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グリーグの8つの連作歌曲「山の娘」作品67を聴く

2023-10-25 05:59:13 | エドヴァルド・グリーグの作品
今回は1843年ノルウェー生まれのグリーグが、
1868年に作曲した8つの連作歌曲「山の娘」作品67を聴いた。
聴いたCDはシヴ・ヴェンベリのソプラノ、
ジェフリー・パーソンズのピアノ伴奏によるものである。
歌詞はノルウェーの新ロマン主義の小説家・詩人で、
アルネ・ガルボルグという人物による詩に基づく。
第1曲「誘惑」は、山羊の魔物が山の娘ヴェズレモイの、
住む家の窓辺に来て、誘惑のメロディを歌う話である。
力強く歌う最初とそのあとの北欧らしい美しい旋律、
その旋律が魔物の歌う誘惑の歌ということか。
歌詞は3番まであり、同じように繰り返していく。
第2曲「山の娘」は、ヴェズレモイの容姿や振る舞いなど、
美しさだけでなく、霊の世界を見る力を持つことが歌われている。
ゆったりと歌う中で彼女の怪しい魅力も感じさせる。
第3曲「ビルベリーの丘」は、山の娘が恋する若者と、
丘の上で話をしている情景が5番まである歌詞の中で歌われる。
楽しさがあふれるように軽快で民謡風の歌である。
第4曲「密会」は、山の娘と若者が会い、
惹かれあっていく様子が描かれている。
ロマンティックな曲で、運命的な出会いを感じさせる。
2番の詩の最後に出てくる「あなたは背が高いのね」という
会話のあと二人の気持ちが一気に恋へと向かっていく。

第5曲「愛(恋)」も、若者を山の娘が恋する場面が歌われる。
5番まである歌詞の中で山の娘の夢が広がり、
有頂天になっていくような心の高ぶりと、
一方ではうまくいくかわからない心の不安も表している。
第6曲「山羊の踊り」は、軽快な踊りの楽しい場面が歌われる。
音楽もそれを表すように軽快な民謡風の踊りの音楽である。
第7曲「不運な日」は、一転して恋人に裏切られた場面である。
歌も感傷的な旋律で始まり、曲が進行する中、
深く落ち込んでいく山の娘の気持ちが歌われる。
第8曲「山の小川で」は、流れる小川を見ながら、
つらい思い出を忘れ去ろうとする山の娘の気持ちが歌われる。
ピアノ伴奏は小川の水が流れる様子を描写し、
5番まである歌詞の中で、山の娘の沈んだ気持ちが歌われる。
自問自答しながら、若者を忘れようとする歌が淡々と歌われる。
でもやるせない気持ちは残っている感じでもある。
この8つの連作歌曲「山の娘」はグリーグの歌曲の中でも、
歌詞の内容と音楽が密接に関係して傑作とも言えるのではないだろか。

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