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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

日欧EPA交渉への反感と期待

2017-07-08 | TPP
2013年4月に交渉を開始した日欧(EU)・EPA交渉は6日、安倍晋三とEUのユンカー欧州委員会委員長が首脳協議で大枠合意に至ったと発表した。交渉開始から4年も水面下であるとはいえ、経過があるにもかかわらず情報開示はほとんどなされず、今年に入ってからアメリカのTPP離脱により急速に交渉が進展したものと思われる。
日欧・EPAはTPPと似て非なるものである。まず何といっても交渉内容の経過公表が義務付けられている。EUでは交渉開始前から膨大な分析資料、EU議会や市民への情報提供が行われている。日本では、直後のG20を背景にした、政治的臭いがかなり強い。EUは投資保護と紛争解決に対して今後締結する全ての協定で、投資法廷という新しい方法を統合するつもりとのことで、投資家の保護の積極的である。
農業分野で日欧EPAを見るならば、アメリカのように遺伝子組み換え作物や、アメリカのでは恒常的な家畜へのホルモン投与が禁止されている。更には家畜福祉の配慮した飼養管理を、様々な組織が積極的に評価し、市民に定着している。家畜への飼養管理への提言が、非経済的側面からも提案されている。
このことは日本に対して、経過交渉の過程で家畜の飼養管理に対する平準性を求められる可能性があり、大型化一辺倒の現自民党の政策に待ったをかけてくれる可能性がある。
交渉の内容はこれから詰められようが、「自動車を売りたい日本の生贄に日本の農業がなるのだけはごめんだ」という農民の声は悲鳴に近い。EUでも小農を中心とした農業団体が、EPA交渉に反対している。
新自由主義理論を叩き込まれ、一次産業と同列に扱われ、工業化しつつある日本農業、巨大化させようとする非農業サイドからの論理が見直される機会になるなら、日欧EPA交渉は価値があるかもしれない。
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酪農経営を乳量(生産量)だけに特化して評価する誤りが酪農家を減らした

2017-05-12 | マイペース酪農

酪農家の経営について、牛乳生産量にだけ特化して評価する人たちがたくさんいる。高生産、高泌乳、大量生産が優秀な農家だと褒めちぎる人たち、団体、企業などなどがいるからである。酪農家は煽てられ”指導”されて、大型化に走る、高泌乳を目指すことになる。酪農家を”指導”する人たちの多くは、全く酪農を知らない人たちが少なくない。その典型が下の論文である。興味ある方はご覧になってください。乳房炎が多くなって牛乳が減ったかというのである。全く乳房炎を知らない、酪農の現場を知らない、酪農家の心情など興味置ない人の論文である。
解説するのもばかばかしいが、見なくていいように少し説明をしておく。乳房炎が最近だけで起きると信じていること、自主規制の中で酪農家は牛乳を出荷していること、年齢構成や産次数などを無視していること、乳量や乳価のことを知らないから湿度が高い夏に乳房炎が多いと結論づけている。この論文を書いた東京大学の斎藤勝宏准教授という男のことをよくは知らないが、とても分析能力が高いので、多くの周辺の研究者は、酪農家を”指導”することになるのである。
https://www.alic.go.jp/content/000132727.pdf
私の診療するまずまずの農家であるが、43頭ほどの搾乳頭数で年間300トン程度しか出荷していない。一頭当たり6000キロ程度である。日本の平均が、8300キロであるから、かなり少ない。乳房炎の治療は年間10万円にならない。廃棄する牛乳は、出荷制限内だけである。穀物給与量は年間800キロを下回っている。日本の平均が2500キロであるから相当少ない。10産以上の牛が現在3頭いる。牛乳生産価格はキロ当たり40円少々(手取り50円ほど)と思われる。北海道農政部の調査によれば大型農家は90円もかかっている。若夫婦が主体で親夫婦が手伝う形になっている。昨年度は個体販売が好調で、多分800万円程度はあると思われる。乳代と個体販売を加えると、可処分所得は2000万円ほどになる。これは相当経営内容の良い、3000トン以上の大型酪農家の手取りをも超えている。
乳房炎は、牛に輸入されたほとんど遺伝子組み換え穀物を大量に給与するための、乳牛個体への負担から起きるものである。あるいは、大量投資によるための回収に追われ、牛のことなど見ていないことが背景にある。あるいは、圧倒的に過剰となる酪農家の労働時間と、声明を持つ乳牛という家畜への配慮(家畜福祉:アニマルウェルフェア)の欠如が農家と家畜を苦しめているからである。
酪農家の減少は、1次産業の農業をまるで2、3次産業のように、生産量ばかりを追い求めさせたためである。農の原理、自然の摂理、人の営みを全く考えない農政の引き起こしたものである。その典型が、現在国が進める「クラスター事業」という、周辺産業が潤う事業なのです。

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ニワトリのビークトリミング(嘴の切断)の禁止を

2017-03-09 | アニマルウエルフェアー
上の二枚の写真は、採卵鶏のくちばし(嘴)の異常を示すものである。日本の採卵鶏(卵を採るためのニワトリ)は全羽産まれた特にくちばしの先を切断されている。左のニワトリはくちばしが閉まらないし、右のニワトリは交差してしまっている。
これはビークトリミングと言われる処置である。平飼いするときにお互いが突き合わないようにするために、先端を切断するというのである。この写真は、先日開催された鶏のアニマルウェルフェア(家畜福祉)のシンポジュウムで発表されたスライドの一部である。
現在ヨーロッパでは、採卵鶏のバタリーケージでの飼養が禁止されるようになっている。日本もいずれ禁止されるであろう。消費者の方々が口にする卵のほとんどが、バタリーケージで飼われたものである。なぜばたりーケージが禁止されたのかと言えば、ほとんど動くことも羽を伸ばすことも歩くことさえ禁止されて、ただひたすら目の前に来る餌と水を食べて卵を産む、地面から離された中空の檻の中で飼うことが禁止されたのである。鶏が私たちと同様に生命のある動物として、苦しみを与え自由を奪う行為をなくそうというのである。
ビークトリミングは、目の前のトレイに落とされる餌を効率よく食べられるようにするために施される処置、と説明されている。
私は、日本でもバタリーケージが禁止される動きの中、このビークトリミンブもなくなると単純に思っていた。ところが平飼いにするとお互いに突き合うというのである。そのためにこの処置は欠かせないと、こともあろうに、アニマルウェルフェアのシンポジュウムで言われたのである。
その一方で、上記の写真のようなくちばしになる鳥たちも少なからずいるそうである。これを何とかしなければならないというのが、発表者の意見である。
私は牛の獣医師であるが、同時に野鳥の会の長い会員でもある。鳥のくちばしには直接神経があるわけではないが、感覚は十分持っている。鳥たちが開会と接し認識するのは目とくちばしである。エサを探しそして食べる、食事行動はくちばしが機能していなければできない行動である。
上記の写真のように曲がったりひねたりするのは、彼女たち(採卵鶏はすべてメスである)の精いっぱいの抵抗である。
知人の平飼養鶏場では、ニワトリたちが自由に遊べるように密飼にしておらず、くちばしの切断もしておらず、お互いの突き合はたまにある程度ということである。ビークトリミングは必要と、アニマルウェルフェアのシンポジュウムで堂々と言われたのには多少驚かされた、こうした家畜への傷めつけは禁止するべきと会場で発言したが、白けたものになった。
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工業化する畜産が被害を拡大する鳥インフルエンザ

2017-01-31 | アニマルウエルフェアー
韓国の鳥インフルエンザの広がりについて本ブログで書いたが、フランスでも深刻な広がりを見せている。
フランスでH5N8型鳥インフルエンザが広がり、フランスのフォアグラの70%を生産する南西部が深刻なようである。周辺の家禽の淘汰などで、フランスではフォアグラが食べられなくなるのではと危惧している。
採卵鶏のほとんどは閉鎖された鶏舎で、明かりをコントロールされ穀物を機械で給餌するようになっている。自然の状態では、年20個ほどしか生産しない卵であるが、こうした鶏舎での鶏は、一羽当たり年500個ほども生ませている。明かりと10時間ほどつけて、10時間ほど暗くすれば、鶏は一週間は8日にもそれ以上にもなる。
年500個という表現も正確ではない。3ヶ月ほどで淘汰されるから同じ鶏が単語を生み続けているのではない。
鶏にも毛血液が流れているし、切れば出血する。疼痛もあるし自由に動けないので、近代的な閉鎖された鶏舎ではストレスの塊のようである。
家畜はペット・愛玩動物と違って、生産することで飼育されている。生産量が落ちれば淘汰される。個体の価格を超える治療は行われない。終末治療や延命治療は、基本的には家畜にはないといって良い。
そのために、鶏や豚や牛などの家畜は生命を持つ生き物として、現場での認識は弱い。k地区を命ある生き物として捉えようというのが、家畜福祉という考え方である。
鳥インフルエンザの蔓延は、こうした飼い方と無縁ではない。採卵鶏であれば一農場(農場というより企業であるが)で、20万羽以上は珍しくもない状況である。鶏は個体が安価なために、治療することなどまったくない。そのために、多頭数飼育がより一層早まった。そして豚へさらに牛へと大規模化は進行している。
飼料は殆どがメリカ穀物になってしまう。畜産加工業と呼ぶにふさわしい巨大化した畜産の中に、私たちは生命ある個体として扱うように活動を始めた。
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韓国で鳥インフルエンザが猛威を振るい3千万羽を超えた

2017-01-04 | 農業と食
昨年暮れから韓国で高病原性鳥インフルエンザ(H5N6亜型)がほぼ全国的に猛威を振るい、史上最悪の被害となっている。感染が確認されてから50日ほどで殺処分された家禽類が3000万羽を超えた。韓国の農林畜産食品部は1月3日午前0時までに、鶏2582万羽やアヒル233万羽、ウズラなど218万羽の計3033万羽が処分されたと発表した。
採卵鶏は韓国の飼養羽数の34%を超えた。生卵の消費者価格は45%以上上昇している。韓国政府は急きょ生卵7億個の無関税輸入を決定した。更に、卵液・卵粉など9品目(合計9万8千トン規模)についても、4日から緊急割当関税を適用し、関税を課さないことを決定した。
この数日間発生が減少し鎮静化の傾向にあると韓国政府は発表しているが、予断を許さないとみるべきである。緊急輸入は鮮度が求められるために、空輸になるとのことである。日本から大量に輸入させることのになるとおもわれ、国内の卵の価格が上昇することになるだろう。
日本でも昨年秋から、鳥インフルエンザの発生が起きている。7件に発生があり107万羽が処分されている。上の左の写真は韓国紙のものであるが、鳥たちを一酸化炭素で安楽殺しているのが解る。韓国は検査や消毒や殺処分などの対応もしっかりとやっているようである。
鳥インフルエンザは野鳥が持ってくると言われている。日本では死んだ野鳥からも検出されていはいる。当然のことであるが鳥には国境などない。大量に発生した韓国も深刻であろうが、北朝鮮や中国それにロシアなどの、検査やその後の処分などの対応が懸念されるところである。
菌種も伝搬もはっきりしているが、飼養形態のことについては多くは行政は語らない。日本や韓国での発生農家を現地に行って詳細に調べたわけではないが、処分羽数等から見て採卵鶏では全例がケージ養鶏だと思われる。一つの養鶏場で数十万羽飼養している。
EUではアニマルエルフェアー(家畜福祉)の観点から、鶏たちに苦痛を与える中空で生涯を終え自由を束縛する、ケージ養鶏は禁止されている。私たち人間は、生産効率を求めて鶏や豚や牛たちを生命ある個体として扱ってこなかった。彼女たち(家畜は殆どが雌である)から歪な管理に対する、報復・警告であるとみることもできる、鳥インフルエンザの大量発生である。
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幸せな家畜たち、幸せな消費者たちを求めて

2016-11-13 | アニマルウエルフェアー
アベノミクスの端っこに、農業政策がちょこんと乗せられて、まるで商工業やサービス産業と同じように扱われている。農業政策はいつものようにばら撒き政策である。ばら撒かれた金は、農家には下りない。周辺産業が潤うばかりである。このところ、小泉坊ちゃまのご乱心で、農協がターゲットにされている。農協にも問題がある。農協が組織保持に重心を置くような運営をし、国策の下請けになようであれば、組合精神や機能を放棄することになる。農協にも多くの課題が残されている。自民党はかつては票田と庇護してきたが、農家戸数の減少で票田の意味を失い一転して規制してきたのである。
規模拡大思想は「攻める農業」と名付けられ、国は大きくするためなら、どんどん金をつぎ込む。資本主義の命題が、持続的インフレならば必ず限界が生じる。いつまでも発展はできない。ヨーロッパが伸びしろを新大陸などの求めた、発展する空間はもうはやないといって良い。限界なき成長や発展を真っ先に具現化するのが農業である。

とりわけ畜産では、命ある家畜の存在があり、その伸びしろには制限がもう一段階加わる。すでにヨーロッパではニワトリのケージ飼いを禁止した。家畜に生命ある動物としての意味付けをしなければならない、すでにそのような危険な状況に畜産は陥っている。
家畜福祉、アニマルウエルフェアーという運動を私たちは始めた。NHKの海外向け番組でも紹介された。英語による短い番組であるが、十分意味は伝わる。「Happy Animals, Happy Customers」という番組である。
多くの消費者は、家畜の飼養状況については無関心である。従前の概念で理解しているに過ぎないであろう。大型畜産では、家畜は生き物として扱われていない。生産だけを強要され、閉塞された空間に閉じ込められ、強制的に主にアメリカからの輸入穀物を給与されている。先祖から引き継がれた遺伝子を駆使して、彼女たちは産卵し泌乳し肉をつける。計り知れないストレス下にある家畜たちは決して幸せではない。本ブログでも何度か述べているが、家畜の幸せについて消費者の理解を戴きたいものである。
大型農業は農業としての本質、動物としての本来の姿をかき消されて生産しているのである。今日食べる畜産物の向こうに彼女たちの哀れな姿を思い起こしていただきたいものである。消費者に供給されている牛乳は下のように、自由の太陽の下で放牧草を食べているのではない。

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アニマルウェルフェア(家畜福祉)の普及を目指して

2016-09-27 | アニマルウエルフェアー
秋になれば様々な団体や研究機関から、講習会などの案内がドンとくる。私もかつてはそれらを可能な限り追求し、会得しようとしていたものである。しかしながら、畜産分野の近代化はすべてが規模拡大、高生産性の追求のためであったことに気が付いたのは、さほど遠くはない。群管理や新たな機械の開発や添加物の必要性や血液検査による資料の評価など、どれを見ても人間の側からの経済評価しかないのである。
私たち獣医師は単なる修理師になって、不幸な牛たちの命を救済してきたのである。私たち獣医師は目前に病気になっている個別の診療を何より見優先しなければならず、飼育形態や酪農家の技量などをあまり問うこともなく多くの獣医師は、治療に明け暮れている現状がある。
とりわけ道東の日本で一番頭数を抱える酪農地帯でさえ、外に出して太陽を浴びることもほとんどなく、与えられる資料の6割以上のカロリーは輸入穀物に依存しているのである。農地は生産性が低く安いので酪農家は大型化へと移行する要素はあったのだと思いますが、結果的には土地生産性を無視した頭数を飼うことになっています。
多頭化するための土地は十分あり、釧路には輸入穀物が大量に受け入れられる港が整備されて、多くの酪農家はどんどん頭数を伸ばしました。大量の穀物を与えられた乳牛は高生産を強いられ、多頭数を観察管理することは物理的にも不十分で、乳牛は常時病気を抱えて牛乳を生産しています。そして何よりも経った二産しかしないで淘汰されます。
私は今日、自分が診療している牛を廃用に出しました。立てなくなったのです。先月10産目を産んだのですが、数日前から不調で廃用にしました。13歳でした。こんなことは通常の酪農家は経験しません。この農家は親牛(搾乳牛)は45頭ほどしかいませんが、200頭搾乳農家よの平均収入よりも手取りは多いと思います。

私たちは、アニマルウエルフェアの普及のため、「一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会」を立ち上げました。やっと会のサイトもまだ不十分ですが立ち上げました。会は認証制度を設け、家畜福祉の評価基準を作り、認証制度を設けました。だから何も経済的な優位性はありませんが、チーズなどの乳製品を販売すれば表示することもできるようになります。
やがて消費が乳製品を購入する時に店頭で、家畜の飼養方法がアニマルウェルフェアの基準に合っているか確認できるようになる時代が来ることを望んでいます。
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呼びたくはないが、北海道牛乳は偽装表示がいっぱい

2016-07-21 | 安倍晋三
左の図は、私が講演のためにネットから拾って作った、北海道牛乳を表現しようとしているものを無作為に集めてみたものである。北海道牛乳とうたっているものは、ほとんど例外なく放牧風景をパックに描いている。
府県の方々は北海道の乳牛はすべてが、広い放牧地で大空の下でのんびりと草を食べていると思われている。大きな間違いである。確かに北海道の酪農地帯では、広い面積で牧草を栽培しているしそれを大量に収穫してはいる。それは古くは冬のための貯蔵飼料であったが、現在はほとんどが夏のこの時期でも、外に出して草を食べさすことはほとんどなく、固いコンクリートの床にいて、収穫した草(サイレージ)と主にアメリカから輸入した穀物を給与している。こうした環境で搾乳された牛乳が殆どである。乳牛の飼料と飼養形態は府県とほとんど変わるものではない。多少は草(粗飼料)が自給されているので、府県に比べて食べている量が多いと思われる程度でしかない。
上図のようにそれぞれが「北海道牛乳」と名付けて、パックにあたかも放牧された乳牛から搾ったものと表示するのは、偽装の手口と言って構わない。推定であるが、純酪農地帯の根室地方でさえ放牧された牛から搾られて牛乳は5%を切るのではないかと思っている。
牛に決して良いとは思われない集約型酪農より、牛の健康に配慮した放牧などを評価しようと家畜福祉を重視するに飼養形態が広がるように活動している。家畜福祉の認定基準を策定する過程で、最ももめたのが放牧の評価であった。多くの委員が必須条件としたかったのであるが、環境的に放牧できない地域や環境を考慮することにせざるを得なかった。規模拡大を行政も周辺産業もけし立てる様に、資金や制度や技術などを次々と紹介するのである。
放牧を主体にすれば乳牛は健康で長生きするが、穀物集約的な酪農のように牛乳の量は出ない。放牧を主体にした酪農では、土地の制限がり多頭数を飼うことができない。そうした理由などで、放牧酪農は圧倒的に少なくなってしまった。
結局大量の穀物に依存した畜産の形態は、家畜の食糧自給率を下げてしまうのである。下の図を参照してもらえると良いが、日本の牛乳のほとんどのカロリーは海外に依存しているのである。畜産の中で乳牛はまだましな方である。
多くの飼料を海外に依存する形態でありながら、北海道牛乳と呼ぶのはほとんど偽装行為である。しかしながら、オーストラリア産の小麦で作られた、讃岐地方のうどんを「讃岐うどん」と呼んでも咎めるものがいないように、多くの日本の生産地表示の食べ物は偽装だらけなのである。
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アニマルウェルフェアー(家畜福祉)に配慮した畜産物の供給を

2016-07-16 | アニマルウエルフェアー
幸せに飼われている家畜からの畜産物についで以前書きましたが、現実にはそんな家畜は日本には、ほとんどいません。周辺の産業や関係者が薦めないからです。多くの人が飲まれている牛乳ですが、95%以上の牛乳は閉じ込められた牛舎で、穀物を大量に与えられて牛乳を生産しているのです。
これまでの乳牛の改良は穀物、主にコーン(トウモロコシ)を牛乳に変える能力の遺伝的改良と言えます。乳牛はかなりの穀物を与えられても、牛乳に変えるように改良されています。日本の乳牛は平均で年間2000キロの穀物を与えられています。そこで生産する牛乳は、平均で8000キロです。乾物量に換算すると穀物にはほとんど水分がないのでそのまま2000キロですが、牛乳は85%が水です。だから8000キロの牛乳の乾物量は固形分が15%として、1200キロになります。
地球の裏側から(おももにアメリカから)エネルギーをかけて運んできた穀物は、40%ものロスを産み出すことになるのです。もちろん穀物と牛乳の質的な違い、成分的な相違があるので単純には比較はできませんが、膨大なロス、損失であることには変わりありません。こんなことが可能なのは、穀物が安価で牛乳が高いからこうしたことが起きているのです。しかもこれは平均の現状です。
酪農界は政府が進める大型農業と、ロスを少なして効率を求める従来型農業とに別れてきています。大型農業ではこれが、3500キロ穀物を与えて、10000キロ搾っています。つまり3500キロで1500キロを生産する極めて非効率的な内容になるのです。
更に人と競合する穀物多給は、世界の食糧事情を悪化させるのです。何よりも現場で起きているのは、家畜・乳牛の不健康です。こうした大型農業では、牛の個体の目がいかず事故が多いのです。穀物多給は家畜の内臓、消化器と肝臓を主に負担がかかります。人と同じ機能を持つ第四胃の事故が絶え間なくあり、ほとんどの牛が脂肪肝になっています。牛乳を生産する乳房の異常も圧倒的に多いのです。何よりもわずか2回出産したくらいで淘汰されます。設備費も大変かかりますし、飼料代も経営を圧迫しています。
従来型の農家の多くは、800キロの穀物で6000キロの牛乳を生産しています。800キロの穀物から900キロの乳固形物を生産しています。健全な内容と言えます。さらにその分健康を支える草(粗飼料)を多く食べています。
設備投資もほとんどなく飼料代も少なく、何よりも牛が健康なのです。牛も穏やかでいつものんびりしていて、牛群が安定しているのです。殆どが放牧されています。
政府が攻める農業としてご推奨の大型農家・工業型農業の牛乳は、市場の95%以上を占めていると思われます。北海道も例外ではありません。不健康な牛が生産する健康食品は、どう理解すれば良いのか判りませんが、決して薦められることではないのだと思います。

私たちは、家畜を健康に飼い生き物として、生命のある動物として扱うことが大切であると、一般社団法人・アニマルウェルフェアー畜産協会を設立しました。設立の目的は、家畜にやさしい畜産を普及させるためにと、時間をかけ討議を重ね認証基準を作りました。認証基準に合った酪農家には証明書を発行しようというものです。オランダの有機酪農制度のように、乳価に反映することまでは今はできませんが、将来的にはそれを目指しています。
会の結成が報道されるや、事務局には問い合わせが絶え間なくあり、酪農家の反響の大きさに驚いています。認証制度などなくても、現実に実行されている方も少なくありません。養賢堂から上記の本を私たちで出版しました。1800円と少々お高めです。売れないので仕方ありませんが、この道で先駆的に活動されている日本獣医生命大学名誉教授松木洋一氏の監修で、家畜を優しく飼われている畜産農家が紹介されています。ぜひご購入下さい。下巻も今年中に出ます。

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幸せに飼われている家畜から生産された肉・卵・牛乳を戴きたくありませんか

2016-06-19 | アニマルウエルフェアー
家畜に優しい飼い方をすることを支援する法人を立ち上げました。北海道新聞の記事です参照ください。先進国の畜産は、この30年ほどで大きく変わりました。多頭化・高能力化が設備として、機械としてさらには穀物給与を大量に消費する形として大きく変貌しました。この間の畜産をめぐる技術革新は、すべてが大型化と高生産への道であると断言してもいいものでした。
特に採卵鶏の飼養形態は全く異質なものになってしいました。私の知るある県では、約1000戸ほどの養鶏農家がいました。ところが現在は1戸しかありません。しかも大きな企業が行っていて、鶏舎が10ほどあるでしょうか、1鶏舎には1万羽ほど閉塞された空間に飼われています。それでいて県内の生産量は以前を上回るほどになっています。飼養形態は穀物給与が主体で、ケージという檻の中で羽根も広げることができない、地面に接することもできない、それでいてエサはたっぷり与えられる環境です。ニワトリに苦痛を与えるこうした飼い方といえます。この間卵の値段は上がらず、”物価の優等生”といわれるまでになっていますが、その陰には家畜の苦痛があるのです。すでにEUではこのようなケージ養鶏を禁止するようになりました。それは家畜を命ある動物として扱い、苦痛を取り除き、人間の貢献してくれることはの感謝をこめて、『家畜福祉(アニマルウエルフェアー)』という考え方です。
乳牛でも同じような現象が起きています。多頭化は牛との触れ合いをなくし、管理を疎かにし牛が出すシグナルを見落とします。高泌乳化は乳牛に多くの病気を引き起こします。高泌乳化は人と競合する大量の穀物を給与することになります。多頭化・高泌乳化は多大の投資を伴います。高泌乳化は乳牛の早期淘汰につながります。
つまり農家には多くの牛乳代金が入りますが、8~9割は関係企業や団体に支払うことになるのです。つまり農家の手取りはあまり上がっていないのです。しかも乳牛には閉塞された牛舎で管理上の不行き届きや、高泌乳による苦痛を与えるばかりなのです。しかも乳牛は短命に終わっているのです。
これまでのように少頭数で酪農をしている穀物給与も少ない農家の収入と、大型農家の手取りに大きな変化はないのです。しかも少頭数農家は人も乳牛ものんびりとしています。特に乳牛はとても幸せそうなのです。こうした家畜から生産された畜産物を評価しようというのが、アニマルウエルフェアーの認証制度なのです。
そのために私たちは、社団法人アニマルウエルフェアー(AW)畜産協会を立ち上げました。大型化しその中で苦悩する家畜たちを救おうと思っています。消費者には、幸せで健康な牛からの牛乳を届けたいと思っています。
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幸せな家畜が産む美味しい畜産品・肉・卵・牛乳を

2015-11-23 | アニマルウエルフェアー
帯広で、家畜福祉のセミナーと実践農家の見学会が行われた。家畜福祉とは、家畜が経済効率だけで過酷で苦痛に満ちた状況にあるところから解放し、命ある生命体として扱おうという考えである。ヨーロッパでは、採卵鶏をバタリーケージで使用することは2012年から禁止されている。不幸な家畜たちとして、以前に書いているが、乳牛の多くも同じような現状にあります。酪農家が巨大化して、外に放されることもなく生理に合わない固いコンクリートの閉塞空間で使用されています。北海道牛の殆どは、輸入穀物に依存した効率を追求された巨大な施設で飼われています。北海道牛乳のラベルに、のんびりと牧草地に放牧している牛が描かれていますが、あれは偽装です。ごく一部の農家が適正規模で飼育していますが、生産している牛乳は少量で多分5%以下の量だと思われます。
牛を健全に扱うようにという考え方が、家畜福祉・英語でアニマルフェアーというものです。今回は、家畜福祉の基準に沿って飼育している農家を、四葉乳業が高く買い取りプレミアを付けて販売している、実践農家二戸を見ました。
一見して牛は健康で草をたっぷり食べている、大きなお腹をしていて、何より牛たちが大人しいのです。この十勝でも、1960年代までは、どの農家でも放牧していたものです。親父たちのやり方の彼らは戻っただけです。外に出し草をたっぷり食わせ、輸入穀物を減らすことで、牛が健康になり病気が減り、経費が掛からなくなり、規模も小さいので設備投資も維持費も少ないので、経営的には安定しています。一軒の農家は、嫁さんが外に仕事を持っているので、楽な方法を選んだというのでした。楽した法が牛が健全になり、経営がよくなる現実があります。
酪農家は規模模拡大すればするほど経費が掛かります。牛が不健康になります。圧倒的な診療の金額がかかってるのです。そして何よりも短命なのです。高泌乳を強要される牛たちは、畜産物の生産に苦痛を感じています。穀物業者、ひいてはアメリカ穀物業者だけが儲かるシステムなのです。大型農家ほど底力がないと以前に書きましたので、経営的内容は参考にしてください。

日本生命大学名誉教授の松木洋一氏から海外の事例のなどの報告がなされました。EUでは家畜福祉に沿った飼い方に、認証制度があることが多く、一定の付加価値を付けて消費者に届けているとのことです。
私たちも、牛を束縛し、苦痛を与える大型農家ではない農家を対象に、乳牛の家畜福祉の認証制をを作ろうと歩き始めたところです。多くの酪農家は、このんで牛を苦しめるようなことをしているのではありません。国や様々な酪農関連業者や農協などに、補助金制度でつられて規模拡大しているのです。牛に対して心苦しく思っています。
私たちは、健康で幸せな家畜が生産した畜産物を農家に届けるべく、これからも努力して行くつもりです。
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健康で幸せな家畜の、肉や卵や牛乳を食べたいと思いませんか?

2015-11-09 | アニマルウエルフェアー
現在日本の農業は、とても厳しい局面にあります。農業の基本を無視してひたすら効率、それも経済効率ばかりを追求しています。農家は責められる立場にありません。国の農業政策が、ひたすら巨大化による効率を求め、奨励しているのです。通常の作物の生産もそうですが、畜産の分野は目に見えて一時の生産が上がるため、家畜に相当な負荷をかけることになります。
そうした生産性の追及については、家畜への負担になって顕在化しています。家畜を命あるもの、生命体として尊重して苦痛を与えたり行動を束縛するようなことは止めようとするのが、「家畜福祉」英語では「アニマルウェルフェアー」という考えです。
具体的に乳牛について言えば、高生産を輸入穀物飼料を大量に与えることで成し遂げ、穀物に大量に依存するために施設を単純化することができるため多頭化することもできるのです。そうした形態の乳牛は、平均2.5産という信じられない低さです。2.5産とは、最初の子牛を産むまでにほぼ2年かかりますから、牛乳を生産するようになって3年もすると淘汰されることになるのです。病気ばかりではなく投資額が大きいために、生産性が落ちるとすぐ肉に回されます。肉になるののは、3割程度でしょうか。残りは病牛としては遺棄されてしまうのです。
こうした高生産の農家の乳牛は懸命に牛乳を生産することになりますが、決して幸せともいえませんし、何らかの病気に常時晒されていることになります。別の言い方をすれば、病気になる限界まで搾り続けるのが酪農家の腕というところでしょうか?

本ブログを閲覧の多くの方は消費者の立場にあると思います。消費者の皆さんは、決して不幸な病気寸前の牛や豚や鶏が生産した、牛乳や肉やそして卵を食べたいと思っているとは思いません。消費者の皆さんが現在日本で口に入れることのできる畜産製品の。ほぼ90%はこうした不幸で病気すれすれの家畜が生産したものなのです。
上記の画像をクリックすると、画面が大きくなります。11月21日と22日に、十勝で家畜福祉・アニマルウェルフェアーのセミナーを開催します。特に二日目(22日)のセミナーに参加願いたいと思います。
私たちは、ほとんどの酪農家が巨大化する中でも、大きくなくても健康で長生きする幸せな牛から牛乳を搾って、小規模ながらも経済的にも頑張っている農家がいることを知っています。健康で、長生きする、輸入穀物への依存が少なく、経済的な投資もないので、小規模でも何とかやっていけるのです。それでも、政府や行政の支援がなく、経済的に大変な状況であることには変わりありません。
健康で幸せな家畜から生産された畜産物について、消費者の皆様方には応分の負担を戴きたいと思っています。そうした飼養形態について、ヨーロッパでは評価基準を設けて、農家を差別しています。私たちは今そうした基準を作ろうと各方面の専門家とともに、取り組んでいるところです。
北海道の来られた方々から牧場で牛が草をのんびりと食べている姿が見えないとよく指摘されます。そんな幸せな牛は、せいぜい5%程度なのです。北海道牛乳のラベルに放牧して草を食べる牛の姿が印刷されていますが、あれは嘘なのです。ほとんどの牛乳は、閉塞された空間で大量の輸入穀物によって飼育された、いわば畜産加工業の形態によって生産されたものなのです。

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不幸な家畜たちが世界を破滅へと導く

2015-04-25 | アニマルウエルフェアー
ファーマゲドン」フィリップ・リンベリー、イザベル・オークショット著野中香方子訳:日経BP社刊、2160円という本を読んだ。
表題の「ファーマゲドン」はファーム+アルマゲドンを合わせた造語である。農業がもたらす世界の破滅を意味したものである。
本ブログを私が立ち上げた最大の理由が、人と競合する穀物を大量に家畜に与えて、肉や卵や牛乳を商品化するシステムが、近代化と称して進行していることを、都会の消費者の方々に知っていただきたかったからである。畜産の本質は、人が食べることができないものや、廃棄されたものなどを家畜に与えて、人が消化できる食料を生産することである。しかし、現代の畜産は人と競合する穀物を大量に与えて公立を求め、家畜に苦痛を与え生産しているのである。まさに本書はその現実を世界にルポし報告している。
密閉された畜舎で、家畜は大頭数閉じ込められ、生産を強制されて卵を産み太って肉を作り、牛乳を生産する。家畜は苦痛の中で生涯を追える。安価になった畜産物が消費者に提供されることを、政治を握った市場経済は歓迎する。
しかし、人は肥満になり、栄養化の偏った肉はがんや心臓病などの代謝病の原因になる。大量の穀物投与は、畜舎周辺の環境を極めて悪くする。土壌や河川、そして地下水に海洋、空気さえも汚染する。
家畜たちに与えられる穀物は遠方から運ばれる。糞尿を還元する農地など周辺にないのである。
工業式農場が生産した肉に含まれる、不飽和脂肪酸はが極端に少ない。太陽のもとで自由に牧草を食べる牛、幸せな牛が生産する牛は3倍も多く栄養価も高いのである。このことは、卵にも牛乳にも同じことが言える。工業式農場は、大量の抗生物質や成長に関わるホルモンも与えられる。
驚いたのか、魚の養殖である。生殖能力のない3倍体の個体にして、成長期を過ぎても大きくなるようにしているのである。
魚の養殖で深刻な環境問題は、給与される餌の残滓によるものばかりではない。網を破って逃げた個体による、生態系の破壊が深刻なのである。稚魚や餌を食べる、季節に無関係に繁殖するなど、深刻な問題が起きている。

訳者のことがを紹介する。バタリーケイジ、クレート、ソウ・スト^ルである。バタリーケージは、僅かA4サイズの空間に飼われる採卵鶏は羽根も延ばすことなく生涯を終える。クレートとソウ・ストールは牛と豚を動けない、鉄の格子に閉じ込め肥育させる施設である。動けないため軟らかい肉が取れるというのである。
工業式農場の本質は、経済効率である。新自由主義が世界を席巻し、国家を動かしている。TPPに参入したり、アベノミクスなどと言うバカげた経済政策は、環境も食料も家畜のことも、消費者の健康のことも考えない目先の効率だけを考えた政策である。大きくすればいい、大量に生産すればいい、資本を掛ければいいという、人々や家畜の幸せなど微塵も考えないのである。
世界の農地の30%が家畜のために用いられ、その70%が先進国が消費している。工業式農場は、見せかけの経済学ではなく、自然の摂理で判断すれば極めて効率が悪い。原発同様に、環境への十分な配慮や評価を加えたり、次世代の負担を計算すれば、ハンバーガー一個は1万円するのである

こうした不幸な家畜が生産する畜産物を、安いという理由だけで購入し続ける消費者は、この実態を知らなければならない。不幸な家畜たちをなくすために、私たちは”家畜福祉”という考え方で、飼養基準を評価しランクを設けて少しでも幸せな家畜が増える運動を模索している。
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家畜福祉のお話聞きに来て下さい

2015-01-12 | アニマルウエルフェアー

アニマルウェルフェアアという言葉をご存知でしょうか?
アニマルウエルフェルフェアとは家畜福祉と訳されています。家畜に生きている動物として、生きとし生けるものとして接しようということなのです。
先進国の家畜は、厳しい経済活動の元で、生命の尊厳すら奪われて、苦痛に喘いでいます。そこまでして、畜産物を生産しなくてもいいのではないかというのが、家畜福祉の考え方です。
私も現場からの報告として喋ります。
札幌駅の裏で、参加費として500円戴きたいと思います。近くの人はぜひ、農家でなくても参加してみてください。毎日玉子や肉や牛乳を飲まれていれば、十分関心が持てると思います。家畜がどのように扱われているか知ってください。
事務局が作ったパンフレット添付します。
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家畜にやさしい四頭搾乳の酪農家

2014-06-08 | アニマルウエルフェアー

先月立ち上げた「北海道・農業と動物福祉の研究会」主催による、家畜福祉の実践農家ということで、旭川郊外のわずか4頭搾乳の酪農家の見学会に参加した。
07 農場名は「クリーマリー農夢」で、ホームページ で、自己紹介や販売品の案内をやっている。牧場主の佐竹さんが、僅か4頭の搾乳牛で営農できているのだろうか。彼は搾った牛乳の全量を、自家施設で加工販売を行っている。主に飲用乳が主体で、大都会旭川を抱えていることが大きい。飲用乳の顧客は、120戸ほどで農場が配達している。ホクレンには出荷していない。
低温殺菌の牛乳を戴いたが、癖がなく甘みが残る感じであった。佐竹さんの最大の営農理由は、牛が好きであることだそうである。
そのため牛にはそれぞれ名前を付けてあり、牛たちも自分の名前を知っていて反応する。牛を拘束するようなことは一切やっていない。牛舎の出入りも、牧草地に行くのも自由である。
牧草地は極めて貧相な草地である。佐竹さんは入植20年ほどである02 が、一切農薬も化学肥料も使っていないし、前の人も農薬は使っていなかった。
雨水などでたまった池があるが、牛は水道水より好んで飲む。異物が少ないのではないかとのことである。購入飼料は思ったより多く、配合飼料に国産の小麦にビートパルプなどを与えている。購入する乾草はとても良質のものとは思えない。固く結実をしている。それでも牛は、牛舎にいる間は休まず、採食していいる。
4頭搾乳は、顧客に牛乳を配達するための必要量と、面倒見れる最大頭数ということである。
何よりも牛たちが健康そうで、毛つやも良く温和で常に反芻していた。草の量が多いのと、何のストレスもないのが解る。
国は攻める農業の号令の元、農業の巨大化を推進する。大規模化された農家の実態は何度もこのブログで書いているが、農家にも、牛たちにも、農地にも、環境にも負荷が大きくかかり、未来に大きな負の遺産を残すことになる。農家には何のメリットもない。

私の町は、日本最大の酪農の町である。平均飼養頭数は130頭である。クリーマリーの30倍である。農家は負債の返却に追われ、農作業に時間がとられ、家族との自由な時間もとれず、牛の個性など顧みることもない。
大型農家の牛たちは、大量の穀物を投与させられ、牛舎に閉じ込められて、とても健康とは思えない牛群である。国は農業の巨大化ばかりを推進して、消費者にこうした牛乳の提供を強制するのである。
健康で幸せそうな牛たちから搾られた牛乳こそ、本当の健康食ではないか。消費者はどちらの牛乳を望むのだろうか?

とても考えさせられる見学会であった。
左に<クリーマリーの乳牛たち>アップしました。

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羅臼港

春誓い羅臼港