ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

美丘

2010-11-28 22:41:18 | 本を読みました
ちょっと前に日本テレビ系で放送されていましたね。

たまたま本屋で売上一位になっていたことと
作者が石田衣良さんということで買ってしまいました。



主人公の美丘は大学2年生。
「思ったことは必ずやる」という鉄砲玉のような性格で、
他の女から男を寝取ったり、
絡んできた男を殴り倒すなど男勝りの性格。
一匹オオカミ的な美丘に太一が声をかけた。
その後、太一は美丘と恋に落ちる。
しかし、美丘には秘密があり、
幼稚園の時の手術が原因で
クロイツフェルト・ヤコブ病に感染している可能性があった。
発症したら坂を転げ落ちるように悪くなり、
動けなくなり寝たきりになってなり、痴呆も出て
最後には自分で呼吸ができなくなってしまう。
だから、「ありのままの自分で居続けること」
「生きること」に執着していた。
そして。。発症してしまうのだった。
残された命を見つめ、限りある生を全力で走り抜けた美丘。
彼女が生きたことの証として最期を見届ける太一。

という話です。


ドラマは吉高由里子さんが演じたようですが、
吉高さんはワンパターンの演技というのか
私はあまり好きではありません。

しかし、小説を読んでいるうちに吉高さんがぴったりと
思いました。
数々のベットシーン小説ではありましたが、
おそらくテレビではカットされていたことでしょう。
小説の中で
風呂上りに美丘が、ショーツ一枚であぐらをかいて
ニンジンジュースを飲むシーンがありました。
(恋人同士でもはじらいがあればしないけれど。。
 そこが美丘の「素」がでていていいところ)
それが吉高さんならあり得ると思えたからです。
ビールのCMであぐらをかいていたそう刷り込まれたのかしら?



この25年でSLEの治療も進化してかわりました。
昔はステロイドオンリー。
具合が悪くなればパルスをするという時代でした。
パルスをすれば病気はたたけても全身が弱るだけ。
でもしなければ病気によって死んでしまう。
また、血清補体価も外注にだしていて、
結果がもどってくるのに1週間もかかりました。
(その前は1カ月まちだったとか)
データも少なく、一人ひとりの状態がちがうので
急変を予知できなかったり、
急変の本質原因をつかむのに時間がかかって
手遅れになったりと、いろいろありました。
当時の病気仲間はみんな死んでしまいました。

だから、「明日のわが身」と思っていました。
現在のように、SLEで出産をするなんて
とても考えられない時代でした。

明日のわが身と思って突き進めは
過労から病気を悪くするだけで
ただ、なにもできない悔しさの中で、
時間を過ぎていくのを見守るしかなかった。
そして私は発症して27年も生きてしまったのでした。
私の考えが悲愴に満ちていなくて
とても楽天家だったら、
ただ、時間がすぎていくのを見守るだけの人生で
なかったような気がします。


今も、データは超低空飛行。
でも、以前ほど日に当たっても痛いと思わなくなった。
体力も今がいちばんあるような気もする。
だから、今動かないと次がないような気がする。
でも、何をすればいいのかわからない私がいる。
でも、美丘みたいに無鉄砲にいまさらなれません。
でも、しなくちゃいけない。

いろいろ現在過去未来について考えさせられた一冊でした。


石田さんの文章は繊細過ぎて
流行からおくれたおばさんにはブランドやファッションスタイルが
わからない。。。
それが残念です。(いつものことだけれど)
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