計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

脳は自らを理解できるか?

2007年01月15日 | 計算・局地気象分野
 そういえば・・・全然ブログを書いていませんでしたね。

 実は、最近ニューラルネットワークにハマっています。ようやくバックプロパゲーション型学習回路に3ビット信号の反転信号を返すパターンを学習させることに成功しました。何だか情報工学科の学生実験みたいな内容ですね。まあ、この程度の内容ですと、単純にNOT回路(インバータ)3つで実現できる論理じゃないか、そもそも気象と何の関係があるの?別に「学習」させなくても単純に反転させれば済むだけの話ではないか!という突っ込みが聞こえてきそうですね。

 ウッ、耳が痛い・・・確かに気象とは関係ありません。(なんじゃそりゃーぁ)

 でも、これが実現できた事は大きな意味があるのです。要するに、バックプロパゲーション型学習回路の独自のノウハウを持つことが出来たのです。あとは、このコードをいじくり回して数値実験がやり放題になります。そういう意味では、またあたらしい「おもちゃ」を手にした事になります。また一つ、奇想天外な研究が始まろうとしています。

 さて、天気の予報も究極的には人間の感性に委ねられる、とはこれまでも主張してきた事ですが、この人間の感性=経験的学習を数値モデル上で再現しようとするのがニューラルネットワークである、と考えることが出来るでしょう。

 気象庁の量的予報ガイダンスにもニューラルネットワーク理論は応用されていますし、民間気象会社の中にも独自のニューロ・コンテンツを配信している所もあるでしょう。天気予報にニューロ理論を導入するという発想それ自体は珍しくも何ともありません。むしろ、このニューロ理論をどのように活用するのか、何をやるのか、の問題ではなかろうか、と私は思います。私の中には大まかな構想があります。その実現手法について、これから研究することになるでしょう。

 ニューラルネットワーク/ニューロ理論というのはなかなか難しいと思われがちですがやっぱり難しいです。私が使用しているのは階層型ネットワークの基本的な内容ですが(しかし、バックプロパゲーションはいろいろなところで活用されています)、相互結合型ネットワークであったり、フィードバック結合型等、まだまだ未知の理論も多々あります。

 但し、これらの出発点はニューロンであるので、究極的には脳機能をコンピュータ上に再現しようとしているわけです。脳が自らを理解する時がいつの日か到来するのでしょうか。この辺の議論は興味のある方は各自勉強してみて下さい。

 私の言う「計算気象」は、何も計算流体力学には留まりません。数値計算による気象予測はその全てが興味の対象です。要は、独自の局地予報を実現するためのエキスパートシステムになれば良いのです。

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2 コメント

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ニューラルネットワーク (貴樹)
2007-01-17 22:56:12
手を出したのですね(^^) ニューラルネットワークに。私も簡単なプログラムを作成したことがあります。学生のころなので、友人のコピーでしたけど(^^; でも、学習されているって感じますよね。
いろいろな所で応用されているので、楽しめそうなおもちゃになりそうですね。
# 私は別のおもちゃで楽しんでいます(^^)
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様々な所への応用を視野に (qq_otenki_s)
2007-01-19 21:41:19
 先月半ばからはニューロ理論の研究も細々と進めておりましたが、いよいよ本格的になってきました。独自の気象予測においても、どのようなデータを組み合わせて、どのように学習させるか、で予測精度も大きく異なってきます。なかなか面白くなってきました。
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