パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ミッドナイト・ガイズ ★★★.5

2014年03月09日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキンというアカデミー賞受賞経験を持つ名優が共演したクライムドラマ。長年の刑期を終えて出所した老ギャングと、組織から彼を殺す密命を下された旧友が最後の夜をハメを外して過ごすさまを描く。俳優、製作などをさまざまな作品で担当してきたフィッシャー・スティーヴンス、主題歌をジョン・ボン・ジョヴィが担当。友情と忠義の間で揺れ動く男たちの生きざまが胸に迫る。

<感想>まずはアル・パチーノ御大。還暦オヤジの琴線に触れる“若くないアウトロー”の一席である。28年ぶりにシャバに出たパチーノを唯一待っていたのは昔の親友、殺しの指令を秘めたクリストファー・ウォーケンだ。
出所する場面を冒頭で見ることが出来る。金網フェンスのドアまで、刑務所の係員一人に送られ、グッド・ラックの一言を受け取って、彼は出所する。このグッド・ラックは、「頑張れよ」と字幕に出る。

親友の出所を出迎えたウォーケンは、明日の朝10時までにパチーノを殺せと、その地域の悪事や犯罪の元締めのような男から、厳命されている。28年前、パチーノやウォーケンがおこなった強奪の現場に、その元締めの息子も参加していた。息子は犯罪現場の緊張に耐え切れずにパニックをお越して、いきなり銃を乱射し始める。現場は銃撃戦となり、その時パチーノが撃った弾の一つが元締めの息子を即死させたのである。
両雄との同い年のせいか、息がぴったりである。バイアグラ&○○コ、ネタで盛り上がり、昔馴染みの娼館に繰り出すのが嬉しい。その後、昔の勢いはないがそれを彷彿とさせる荒仕事に手を染め「昔みたいだな」、「いや昔以上さ、今は一瞬一瞬が貴重だからな」というやりとりは、パチーノ&ウォーケンならではの味わいですよね。ミニ・ワイルドパンチ的な終盤も男泣かせな感じでいい。だが、やっぱしヨレヨレな感じも受けるのは致し方ないのだろう。

中でも、登場する女性たちがみな素晴らしい。確か娼館の女主人が言う台詞「自分がいかなる状況に置かれても、そこで最善を尽くせ」と母親から教わり、そのとおりに今も生きている、とウォーケンに語るシーン。まったくなんの実感もわかない、という表情で彼はその言葉を受け止める。このシーンが何ともいえなく最高なような気がする。
最善を尽くすも、へったくれもなくこれしかないのでそうして来た。という人生だったウォーケン。明日の朝10時までに、パチーノをウォーケンに殺させるのは、28年待った息子の敵討ちなのだ。

28年の刑、という設定は巧みであり、40代半ばで刑務所へ入ったとして、出所したパチーノは実年齢でいけるし、ウォーケンもそのままでいい年齢になっている。
こうでしかあり得ない、という人生を送って来た男二人の前方に待っているのは、こうでしかないという結末である。親友を殺すわけにはいかない。そうであれば、残された道は、元締めの男をこの世から消す、という果敢な試みだけ。
次の日の朝10時まで、二人の男たちが夜の街で過ごす時間は、象徴としておそらく自分たちへの弔いだろう。

それに、仲間はもう一人いて、癌でもうすぐあの世ゆき間近。その男を演じているのがアラン・アーキンで、彼は女性に対してのサービスが抜群で、娼館でもモテモテなのだ。そのアランの車の運転が巧いのなんの、彼が最後の見せ場を作り、車の運転席で急死する。アランの遺体を墓地に埋葬し、パチーノが弔辞を語るシーンが、周到に用意されているではないか。
男性と女性の対比が、なかば隠されたもう一つの主題になっていると思った。最後に登場する女性が、地元のごろつき男相手に、「くるみ割り人形」を野球のバットで行うシーン。割られる男たちの悲鳴が音声のみ画面の奥から聞こえてくる。

どうにもならない、どうもがいても、どう生きようとも、夜明けは必ずやって来るから。何だか、最後のシーンにもう少し勝算があってもよかったのではなかろうか。パチーノとウォーケンの撃つ拳銃の弾丸が、上へ上へとそれていく描写に、きっと敵からのショットガンの銃弾で被弾したのだろう。その切なさが虚しく画面に映し出される。
3人の爺さんたち、「エクスペンダブルズ」や「RED/レッド」に出演してもいいと思うのだが、どんな役でもいい楽しみに期待したいものだ。
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