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ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~★★★★

2017年11月05日 | アクション映画ーラ行

「料理の鉄人」をはじめ数々の人気テレビ番組の演出を手がけた田中経一の小説家デビュー作を「おくりびと」の滝田洋二郎監督、「母と暮せば」の二宮和也主演で映画化した歴史ヒューマン・ミステリー。どんな味でも再現できる絶対味覚=“麒麟の舌”を持つ主人公が、1930年代の満州で天皇の料理番が考案した幻のフルコースの再現を依頼されたことから思いも寄らぬ歴史の運命に巻き込まれていくさまを、現代と過去それぞれの物語を通して感動的に描き出す。共演は西島秀俊、綾野剛、宮崎あおい、竹野内豊。

あらすじ:絶対味覚=“麒麟の舌”を持つ佐々木充は、依頼人が人生最後に食べたい料理の再現を請け負う“最期の料理人”として知られる男。ある日、中国料理界の重鎮・楊晴明から破格の依頼が舞い込む。それは、かつて満州国で天才料理人・山形直太朗が考案したという伝説のフルコース“大日本帝国食菜全席”のレシピを再現してほしいというものだった。当時、山形の助手として楊もメニュー作成に協力していたが、太平洋戦争開戦直前に山形はレシピとともに消息を絶ってしまったのだった。こうして山形を巡る謎を解き明かし、幻のレシピの再現に挑むことになった佐々木だったが…。

<感想>幻のコース料理のレシピが現代と1930年代の満州、二つの時代の天才料理人を結び付ける本作。二宮和也扮する天才料理人・佐々木充が70年前に失われた伝説のフルコースのレシピを探していく現代パートと、そのレシピがいかにして作られ、失われたのかを綴る1930年代の満州を舞台にしたパートが、並行して描かれる作品であります。

その満州パートで主人公となるのが、時の群舞の要請によって満漢全席を超えるレシピ作りに情熱を傾けていく、もう一人の天才料理人・山形直太朗なのです。直太朗に扮したのは、西島秀俊さん。その妻の千鶴を宮崎あおいが演じている。ご両人、夫婦役を難なく演じてましたね。この当時は、出産は女性にとっては命取りになることもあるんです。千鶴は女の子を生み、出血多量で亡くなってしまう。

満州を舞台にした映画であり、その当時の満州は日本人にとって希望の土地であったと思うんですね。最初は満州国の繁栄とそこで夢を追う人々の物語として、軍人の三宅太蔵・竹野内豊とその妹の千鶴・宮崎あおいという設定で、そこへ、現代の料理人・佐々木充に二宮和也が幻のレシピを探していくという、ある種の探偵ものといってもいいでしょう。

そこで、山形直太朗なる人物を語るのが、助手の鎌田正太郎であり、彼が過去と現代を結ぶという展開になっています。

佐々木充は料理作りでは、妥協を許さず、それを周りにも厳しく求めたために自分の店を潰してしまった男。方や山形直太朗も、軍部から満漢全席を超えるコース料理のレシピ作りを依頼され、その作業に情熱のすべてを注ぐ妥協のない男であった。

充の友達に綾野剛が扮しており、チャーハンを作って充に食べさせる。店は閑古鳥がなくような客がいないのだ。しかし、ラストでこの店に行く充に”黄金のチャーハン”を作って食べさせると、これはうまいと絶賛する充。店は満席で、客は”黄金のチャーハン”目あてに来ているのだ。

しかし、充と直太朗には両極端なところがあり、直太朗はレシピ作りのために満州にやってきた、理想に向かって行く男なんですね。充の方は現代的かつ利己的であり、素直さはあるんですが社会に対して一言云いたくなるという、典型的な嫌なやつなんですよ。ですが天才料理人としての苦悩が、どちらにもあるのですね。

直太朗にしてもレシピ作りに没頭するあまり、周りが見えなくなって嫌なやつになる時がある。でも彼はそれを乗り越えて誰のために料理を作るのかを悟るんですね。直太朗は新しい料理が出来ると、必ず妻に食べてもらう。それで彼女が食べて“ニコッ”とすると次の料理に進めるわけ。それに、直太朗の料理をカメラで写真を撮って記録する妻の千鶴。そうやって夫の背中を押してあげる、いつも夫の後ろにいて手助けをしているのだ。それが、日本女性の象徴でもありますね。

結果として直太朗は、いろんな人を許す人になったけれど、充は誰も許せない人なんですね。それだけに、他人に心を開かずレシピ探しの探偵役でもある充を演じた二宮和也は、苦虫を噛んだような表情の演技が目立っているように感じた。

ここでは、満州時代のことが並行して描かれているが、充自身の回想げきではなく、彼が他人の話を聞きながら当時の状況を、頭の中で整理しているわけなんですね。

充が楊晴明から依頼を受け、レシピを探す旅の先々で、充は必ずこの食菜全席から1品ずつ振る舞われています。恐らく柳沢が意図的に仕組んだのでしょう。辰巳静江(豚の角煮)→鎌田正太郎(鮎の春巻)→柳沢(黄金炒飯)→ダビッド・グーデンバーグ(ロールキャベツ雑煮風)と、1品ずつ彼らの思い入れの深い一皿を食べることで、頑なな充の心が少しずつほぐれていくよう演出には感心しましたね。

充が最後にビーフカツサンドを食べて、“うまい“という場面があるのですが、父からレシピを受け継いだ、充の母親・幸が、ビーフカツレツから”ビーフカツサンド“へ発展させるということと、ここでの充は料理が美味しいだけでなく、直太朗やいろんな人たちの想いを受け取って、自分がこれから一生懸命に生きていくという想いも込めた一言だと言いたい。

終盤では、レシピの謎を探して自分が山形直太朗の孫だと言うことが解り、二宮の顔がスクリーンに大きく映し出された瞬間、いつもの「嵐の二宮」をさらりと消して、映画のその人になりきりながらも、有無を言わさずに観客の心を掴むのは、これぞ主演を演じているスターというものだろう。

すっかり二宮くんに心を持っていかれたところで物語は終わったのだが、もう一人私の心を掴んだ俳優がいた。

それは「沈黙サイレンス」(16)のイチゾウ役を演じた笈田ヨシさんであります。直太朗の助手だった楊青年から、70年後の年月を経て89歳のが演じた楊晴明さんの圧巻の演技に感服しました。

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