11月に読んだ本

11月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5182ページ

▼読んだ本
世界幻想文学大全 幻想文学入門 (ちくま文庫)世界幻想文学大全 幻想文学入門 (ちくま文庫)
読むのを少しずつにして、私には正解だった。特にラヴクラフトの「文学と超自然的恐怖」は、具体的に作品が取り上げられているのが面白いなんて、言っていられるのは序の口で…。次から次へと粗筋ばっかり読まされ(しかも結構長い)、くらっくらした。作品数にも圧倒されつつ。巻末の年表は素敵だし、作家名索引も使えそうだ。何かと使いたいと思う一冊。
読了日:11月30日 著者:東 雅夫

アルハンブラ物語〈下〉 (岩波文庫)アルハンブラ物語〈下〉 (岩波文庫)
空想の中で幾度もアルハンブラ宮殿を訪れていた少年が、やがて気まぐれな旅人となり、その憧れの王宮に滞在する身となった…という喜びが、溢れんばかりに伝わってくる。夢のような日々を綺羅に縁取る、聴き集めた伝承の数々。占星術師が、征服王に平穏をもたらす見返りに、洞窟の住処と踊り子を所望する話。恋に関することから切り離されて育った王子が、フクロウとオウムを連れに旅をする話。モーロ人の遺産をめぐる伝説。三人の美しい王女の恋の話。“アルハンブラの薔薇”と呼ばれた少女が、吟遊詩人となってアンダルシア中を熱狂させる話。など
読了日:11月29日 著者:W. アーヴィング

アルハンブラ物語〈上〉 (岩波文庫)アルハンブラ物語〈上〉 (岩波文庫)
また一つ、とっておきが増えたなぁ…というほくほくした気持ちで、隅々まで堪能した。おお、麗しのアルハンブラ! 伝説収集の旅人が縷々綴れば、その旅の記録にも、“物語”という響きがこんなに似つかわしい。何となればこの恵まれた旅人は、子供の頃からの白昼夢が現実となり、アルハンブラ宮殿の住人になってしまうのだもの。初っ端から。歴史を紐解く件も興味深く、とりわけグラナダ落城の廃王ボアブディルについての記述は印象深い。歪められた悪名神話の誤りを明るみにし、あらためてその悲哀を思い遣る語り口は、ひたひたと沁み入った。
読了日:11月28日 著者:W. アーヴィング

アルゴールの城にて (白水Uブックス)アルゴールの城にて (白水Uブックス)
ただ、もう、好きな世界。うとりうとり…。
読了日:11月26日 著者:ジュリアン グラック,ジュリアン・グラック

夏幾度も巡り来て後に AFTER MANY A SUMMER夏幾度も巡り来て後に AFTER MANY A SUMMER
うーむ。幻想的というよりは悪夢めいた…と言いたい、まさに狂想劇。粗野なアメリカ人大富豪の、不老不死への妄執。前半では鳴りを潜め勝ちだったその不気味さが、後半でグロテスクにだだ漏れる展開に息を呑む。大富豪ストイトの幼馴染プロプターが、学者ジェレミーと青年ピート相手に、“時間と渇望”や“潜在的善と潜在的悪”について述べだす件でげんなりしかけたが、手に取ったからには、あのラストに辿り着けてよかった。異様な終局へと頽れる…。英国一族に蓄蔵されたホーバーク文書が、思いもよらぬところで話の核心と繋がる辺りが面白かった
読了日:11月25日 著者:オールダス ハックスレー,ハックスリー,オルダス ハクスリー,Aldous Huxley

死せる王女のための孔雀舞 <佐藤史生コレクション>死せる王女のための孔雀舞 <佐藤史生コレクション>
読了日:11月22日 著者:佐藤史生

101/2章で書かれた世界の歴史 (白水Uブックス)101/2章で書かれた世界の歴史 (白水Uブックス)
素晴らしい読み応え。想像していた内容とはかけ離れていたが、そも歴史とは何ぞ…という問いを投げかけられ、一つの答えを指し示されたとき、このタイトルの周到な含みにも気付かされて思わず唸った。“世界の歴史”なるものをこんな手法で描いて見せる事自体、どこか突き放したような、シニカルな印象が強いのは否めない。苦味の勝った読み心地。それが嫌いではなく、むしろ透徹した眼差しには射竦められつつ感歎した。そしてそういう中に、愛をめぐる思索を深めていく1/2章が差し挟まれてくるのは、心憎いと思う。霧の中の灯火のような章だった
読了日:11月20日 著者:ジュリアン バーンズ

ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし―ドナウを下って (東欧の想像力 3)ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし―ドナウを下って (東欧の想像力 3)
反マグリスの本だったことを知り読み返したくなった。やはり好きだ…。反マグリスとはつまり“東欧のことは東欧の人間にしかわからない”という思いにあるようだ。帝国の歴史や伝統、ヨーロッパの分裂について、クンデラ氏の憂愁…などなど。ブダペストを描く「見えない都市」ではカルヴィーノの引用がふんだんで、細かい章題の付け方まで踏まえていた。終盤、ダニロ・キシュへのオマージュが差し挟まれている。初読時は未読の作家だったので、もう1度読むことが出来て本当によかった。真っ直ぐな敬慕の念が伝わる、胸の熱くなる素晴らしい件だった
読了日:11月15日 著者:ペーテル エステルハージ

若き日の哀しみ (海外文学セレクション)若き日の哀しみ (海外文学セレクション)
さみしくて沁みて、とてもよかった。何より文章が好きだ。マロニエの実、菫色の瓶、林檎の木、セレナードをささげられる乙女、サーカス団がいた気配、野生の白ツメクサの香り、少年の言葉を理解する犬ディンゴ…。えも言われぬ抒情に浸り、秋の草原を吹き抜ける風を思わせる、どこか乾いた郷愁に包まれるひと時だった。少年を取り巻く現実の厳しさが垣間見える度、胸がきゅっと締めつけられる。こんな境遇で育つ少年は、大人になるのも早いだろう。半ズボンをはいた想像力豊かな少年の時間は、短い。他ならぬその儚さが、この作品の耀きだとしても。
読了日:11月14日 著者:ダニロ キシュ

ことりことり
読了日:11月13日 著者:小川洋子
とてもよかった。胸に灯った温もりを抱きながら、じっといつまでもうずくまっていたい余韻。ほろほろと慈雨のように沁みる、“小鳥の小父さん”の物語。“小父さん”という、今まで気に留めたことのないありふれて地味な言葉が、こんなに優しく切なく心に響くことがあろうとは…と、感じ入った。

アンデスのリトゥーマアンデスのリトゥーマ
素晴らしい読み応え。ややもすれば重苦しい題材なのに、どうしてどうして頗る面白く読めた。迷信深いインディオの地。人々の実像や悲惨な状況が描かれる一方、夜な夜な一途な若者の恋物語が差し挟まれ、揺り返しの感覚にぐっと掴まれた。伝承と現実を区別しないインディオ文化に主人公を対峙させつつ、それらに触れる筆致の公正さも印象深い。3人の行方不明者、凶暴なテロリスト集団。殺されるのを待つような心境で、日々をやり過ごすリトゥーマ。客を煽り破目を外させる酒場の主人ディオニシオと、魔女ドーニャ・アドリアーナの造形が際立っていた
読了日:11月11日 著者:マリオ・バルガス=リョサ

古城ホテル (RHブックス・プラス)古城ホテル (RHブックス・プラス)
面白かったけれど、やや期待が大き過ぎたかも…。
読了日:11月08日 著者:ジェニファー イーガン

虫樹音楽集虫樹音楽集
面白く読んだ。全体的に何ともざわざわと気持ち悪いのは、カフカの『変身』が基底にある所為なので仕方ない…と思いつつ、どこまでが狂気なのかがわからなくなる世界だった。好きだったのは、「虫王伝」と「虫樹譚」。とりわけ「虫樹譚」の、“脳内に虫を飼う(と、睡眠が不要になる)”PIB法の設定や、語り手がグレゴール・ザムザを独自に解釈して共感を寄せていく件が興味深かった。暗い幻想譚の趣きの、「変身の書架」もよかった。
読了日:11月07日 著者:奥泉 光

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素晴らしい読み応え。ずしりと腕に、胸に響く大きな本。冒頭の一文に目を落とす瞬間は、大海に漕ぎ出す小舟…といった按配で気が遠くなったが、それはまた何と凄まじく恐ろしく、驚異と啓示に満ちた豊かな大海だったことか。印象的なエピソードの多さに反して、詰込み過ぎだと全く感じさせない流れにも圧倒される。途中、酷く辛い箇所が長く続いたものの、後半から凄い本を読んでいる…という感慨がじわじわと込みあげた。物語は5部から成り、その要となるのは、メキシコの架空都市サンタテレサと、謎に包まれたドイツ人作家アルチンボルディである
読了日:11月05日 著者:ロベルト ボラーニョ

ギルガメシュ王さいごの旅 (大型絵本)ギルガメシュ王さいごの旅 (大型絵本)
読了日:11月01日 著者:ルドミラ・ゼーマン
ギルガメシュ王のたたかい (大型絵本)ギルガメシュ王のたたかい (大型絵本)
読了日:11月01日 著者:ルドミラ・ゼーマン
ギルガメシュ王ものがたり (大型絵本)ギルガメシュ王ものがたり (大型絵本)
読了日:11月01日 著者:ルドミラ・ゼーマン

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