ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

秋から始まった物語 その10

2017-09-29 03:40:45 | 日記
1979年にリリースされたこのアルバムは、1枚目よりナローレンジで、音が太く、ライブ感に溢れる。 手元のボリュームでナチュラルなディストーションコントロールができるよう、ゲインを抑え気味にセッティングしたギターは、ニュアンスが豊かだ。

そして、 同年の初秋に FM やレコードショップの店頭で流れていたのを耳にして気に入り、 アルバム購入に至ったことから、脳内に秋のイメージが定着した。

既に、アルバイトで貯めた金でプリメインアンプを入手済み。 大学生協のセールで購入したディスクに針を降ろすと、DIATONE P-610B から流れ出した〝You're No Good〟は、まるで小さなステージを目前にしているようだった。

Betty Everett のカヴァーで、全米1位を記録した Linda Ronstadt のテイクより、Van Halen の方が好き。 抑揚のあるザラついたギター、ねちっこい鼻声とハスキーなシャウトを自在に操るボーカルが、気怠さ、妖しさを際立てている。

南の島でも連想しそうなアレンジの〝Dance The Night Away〟も、「初めて聴いた瞬間から懐かしかった」 という表現が当てはまる。 イントロ、タッピングによるハーモニクスと、ギターはチャーミングで哀愁が漂う。 この曲は夏でも秋でも OK。

リフの応酬〝Somebody Get Me a Doctor〟。 コードワークの合間にミュートした5弦解放の低音が、リミッター効果で浮き上がる一瞬は何とも気持ちいい。 左手ハンマリングオン・プリングオフ & 右手スライドでハーモニクスを高速変化させるトリッキーなプレィも Good。

〝Bottoms Up!〟や〝Outta Love Again〟なんかはあまり聴かないけど、なぜか、大学の夜間まで及ぶ実習の合間に、学食で最安定食(A定 or B定)の二者択一をしている景色を思い出す(笑)  250円と270円だったか、本当に〝最安〟だった。

アナログディスクでは B面1曲目に当たるアップテンポな〝Light Up the Sky〟は当時、観に行ったコンサートで、ドラムセットの外側を向いたタムには 「?」 だったけど、この曲のドラムソロでは皆で、楽しそうに叩いていましたね。

〝Spanish Fly〟におけるガットギターのタッピング & ピッキングは、下手くそなクラッシックギター弾きに言い訳を許さない(爆)

〝D.O.A〟の 「ゴキゴキ、ビギュ~ン」 と、金属棒がぶつかってくるようなギターはリアルで、実はオーディオ選定の際の試聴にポイントで使っている。 〝Somebody Get Me a Doctor〟と同様にリフの塊だけど、前曲のニュアンスをしっかりと継承したメローな側面もある。

〝Women in Love〟のイントロはやはり、「初めて聴いた瞬間から懐かしかった」。 こんなにキュートな演奏には後にも先にも、お目(耳)にかかっていない。 キレのいいドラムの合図で始まるコードワークも、メロディアスで物悲しい。

最終曲〝Beautiful Girls〟は、リズミカルでエンターテイメント色が濃い。  この曲が、少々ふざけたキス音で消えるように終わると、祭りのあとのような淋しさを感じるのはなぜだろう。



今夜は結構冷える。 秋は確実に深まっているようだ。 あの頃、夏には夜通し遊び回っていた大学1年生の僕も、澄み切った空気に季節の変化を感じながら、徐々に暖かい部屋が恋しくなっていった。







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