軌道エレベーター派

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OEV豆知識(4) 図解その1 地上基部

2009-05-12 22:51:05 | 軌道エレベーター豆知識
 この「豆知識」、本日から何回かに分けて、軌道エレベーター(OEV)の基本構造について、各部ごとに解説します。今回はOEVの基部、つまり地球上との接点についてです。

 OEV本体と地球表面が接する部分を、ここでは便宜的に「地上基部」と呼びます。この「地上」は「地球上」という意味で、陸海をひっくるめていると思ってください。
 さて、地上基部は、地球からOEVを利用して宇宙へ向かうための港のような役割を果たすことになります。
 基本的には赤道上に設けられます。これは前回説明したように、OEVというのは超巨大な静止衛星で赤道上空を飛んでいるためです。
 最近の研究では、緯度にして南北35度程度まで、あるいはもっと高緯度に地上基部を造ってもOKという意見もあります。しかしこの案は、デブリベルト(デブリが特に密集した軌道)を回避できることを除けば、いまひとつこだわる根拠が不明瞭で、同緯度の両半球側からブリッジをかけた方が強度的にもしっかりする以上、私はあまり意味を感じないのですが。。。

 基部を陸上に造る場合は、OEV本体を風雨の影響から守るため、また極力吊り下ろす距離を短くするためにも、高い山の上に造るとか、下から上に向かって高い塔を建てる案などがあります。

 ですが最近は、海上に設けるプランが一般的になってきました。
 というのも、OEVはフラフラ動くと考えられているからです。静止衛星は「静止」とは言いながら、実際には微妙な重力の偏りなどの影響を受けてじっとしてはいられず、しょっちゅう軌道修正しなければならないのです。これは現存する静止衛星も同じで、ましてやOEVは末端が大気圏に達するので、外部から力を受けて定位置からズレやすいのです。
 海上に基部を造るというアイデアは、これに対応できるよう自ら移動可能な人工島にするというものです。移動式のメガフロート(浮き島型の人工島の一種)や、浮遊型の海上石油掘削基地は皆さんご存じでしょうが、こういうのを使用するわけです。
 これならOEV本体が動いても一緒に移動できますし、緊急時には切り離して避難したりと融通が利きます。こうしたアイデアの中には、完成後もOEV本体が接地しないまま、少し空中に浮いた状態になっているものもあります。反面、OEVの構想の中には、遠心力の方を強めにして構造全体にテンションをかけ、地上基部からピンと張るようにして安定性を高めるアイデアもありますので、相当重いものでない限り、浮遊型基部はこのようなケースには不適当かも知れません。

 ですが、政治的見地からも、公海上に基部があった方が望ましいでしょう。そんなわけで、「OEVの基部は海上、あるいは周囲を海に囲まれた小島」という例は増えつつあるようです。今後、この基部から上へ向って解説していきます。
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