばれるに至ったいきさつが詳しく描かれていて、思わずニンマリしてしまいました。後年、伝説と化したジェネラルの話も、当人から見ればこんな感じだったいうことが分かり、外から見るのと違う速水先生の内面も分かって楽しめました。
また、それと同時に、「ナイチンゲール」に登場した水落冴子のストーリーも描かれていて、2度美味しい作品でした。

後の2編は「ジェネラル・ルージュの凱旋」で描かれた事件を三船事務長の視点から描いた話と、速水先生が去って1年後のオレンジ病棟の話です。速水先生は主役ではないけれど、その影響力の強さを感じる作品で、速水ファンとしてはそれぞれ楽しませてもらいました。

海堂さんの作品では、色んな作品の登場人物がクロスオーバーしてるのですが、実は、ストーリーを上手く進めるために、わりと適当に登場人物を出したりしてるようですね。もっと緻密に計算した上で書いているのかと思っていただけに、ビックリです。(というか、そんな適当に出しているのに、ほとんど矛盾なく描いているのが、さらに凄いと思いますけど)
こんなことはこの本を読むまで分からなかったことなので、ほんとファンにとっては嬉しい1冊ですね。

ダイイング・アイ

2010年12月23日 22時06分28秒 | 小説
東野圭吾著「ダイイング・アイ」を読了しました!東野さんの作品は、私の大好きな推理ものな上、とても読みやすいものが多いので、昔からよく図書館で借りて読んでいましたが、最近の人気ぶりにはちょっと驚いています。出る作品出る作品、かなり売れているようですし、しかも次々とドラマ化や映画化されていますもんね。
また東野さん自身、新しい作品を次々と発表されていて、正直最近の作品は私も読み切れていないのですが・・・(^^ゞ

で、肝心のこちらの作品の感想ですが、単なるサスペンスものではなく、ファンタジックというかSF的というか、常識的な枠にははまらないストーリーで、純粋なミステリー好きとしては、ちょっと微妙でした。

これは最近の東野さんの傾向でもあると思うのですが、以前ほど本格的なミステリーは書かれないんですよね。
私は初期の頃の、オーソドックスなミステリーが好きなので、最近の作品はあまり好みのものは少ないのですが、これもその一つになるかなぁ・・・。

語り口は軽快で読みやすいし、さらっと読む分には十分楽しめるんですけどね。読み終わった後もう一度最初から読みたくなるかと言えば、そうはならないんですよねぇ・・・。キャラクターに魅力を感じないし、個性がなくて印象も薄いというか。
最近の作品の印象は、こういうパターンが多いので、ちょっと残念です。

テンペスト

2010年12月17日 00時25分26秒 | 小説
池上永一著「テンペスト」を読了しました!池永さんの小説はこれまで読んだことがなかったのですが、この小説はなかなか評判が高いと聞いたので、ずっと読みたいと思っていました。

かなり分厚い上に上下二段組みの小説で、読み切れるかなと最初は不安になりましたが、読み始めたらあっという間でした。
女でありながら性を偽って宦官として王朝につかえるという、まるでライトノベルさながらの設定にどんどん惹きこまれていきました。

主人公は宦官と偽っていることにより、弱みを握られて追いつめられたり、恋する相手には本当のことを告げられず切ない思いをしたり、はたまた流刑になったりと、とにかくよくもここまで詰め込めるなーと思うほどの波乱万丈の人生で、読んでいても続きが気になって気になって、あっという間にラストまで読んでしまいました。

また、琉球王国の文化や歴史なども知らなかったことばかりで興味深かったし、どこまで正確に描かれているかはともかくとしても、当時の史実ともストーリーがうまく絡めてあって、歴史的な読み物としても楽しめますね。

ただ、かなりファンタジックな面も多いし、例えライトノベルでも、そこまでハチャメチャな展開はないだろうと思う程、ぶっ飛んだ展開なので、好き嫌いが分かれるところかと思います。実際、私ももうちょっと現実的な方が好みなので、楽しく読めましたけど、ものすごくハマルというところまではいかなかったかなー。

それは、主人公の真鶴(=寧温)に思った程、感情移入できなかったことも原因のひとつかも。ものすごく頭が良い上に美人で正義感や意思の力も強い真鶴は、あまりにも出来過ぎていて、現実的にこんな人間がいるとはとても思えないんですよね。もうちょっと、欠点や人間臭さもあった方がいいのになと思ってしまいました。

隻眼の少女

2010年11月30日 00時09分59秒 | 小説
麻耶雄嵩著「隻眼の少女」を読了しましたー!麻耶さんってホント寡作な作家さんなのですが、今年はなんと2作も新作を読めましたよ。奇跡的だー。

麻耶さんの作品はというと、実は結構評価が分かれるような気がします。作風は本格ミステリ風なんですが、そのわりにトリックなんかは禁じ手でもどんどん使ってくるし、ミステリとしては決してフェアな作品じゃありません。
また、主要な登場人物も一風変わった人ばかりで、感情移入できるようなごく普通の人って、ほとんど出てきません。何か暗い過去があったり、性格がねじまがっていたり(苦笑)で、幸せそうな人とか自分に近いごく普通な人って、皆無といっていいほどなんですよね。

でもナゼだかわからない魅力があって、後味の悪い結末だなーと思うのに、暫く経つとまたふと読み返したくなるんですよね。これって何なんでしょう。いつも不思議に思います。

で、肝心のこちらの作品ですが、ストーリー的には、主要登場人物が若いせいか、読みやすい方だったかなと思います。静馬とみかげの掛け合い漫才的なやりとりも楽しかったし、テンポもよくてサクサク読めました。いつもと比べると、名前の付け方もごく一般的でしたしね(笑)。

しかし、ラストでは、案の定というかやっぱりというか、読後の何とも言えない割り切れなさは健在でした。私もやはりショックだったな~。中盤までが非常に楽しく読めただけに、ちょっとね・・・。私のような反応は、きっと麻耶さんの狙い通りなんだろうなー。
まあ、麻耶作品はある意味、それくらいのカタルシスを期待して読んでるところもあるので、私としてはまぁ満足と言ってもいいかな。

それに対して、ミステリとしてどうだったかというと、こちらはかなり微妙。ネタバレになるといけないので、あまり詳しくは書けませんが、さすがにそういうトリックは無理でしょうと言いたくなりましたしね!(腹話術とかオコジョとか・・・)
偶然に頼り過ぎてる部分も多いし、純粋なミステリだと思って読んでいたら、ガックリくるかも・・・。あくまでも麻耶ワールドが好きな人向けかなと思います。

寡作な麻耶さんの新作はいつ読めるのかなー。なんだかんだ言っても、やっぱり楽しみにしてしまいます。私も麻耶ワールドにはまっている一人というわけですね。