パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

嘘八百★★★・5

2018年01月11日 | アクション映画ーア行

『百円の恋』の武正晴監督と脚本家の足立紳が再び組み、商人の街堺を舞台に描くコメディードラマ。うだつの上がらない古物商と陶芸家を中心に、“幻の利休の茶器”をめぐるだまし合いのバトルをユーモアたっぷりに描き出す。『花戦さ』でも共演している、中井貴一と佐々木蔵之介が出演。海千山千の人々が繰り広げる、だましだまされの応酬に笑みがこぼれる。

あらすじ:鑑識眼はあるが、なかなかお宝に出会えない古物商の則夫(中井貴一)は、娘のいまり(森川葵)を車に乗せて千利休の出生地である大阪府堺市にやってくる。彼はある蔵つきの屋敷へと導かれ、その家の主人らしい佐輔(佐々木蔵之介)と出会う。佐輔は則夫に蔵を見せることにし……。

<感想>じつに面白かった。演技派の二人、流れ者の骨董屋に中井貴一と堺のしがない陶芸家の佐々木蔵之介が、口八兆の言い回しぷりに、初めは騙される者として悔しい思いをしたのだが、その後に、騙す側に回って共通の敵討ちに一泡吹かせようとするお話です。

初めは堺にきて、金持ちの住んでいるようなお屋敷を探し歩き、庭の美しい家に娘を連れて行く。そこには蔵もあり、中にご主人と思う人(陶芸家の佐々木蔵之介)が出て来て、どうぞと見せられる土蔵の中から、譲り書なるものを発見し、それが利休の茶碗ではないかと見る骨董屋の中井貴一が、騙されたと気付かないで土蔵の中の茶碗と譲り書を一緒に買いたいと申し出る。

騙されたと気付いたのが、庭で遊んでいる箱庭作りの息子がいること。その息子がそこにいた陶芸家の佐々木蔵之介の息子で、ご主人は別の年よりであったことなど。

2人が煮え湯を飲まされた古美術店店主・樋渡(芦屋小雁)と大御所鑑定士・棚橋(近藤正臣)への仕返しとの戦いに、「本物よりすごい偽物は本物になり得るのか?」・・・自分の腕試しとばかりに茶わんを創作して、騙して売るのは古物商の則夫(中井貴一)であり、二人で一攫千金を狙う一発逆転の大勝負を賭けるというお話。

佐々木蔵之介の妻に友近さんが、その息子には野田誠治が、中井貴一の娘に森川葵が扮して、この息子と娘が最後には仲良くなり結婚式まで挙げるとは、それに、だまし取った1億円を新婚旅行へいくカバンに詰め込み海外へ逃亡するという、ラストは子供にしてやられたという結果になる。

どうしてそうなったのかと言うと、陶芸家の佐輔の家に行くと、奥さんの友近がスキヤキを作っていて、炬燵で家族に混ざって古物商の則夫の娘・いまりが仲良く食べているのを見て、「気色わるい」って言いながらも自分もご馳走になるという、家族が揃って食事風景ってのはいいもんです。

もう口から出まかせで、詐欺の手段に使う「幻の利休の茶碗」が肝になっているんですね。その歴史上の大きな嘘をどのように編み出すのかが問題なんですが、それが利休の茶椀の贋物がどこかから見つかって、すごく高い値段がついたというお話を噂話に広げてゆく、男2人の悪だくみというか。

幻の利休の茶碗とは、どんな物なのか誰も見たことがなかったのですね。正直今のところも良く分かってない。しかし、知らなかったことが幸いしたと思いますねこれは。2人が学芸員や陶芸家に白旗を揚げて「知らないから何でも教えてください」と方々に話を聞いて回ったのです。

登場する古物は偽物であることが前提となっているため、職人の作りだす贋作が役者の演技や演出によって本物らしく“見える”のが素晴らしい。それは職人らしく見える佐々木蔵之介の佇まいの賜物でもあります。

実際にすごくいい緑樂焼きの茶碗を得て、映画に出て来る緑樂という茶碗を堺の陶芸家に作ってもらい焼いて貰ったと言うから凄い。それがとても深い緑色と黒を掛け合わせたような色で上出来のしろものでもあった。

利休をかもめと呼ぶ記述があり、江戸時代の僧侶で茶人でもある江月宗玩の語録集である「欠伸稿」(かんしんこう)における利休のかもめと呼ぶ記述を知っている古物商の則夫が、「茶碗の口こそ小さいですけど、中には大海原が広がっています」と、これで利休とかもめが繋がっていて、頭の回転よく能書きをたれるのであります。

そのことを知っている古物商の則夫が、譲り書なるものを偽ものを書く居酒屋の店主に頼んで、かもめなるものもそこに描いて貰い、作成する居酒屋・土竜のマスターに木下ほうかが扮して、骨董商に塚地武雅が、文化庁文化財部長には桂雀々と寺田農が扮して、愉快痛快なシナリオに芝居の下手な役者が一人もいない役者陣たち。それが作り手と現場の熱で、きっちりと噛みあっている娯楽作になっている。

2018年劇場鑑賞作品・・・5アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29233493


この記事についてブログを書く
« 人生はシネマティック!★★★ | トップ | 勝手にふるえてろ★★ »

アクション映画ーア行」カテゴリの最新記事