オスカー常連のジョエル&イーサン・コーエン兄弟によるサスペンスコメディー。ハリウッド黄金期を舞台に、超大作映画の撮影中に誘拐された大スターを奪還すべく、スタジオに雇われた何でも屋による捜査を描く。ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、チャニング・テイタム、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンドら豪華キャストが出演。さらに、コーエン兄弟が新たに挑戦したスターたちによる華やかなミュージカルシーンも見どころ。
<感想>オスカーに4度、カンヌ国際映画祭では史上最多となる監督賞に3度輝くコーエン兄弟のもとに、豪華キャストが集結。撮影にロジャー・ディーキンス、音楽にはカーター・バウェルなどコーエン組の一流スタッフも顔を揃えて、最高にゴージャスな映画の誕生です。
舞台はハリウッドが世界に夢を送り届けていた1950年代。ジョシュ・ブローリン演じるマニックスの仕事は、スターたちが不祥事を起こさないように先回りをして手を打つことなのです。また聖書に基づく映画について宗教指導者を説得したり、レイフ・ファインズ扮するローレンス・ローレンツ監督をなだめたり、様々な問題に取り組んでいる。
同じころには、スタジオの命運を懸けた大作の「ヘイル、シーザー!」の撮影中に突然、主演の大物スタージョージ・クルーニー扮するウィットロックが姿を消すのだ。残されたのは、身代金10万ドルを要求する一通の脅迫状だった。
いつもクールでダンディな姿を見せつけるクルーニーですが、本作ではなんとダメダメ男を演じているのだ。超大作に主演する世界的スターながら、撮影中に睡眠薬を飲まされて誘拐されるわ、連れ去られた先では、犯人たちの共産主義の脚本家たちに簡単に感化されてしまうわで、トホホな状態。一番笑ったのが、ジョシュ・ブローリン演じる「何でも屋」に往復ビンタを張られ、オロオロする情けない顔のクルーニーに、思わず吹き出してしまう。
1940年代に数々のミュージカルで華麗な水中ショーを披露して人気を得た、エスター・ウィリアムズばりに水中を泳ぐスカーレット・ヨハンソン。カラフルな人魚の水着に身を包んだシンクロナイズドスイミング・チームとともに、美しい万華鏡のようなイリュージョンを熱演している。妊娠騒ぎに慌てるジョシュ・ブローリン。
ジーン・ケリーに扮するのは、軽快なタップとダンス、自慢の金髪で魅了するバート・ガーニーのチャニング・テイタム。華麗でダイナミックなダンスは「マジック・マイク」シリーズでお披露目済みだが、今作では歌とタップダンスに初挑戦。白い水兵姿でさっ爽と現われ、仲間たちと繰り広げる一大ミュージカル・シーンは、まさに見応えたっぷりだ。まさか、ロシアに亡命するとは知らなんだ。
それに、フレッド・アステアら伝説的ミュージカルスターの流れをくむ彼らのダンスやアクロバット。そんな要所要所にお目見えする、贅沢な劇中劇シーンに目を見張ってしまう。
コーエン兄弟が長年温めてきた題材は、華やかな映画業界の裏側を奇抜な発想で描くサスペンスコメディ。それはハリウッド黄金期へのオマージュでもあり、当時のスタジオ・システムに対する愛と皮肉が込められてもいる。
エディ・マニックスには実在のモデルが存在している。「キャピトル・ピクチャーズ」のフィクサーであり何でも屋のマニックスのモデルは二人。メジャースタジオ“MGM”で同様の役割を担当した副社長のエディ・マニックスと、「ハリウッドランド」にも登場した広報のハワード・ストリックリンである。劇中でのマニックスは、ナイトクラブの元用心棒と言う設定だが、彼の仕事には、まさに用心棒に弁護士、また広報的な要素も含まれている。
独特のユーモア、個性豊かなキャラ陣も健在で、注目すべきはカウボーイのホビー・ドイル役の、アルデン・エーレンライクのわざとらしい大根役者ぶりに笑えた。そして、新聞記者双子のティルダ・スウィントンの二役も。監督の奥さんでもあるフランシス・マクドーマンドは映画の編集担当者で、首に巻き付けているスカーフが飛んでもないことになるとは。
西部劇ありの、シンクロ水中バレエあり、歴史大作ありというハリウッド黄金時代の栄華の裏に、驚くべき政治プロットが渦巻いているというあたりが、いかにもコーエン兄弟監督作らしいですね。
2016年劇場鑑賞作品・・・136映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>オスカーに4度、カンヌ国際映画祭では史上最多となる監督賞に3度輝くコーエン兄弟のもとに、豪華キャストが集結。撮影にロジャー・ディーキンス、音楽にはカーター・バウェルなどコーエン組の一流スタッフも顔を揃えて、最高にゴージャスな映画の誕生です。
舞台はハリウッドが世界に夢を送り届けていた1950年代。ジョシュ・ブローリン演じるマニックスの仕事は、スターたちが不祥事を起こさないように先回りをして手を打つことなのです。また聖書に基づく映画について宗教指導者を説得したり、レイフ・ファインズ扮するローレンス・ローレンツ監督をなだめたり、様々な問題に取り組んでいる。
同じころには、スタジオの命運を懸けた大作の「ヘイル、シーザー!」の撮影中に突然、主演の大物スタージョージ・クルーニー扮するウィットロックが姿を消すのだ。残されたのは、身代金10万ドルを要求する一通の脅迫状だった。
いつもクールでダンディな姿を見せつけるクルーニーですが、本作ではなんとダメダメ男を演じているのだ。超大作に主演する世界的スターながら、撮影中に睡眠薬を飲まされて誘拐されるわ、連れ去られた先では、犯人たちの共産主義の脚本家たちに簡単に感化されてしまうわで、トホホな状態。一番笑ったのが、ジョシュ・ブローリン演じる「何でも屋」に往復ビンタを張られ、オロオロする情けない顔のクルーニーに、思わず吹き出してしまう。
1940年代に数々のミュージカルで華麗な水中ショーを披露して人気を得た、エスター・ウィリアムズばりに水中を泳ぐスカーレット・ヨハンソン。カラフルな人魚の水着に身を包んだシンクロナイズドスイミング・チームとともに、美しい万華鏡のようなイリュージョンを熱演している。妊娠騒ぎに慌てるジョシュ・ブローリン。
ジーン・ケリーに扮するのは、軽快なタップとダンス、自慢の金髪で魅了するバート・ガーニーのチャニング・テイタム。華麗でダイナミックなダンスは「マジック・マイク」シリーズでお披露目済みだが、今作では歌とタップダンスに初挑戦。白い水兵姿でさっ爽と現われ、仲間たちと繰り広げる一大ミュージカル・シーンは、まさに見応えたっぷりだ。まさか、ロシアに亡命するとは知らなんだ。
それに、フレッド・アステアら伝説的ミュージカルスターの流れをくむ彼らのダンスやアクロバット。そんな要所要所にお目見えする、贅沢な劇中劇シーンに目を見張ってしまう。
コーエン兄弟が長年温めてきた題材は、華やかな映画業界の裏側を奇抜な発想で描くサスペンスコメディ。それはハリウッド黄金期へのオマージュでもあり、当時のスタジオ・システムに対する愛と皮肉が込められてもいる。
エディ・マニックスには実在のモデルが存在している。「キャピトル・ピクチャーズ」のフィクサーであり何でも屋のマニックスのモデルは二人。メジャースタジオ“MGM”で同様の役割を担当した副社長のエディ・マニックスと、「ハリウッドランド」にも登場した広報のハワード・ストリックリンである。劇中でのマニックスは、ナイトクラブの元用心棒と言う設定だが、彼の仕事には、まさに用心棒に弁護士、また広報的な要素も含まれている。
独特のユーモア、個性豊かなキャラ陣も健在で、注目すべきはカウボーイのホビー・ドイル役の、アルデン・エーレンライクのわざとらしい大根役者ぶりに笑えた。そして、新聞記者双子のティルダ・スウィントンの二役も。監督の奥さんでもあるフランシス・マクドーマンドは映画の編集担当者で、首に巻き付けているスカーフが飛んでもないことになるとは。
西部劇ありの、シンクロ水中バレエあり、歴史大作ありというハリウッド黄金時代の栄華の裏に、驚くべき政治プロットが渦巻いているというあたりが、いかにもコーエン兄弟監督作らしいですね。
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