パピとママ映画のblog

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ザリガニの鳴くところ★★★・5

2022年12月20日 | アクション映画ーサ行

               

全世界で累計1500万部を売り上げたディーリア・オーエンズの同名ミステリー小説を映画化。リース・ウィザースプーンが製作を手がけ、ドラマ「ふつうの人々」で注目を集めたデイジー・エドガー=ジョーンズが主演を務めた。音楽は「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」でアカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ダナ。テイラー・スウィフトが本作のためのオリジナルソングを書き下ろしたことでも話題を集めた。

あらすじ:ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭の青年チェイスが変死体となって発見される。彼は高い火の見やぐらから何者かに突き落とされた他殺と見られたが、現場に足跡や指紋は見つからなかった。犯人として疑われたのは、湿地帯でひとり孤独に暮らしているカイアで、街の間では“湿地の女”と言われ忌み嫌われていたが、彼女は6歳の時に両親に捨てられて、学校へも通わずに湿地の自然から生きる術を学び、たったひとりで生き抜いてきた。

カイアは容疑者として逮捕され、裁判にかかることになる。彼女を有罪に持ち込みたい検察に対し、カイアの無実を主張する弁護士は、カイアに何があったことを問う。カイアは、自分のこれまでの半生を語り始め、運命的な出会いをした青年テイトとチェイスについて語り始める―。

<感想>犯人探しの謎解きを超え、少女という存在の謎に強く魅了された。人間でさえなければ、この森の中では天国だと思う。しかし、学校へも行かず、カイアは一人湿原で生き抜いてゆく、過酷な生活を強いられる。そこに、迷い込んできた一人の青年。彼との出会いをきっかけにすべての歯車が狂い始める。

ミステリーとしては中々の秀作である。自然の世界には善悪はない。しかし、ただ生きる知恵があるだけ。差別や偏見という人間特有の善悪の基準なくしては生まれない。人生の大半を自然の中で生きてきた彼女には、読み書きのできない少女に、文字を教えてくれる青年との恋のエピソードは、甘酸っぱくてほろ苦い。

唯一無二の物語は、主人公のカイア役のデイジー・エドガー=ジョーンズの新鮮な存在感と、卓越した演技力に裏づけされたもの。そして、カイア独自の目線で描かれる美し生物や植物のイラスト、自然と共に生きてきた彼女が生きる術を学ぶ、湿地の世界の映像美に引き込まれる。

複雑で多彩なミステリーな物語には、気が付くと湿地の迷路のような思わぬ場所へとたどり着く。唖然としたままにエンドロールを見届けた後に、あのラストは誰かに話したいけれど、誰にも言ってはならないような気さえします。湿地で生まれ、一人で生きてゆく少女の足跡に、美しさと強さを植え付けられ、最後には飲み込まれてしまったミステリーの波に複雑な余韻が残りました。

 

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