酒見賢一さん、『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』

 『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』、酒見賢一を読みました。

 “臨戦態勢に入った最初のうち、張飛は喜び庭かけ回り、あっちの兵士の背中を平手打ちし、こっちの隊長にびんたを喰らわせ、夏休みに入った子供のようにはしゃぎまくっている。” 216頁

 抱腹絶倒と言いますか、にまにまにまにま…ぶへっわははっ! という具合に笑いどおしで楽しみました。やー、面白い面白い。
 第壱部ではばんばん引っ張って、やっとこさ肝心の孔明が劉備軍団に入る辺りで終わってしまうので、内容としてはこの第弐部でいよいよ三国志らしい見せ場が堪能出来ます。すんごい武将(殺人マシーン)たちの活躍がたんもり盛り込まれていて、満腹になること請け合いです(憤死は見られなかったけれど)。
 戦が始まるといささかややこしく、何度も地図を睨んだり、「武将の名前が多すぎる…」と呟いたり、でも話の方がすこぶる面白いのだから頑張るしかありません。

 そして突っ込みの舌鋒が最良のスパイス。これがあるからやめられない…といった感じです。あと、例えばいきなり唐突に、“当時、テレビ中継があったなら”などと勝手な妄想が始まるのですが、これが絶妙です。今の感覚で分かりやすくする譬えを使うのが巧妙で、しかもその内容が妄想満載で可笑しいです。一話ごとの幕引きでの講談師ぶりも好きでした。
 (2007.7.13) 

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