アメリカは一方的に、アフガン・イラクに攻め入りこれら国で殺りく行為を繰り返し行ったが、自らも政治的にも経済的にも、大きな傷を背負うことになった。
3兆ドルともいわれる巨大な出費は、超大国アメリカを経済的にも、政治的にも精神的にも疲弊されることとなった。
冷戦終直後は、唯一の超大国として君臨し、レーガン・サッチャーによる新自由主義の台頭とともに、世界の警察を自負するまでになった。こうした驕りが、アメリカ中枢に福音派と言われるような、右翼政治家を住まわせる結果となった。
リーマンショックは、相対的なアメリカの地位の低下の象徴的出来事の始まりであり、多極化への前兆でもあった。
BRICsの台頭、とりわけ社会主義国家の建設に大きな転換を見せた、ロシア(ソ連)と中国の台頭は、アメリカの存在を希薄化させることになった。言いなりにならない世界第二の経済大国は、アメリカにとって厄介な存在である。
イランや北朝鮮をいくら経済制裁したところで、ロシアや中国は裏で外交カードに利用するため、何の意味もなくなってしまった。EUは白けて、アメリカだけが消耗するのである。
現在起きている、円高はドル安がその本質である。つまり、アメリカは二つの赤字を抱えたまま、戦争に突入し自らの首を絞める結果となった、象徴的な現象が経済的にはドル安で、政治的には多極化なのである。
アフガン・イラク戦争はアメリカに大きな代償を残したのである。
日本は、曲がりなりにも超大国のアメリカのいなりになることで生き延びてきた経験から、いまだに脱却することが出来ない。
民主党がこうした世界情勢の転換を、敏感に察知したと私が判断したのが、普天間基地の海外移転である。鳩山坊ちゃまの御乱心で、日本がアメリカから自立するいい機会を、日本は投げ出してしまった。
こうして10年の経過を見ると、ビン・ラディンの思惑は成功しているかに見えるのも、残念であるが認めざるを得ないだろう。
この象徴的な犠牲者は兵士、殺さなければ殺される。そのため、新兵教育で徹底的に殺人マシーンに仕上げられる。
しかし、民間人とりわけ幼子を抱いた母親を射殺した兵士は、ふと人間性を取り戻す瞬間がある。戦闘ストレスで兵士は人間性が破壊される。幸運にも帰還した青年の多くはPTSDに陥る。
ベトナム戦争では接近戦の経験からPTSD治療法が研究さた。その後はトマホークなど遠隔操作(スクリーン上での戦闘)できる兵器が主力になった。しかしイラク戦争以降またもや敵兵がわからない状態で接近戦を強いられている。
昨日のテレビ番組では、殺人マシーンに仕上げた国民を帰国後放置しているのは国家の犯罪であると伝えていた。戦後、日本でも戦争体験を胸に秘め亡くなったり、生きている兵士は多い。国民をも犠牲者(最低限の補償があるにしても)にする戦争に正義はない。