ぶらぶら人生

心の呟き

日本の作家 18 『三島由紀夫』

2021-09-19 | 身辺雑記
    群像 日本の作家 18

     『三島由紀夫    



    


 小学館から、<群像 日本の作家 1〜23>(夏目漱石〜大江健三郎)が刊行されたのは、かなり以前である。発行の順番は巻数とは異なっている。

 <三島由紀夫 18>の刊行は、比較的早かったように思う。とはいっても、1990年である。31年前といえば、ずいぶん昔。
 三島由紀夫の自決(1970年)からほぼ20年後に出版されたことになる。自決から50年? と、ふと信じがたい思い。半世紀も過ぎたのかと、複雑な感慨を覚える。

 記事内容は、作品発表後の作品評なども多数含まれていて、エッセイの発表年は様々である。
 なにしろ三島由紀夫は、15歳にして俳句や詩文を発表するなど、ずいぶん若くして、その才能を認められた作家である。30年間に書かれた作品は多い。
 この本では、一作家・三島由紀夫に、多数の作家や評論家によって光が当てられていて面白い。
 他面、それぞれ独立したエッセイとしても、味わい深く読むことができた。

 414ページ2段組みの文章を読了するのは、なかなか骨が折れた。それでも手抜きせずに読み終えたのは、読み応えがあったからであろう。
 掲載順に読むことはせず、執筆者(若い時代に「文学界」や「群像」で読み、関心を抱いている人)を見て、読むエッセイを選んだり、内容的に関心のあるものをランダムに選んで読んだり、とにかく気ままな読み方で、数日かけて読了。
 
 施設に、この本を持参する気になったのは、7月19日のブログに書いた内海健著『金閣寺を焼かねばならぬ』を読んだのがきっかけであった。

 書き手の表現に心打たれるエッセイが沢山あった。
 例えば、秋山駿・澁澤龍彦・上田三四二・磯田光一・埴谷雄高・福田恆存・江藤淳・中村光夫・北原武夫・奥野健男・阿部公房・山本健吉・川端康成・保田與重郎・武田泰淳・神西清・八木義徳など。

 執筆者名をあえて列挙したのは、上記の人たちを私同様身近に感じられる人は(専門家を除けば)、かなり高齢者ではないだろうか? と、ふと思ったからである。
 
 平岡倭文重(三島由紀夫の母堂)の文も載っていた。肉親でなくては語れない内容を味わい深く読んだ。

 三島由紀夫論をたくさん読んだからといって、三島由紀夫作品を改めて読みたいとは別に思わない。結局、三島由紀夫の小説で、まともに読んだのは、『金閣寺』だけのように思うのだが……。
 小説を繰り返し読むのなら、私は、三島由紀夫が嫌った太宰治の小説の方がいい。




   美しい朝の空と夕暮れの空を、飽かず眺めている。
        (以下は、今日の空。)


  




  




  




  




  




  




  



  




  
コメント
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