長雨の後、秋の日差しが戻ってきた。
庭に出て、朝日を浴びる。
白椿の木に、ひとつだけ実がついているのに気づいた。
子どものときから、<かたし>と呼んできた。
椿の実を<かたし>と呼ぶのは、一般的ではないらしい。
『広辞苑』には、出ていない。
『日本国語大辞典』には、<かたし>の項があり、椿の実を、<かたし>と呼ぶ地域を紹介している。
椿の木そのものを、<かたし>と呼ぶ地域もある、と書いてあった。
<かたし>と言えば、敷居磨きを思い出す。
母が作ってくれた<かたし>の入った布で、黙々と敷居を磨いた。
それは、照る照る坊主のような形をしていた。
実の油分で、敷居に艶が出て、障子や襖の動きが軽くなった。
子どもにとっての、格好な手伝いだったような気がする。
今年は、椿の実を観察してみよう。
あの堅い殻が、どのようにはじけ、中の実をこぼすのか、私は自分の眼で見確かめたことがない。
タマスダレの数が増え、ムラサキゴテンも二つ目の花をつけた。
いずれも、秋陽の中で。
庭に出て、朝日を浴びる。
白椿の木に、ひとつだけ実がついているのに気づいた。
子どものときから、<かたし>と呼んできた。
椿の実を<かたし>と呼ぶのは、一般的ではないらしい。
『広辞苑』には、出ていない。
『日本国語大辞典』には、<かたし>の項があり、椿の実を、<かたし>と呼ぶ地域を紹介している。
椿の木そのものを、<かたし>と呼ぶ地域もある、と書いてあった。
<かたし>と言えば、敷居磨きを思い出す。
母が作ってくれた<かたし>の入った布で、黙々と敷居を磨いた。
それは、照る照る坊主のような形をしていた。
実の油分で、敷居に艶が出て、障子や襖の動きが軽くなった。
子どもにとっての、格好な手伝いだったような気がする。
今年は、椿の実を観察してみよう。
あの堅い殻が、どのようにはじけ、中の実をこぼすのか、私は自分の眼で見確かめたことがない。
タマスダレの数が増え、ムラサキゴテンも二つ目の花をつけた。
いずれも、秋陽の中で。
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