バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

細胞内における硫黄修飾の新たな反応機構を解明

2017年05月09日 | BioTech生物工学 遺伝子工学
産業総研HP・掲載日:2017/04/25

-ミトコンドリア機能制御の研究に手がかり-

 ミトコンドリアは、細胞のエネルギーを生産する重要な細胞小器官です。近年、ミトコンドリアの活動は転移RNAの硫黄修飾と関連が深いことが報告されており、ミトコンドリアの機能を制御する新たな経路が予想されていました。ヒトを含む真核生物の細胞質で硫黄修飾を行う酵素は同定されていますが、その詳細な反応機構は長い間不明でした。本研究は細菌由来の硫黄修飾酵素TtuAに注目し、完全無酸素の条件下での分光学、生化学及びX線結晶構造解析により、TtuAが酸素に接すると崩壊する不安定な「鉄硫黄クラスター」と呼ばれる因子を用いて機能することを同定しました。また複合体構造解析の結果から、TtuAが、鉄硫黄クラスターをあたかもタンパク質の一部のように用いて硫黄を転移する、これまで知られていない硫黄修飾メカニズムを用いることを提唱しました。本研究の成果は、ミトコンドリアによるエネルギー生産の制御機構を解明するための重要な手がかりを与えると期待されます。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20170425/pr20170425.html