ニッポン放送株をめぐり証券取引法違反(インサイダー取引)の罪に問われた村上世彰が、東京地裁から懲役2年、罰金300万円の実刑判決をうけた。追徴金は、検察側が求めていた通り、インサイダー事件での過去最高額を大きく超える約11億4900万円を言い渡した。
7億円の保釈金を払って、即日本人は抗告した。何の反省もない。「お金儲けして悪いんですか?」と発言する この男は、もうこの商売は止めた。小説でも書く、などと世の中を相当甘く見ている。
この事件はホリエモン事件とその後のTOB騒動などと併せて、日本の企業の在り方を真剣に考えさせてくれるきっかけわ与えてくれた。企業は「労働者」「社会的目的・貢献」それと「資本家」からなっている。
企業乗っ取りを行う連中は、乗っ取り企業にビジョンを持っているわけではない。大量の株をお金の力で買い込み、上手くいけば会社を乗っ取り、下手しても大量の買い占めで上がった株をポンと売ればいいのである。その差額が、彼らの儲けになる。この村上世彰は、ニッポン放送株で20億円儲けたのである。
この男の言動から、企業の社会的な責任・貢献など全く眼中にないことが分かる。企業は資本家のためだけにあると思っている。市場原理とは、資本家のための弱肉強食の論理である。
そこには、労働者の存在もなければ、企業がさし示さなければならない社会的な存在意義や理念が何もない。企業が どのような製品を何の目的で生産し社会に貢献するのか、どのように労働者の生活を守り権利を擁護するのかなどの理念など微塵もない。
これが小泉純一郎が目指し竹中平蔵が口角泡を飛ばして説明していた市場原理である。昨年の暮、官舎に女を囲って首になった男に至っては、大企業の大幅減税で市場は活性化すると豪語していた。企業が設ければ国民は豊かになるとほざいていたが、現実には派遣社員で埋め尽くされた社会には、貧困者を増産させる結果になっている。
市場原理の真っ先の犠牲になったのが、農業である。農業は追い込まれながらも、社会的な貢献に加えて環境保全にも大きくかかわっている。農民は、年々目減りする収益に耐えながら、食糧生産にいそしんでいる。市場原理主義者に彼ら農民の爪の垢でも飲ませたいものである。