ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

「オーディオは低音や高音が出れば満足」というひともいる

2021-05-08 00:22:08 | 日記
5年ほど前に、こんなことを書きました。


「父親が地方市議だという友人が誇らしげに鳴らす JBL 4311 は明らかに左右逆相で空間に異常をきたしていた。

スピーカーを台から降ろしてターミナルを見せ、極性に誤りがあることを確認させたうえで接続を直すと、定位がピンポイントで決まるようになり、見違えるほど量感が出て引き締まった 4311 本来の音に、それまでの自慢顔は消え失せていた。

当時の 〝自称オーディオマニア〟 にはこの手が多く、僕は『低音や高音が大音量で出りゃいいなら、バカでかいラジカセ(古い!)でも買えば?』と小馬鹿にしていた。

オーディオマニアではなく音楽好きで、生演奏に慣れ親しんだ僕には不自然な音が我慢できなかった」


これは大学時代の話。
思わず頷いてしまった方も少なくないのでは?


残念ながら聴覚は平等ではありません。
一方、こんなこともありました。

やはり大学時代に北海道出身の友人と僕のアパートで酒を飲みながらレコードを聴いていたときのこと。


その友人が突然後ろを振り返り、キョロキョロとあちこち眺め出したのです。
訊けば「今、後ろから音が聞こえた!」と驚いていました。

「あー、それなら」と、少し前のところから掛け直すと、また「やっぱり後ろから聞こえる!」とのこと。 勿論、後方にスピーカーはありません。


当時のセットはアルバイトで買えるグレードの テクニカのカートリッジ、デンオンのプレーヤー、ラックスマンのプリメイン、フィリップスのフルレンジと、プレーンな2チャンネルシステムで、決して高価なものではありません。

但し、当時は秋葉原の量販店で50%OFF など当たり前の時代でしたし、細かな調整やセッティングを行い、ケーブルとターミナルとの接点にも気を遣っていました。


因みに曲はマイクオールドフィールドのオマドーン パート1 中盤のハープとリコーダーが奏でる静かで優しいケルトの旋律。

マイクはこのアルバムから積極的に位相をいじるようになっていて、特に前述の部分では伴奏のリコーダーが右後方から右前方まで何度も移動するのです。


その友人はオーディオなど全く興味がなかったものの、その後、僕が選んだ安いセットを購入し、僕が自作したスピーカーで音楽を楽しんでいました。

「耳殻を含む構造と、あらゆる方向からの直接音、反射音、時差、音質差、位相差等との相互作用を認識できる」友人は〝バカでかいラジカセ(古い!) 〟では実現できない世界を知ってしまったのです。



そもそもステレオ(フォニック)再生とは「立体感が得られるように音響を再生する方式」という意味であって、ただ「右から聞こえる」「左から聞こえる」「中央から聞こえる」「低音が出る」「高音が出る」という意味ではありません。

当然、機器の歪みが多ければ多いほど、ステレオ再生は困難になります。




乱れた位相が軽薄な立体感を偽造する圧縮オーディオ全盛の今、フルサイズコンポを買おうなどという方は極少。

しかも販売数激減で、その価格はかつての倍以上に高騰中。

だから、もしも「オーディオは低音や高音が出れば満足」という方なら〝コンポに似せた格安商品〟で十分! 無理をする必要はないのです。

コレクターとして所有欲を満たしたいなら別ですが ・・・ 。







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