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ロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」、品川から新橋、そして渤海史はおもしろい

2007-09-29 13:21:33 | 古典~現代音楽スペイン編
講演「渤海と唐、そして日本」を聴くために、
昨日は、品川駅で降りて、品川から新橋まで歩いた。
さすがに、暑い日中での1時間近くの歩きはきつかった。
國學院大學栃木短期大学の酒寄先生の講演は興味深く、
渤海と日本との交流史のことはもちろんのこと、
「唐碑亭」をめぐる近代日本との関係についても、
なるほど、へぇーっと思うことがたくさんあった。
歴史は過去のものとして終わるものではなく、
現代にもつながっているものだとつくづく実感する。

さて、昨日新橋まで歩く間に途中聴いた曲は、
1901年スペイン生まれのロドリーゴの作品。
1954年に作曲された「ある貴紳のための幻想曲」は、
ギター奏者のセゴビアのために作曲された曲で、
「ビリャーノとリチェルカーレ」、
「エスパニョレータとナポリ騎兵隊のファンファーレ」、
「たいまつの踊り」、「カナリオ」の4曲から成っている。
曲の素材は17世紀スペインの作曲家ガスパール・サンスの、
「スペイン式ギターによる音楽教程(指南)」の
教則本に含まれているギターの小品から採っている。
この曲を聴いているうちに、2曲目の旋律が気になってくる。
何かレスピーギの「シチリアーナ」に似ているのだ。
家に帰ってから、サンスの作品のCDを探すと、
「スペイン式ギターによる音楽教程」があった。
(演奏はエルネスト・ビテッティでした)
そして、パニアグワの指揮した「ラ・スパーニャ」。
この二つのCDを手がかりにして聴いてみた。

「ビリャーノとリチェルカーレ」は第2集に収められている曲、
ビリャーノが忠実に使われ、管弦楽化している。
「エスパニョレータとナポリ騎兵隊のファンファーレ」は、
最初の旋律は第1集・第2集でたびたび登場する
エスパニョレッタ(紡ぎ歌)の旋律から採っているようで、
優雅な旋律を変奏曲風に展開している。
中間部は第2集から部分的に使っているようだ
「たいまつの踊り」は第1集にある同名の曲から使っている。
旋律は繰り返され、4曲の中ではとても短い曲である。
最後の「カナリオ」は第1集に収めた同名の曲から採っている。
そこに現代スペインらしい味付けをし、華々しく終わる。

それにしてもエスパニョレッタの旋律は、
レスピーギの「リュートのための古代舞曲とアリア」の
第3曲の「シチリアーナ」に似ている。
それもそのはずで、サンスがまとめた教則本の中にある曲は、
当時流行っていた曲の旋律であり、
エスパニョレッタも作曲者不詳の曲なのである。
多くの作曲家がこの旋律を使って作曲などしており、
サンスはその一人なのである。
その中にはレスピーギの曲ととても似たものがある。
ううん、偶然のつながりでレスピーギから
ロドリーゴにたどり着いてしまった。
それにしても過去の人を現代の人が掘り起こすことは、
大切な事業であり、演奏家や作曲家の使命なのかもしれない。
それは歴史を研究するものにとっても同じだろう。

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